1. 今日の転職経験者はこんな人
2. Eさん(言語聴覚士・30歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
2-2. 中学校〜高校時代
2-3. 大学時代
3. 被災地の病院に就職
4. 生活支援員と言語聴覚士の兼任
5. 東京の病院へ転職
6.(番外編)生活・結婚の話
1.今日の転職経験者はこんな人

—簡単なプロフィールを教えてください
岩手県出身の30歳です。
大学進学の際に上京し、新卒で岩手へ帰り、転職を経て再び東京に。
去年第一子が生まれ、つい先日まで育児休暇を取得していました。
—家族構成は?
今は妻と子どもの3人で暮らしてますが、実家には祖父母、両親、妹がいます。
—ご両親は何をしている人?
父が消防士、母がケアマネ、妹が看護師です。
改めて考えてみると、堅実な家族ですよね。
—職務経歴を簡単に教えてください?
言語聴覚士として2回転職しました。
病院→社会福祉法人→病院という感じです。社会福祉法人から病院への転職の際に東京へ戻りました。
2. Eさん(言語聴覚士・30歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
—子どもの頃の思い出は?
身体が弱く病気がちで、入院も結構してました。
年長クラスの時にアデノイド切除の手術をしてからは、だいぶよくなりましたね。
—小学生になる頃には元気に?
だいぶ活発になりましたね。 フィリピン人が先生の英会話塾にハマっていました。当時流行っていた『マカレナ』ばかり踊らされる謎の塾でしたね。
—その頃の将来の夢は?
夢という夢はなかったんですが、祖父や学校の先生から「医者になれ」って言われてたので、なんとなく医療の世界には興味がありました。
2-2. 中学校〜高校時代
—中学校生活はどんな感じでした?
バレー部に入部して、部活漬けの毎日でした。県ベスト4には必ず入るくらいの学校だったのでかなり厳しくて、しょっちゅう顧問にボコボコに殴られていましたね。
僕自身はセッターで、県の選抜選手にも選ばれました。
—では高校進学はバレーの特待生などで?
いくつかの高校には声をかけられていましたし、僕自身も強豪校に行きたかったんですけど、「お金を稼げるスポーツじゃないんだからやめときなさい」と親に反対され、地元の普通高校に進学しました。
一応バレー部には入部したんですが、弱いし部員のやる気もないのでサボってばかりいました。
—いつから言語聴覚士を目指し始めたんですか?またその理由も教えてください。
格好いい理由じゃないので恥ずかしいんですが、正直に言っていいですか?
高3のとき、母の知り合いの言語聴覚士の職場を見学する機会があり、「なにこの人たち!座ってるだけで楽そう!」って衝撃を受けたのが理由です。
実際に言語聴覚士になってみたら全然そんなことはなくて、過去の自分に裏切られた気分です(笑)。
2-3. 大学時代
—大学生活は楽しかったですか?
いやぁ、楽しかったですね。
友達とお酒飲んで、ふざけてばかりいました。
—医療機関などでの実習もあるんですよね?
ありましたよ。急性期のリハビリテーション科で2回。最初は1ヶ月間の評価実習で、次に2ヶ月間の最終評価実習。
最初の実習では、実習指導員に付いて患者さんの評価をしたり、補助をしたり。次の実習では評価から訓練まで一通りこなして、レポートにまとめるという感じです。
—国家試験の勉強は大変でしたか?
もともと勉強が好きではなかったので大変でしたね。4年生のときには1日6~7時間は勉強していたんじゃないかな。
言語聴覚士の歴史自体が浅めで、僕らの受験時がまだ第13回目の国家試験だったんです。なので、問題の傾向とかも読みづらく苦労した記憶があります。
ただ僕の場合、早めの10月くらいには内定が決まっていたので勉強に集中できる環境でした。
3. 被災地の病院に就職

にこやかにお子さんと一緒に取材をうけてくれました
ーEさんは今30歳ですよね? 卒業した年って東日本大震災があった年では?
そうなんです。3月に震災があって4月に就職だったのですごく大変でした。震災直後だったので病院も本当に忙しくて。
当時は大きめの余震も続いていたので、たとえ夜中でも揺れが大きければ病院へ招集がかかるんです。患者さんの安否確認や他科のお手伝いをして、何も問題がなさそうだったらやっと帰れます。当然、また朝から仕事なので眠気と疲労との闘いでした。倒れるかと思いましたね。
—それは大変な時期に。ちなみに地元に戻った理由は?
「帰ってきたら車の頭金払ってあげるよ」という祖父の声に釣られました。これも立派な理由ではなくてすみません。
—初任給はどれくらいでしたか?
手取りで17万円くらい。賞与は年2回・計4ヶ月でした。
—言語聴覚士の業務内容について教えてもらえますか?
実は多くの方がイメージするような『言語障害の訓練』ってそれほど多くないんです。
圧倒的に多いのは、嚥下(飲み込むこと)が困難な高齢者の評価ですね。簡単に言うと「どこからどこまでの物なら飲食できるのか」という評価やアドバイスをします。なので、その判断を誤ると命の危険性も。
ちなみに言語障害の訓練内容は原因や症状によっても変わるんですが、「伝えたい気持ちを引き出す」「自己プロフィールを書く」「発声練習」などがあります。
—なんとなくのイメージなんですが、残業も多そうです。
たしかに多かったですね。 定時は17時30分だったんですが、22時や23時は当たり前。
先輩が「厳しいギャル」って感じの人だったんですが、「サマリーの句読点の位置が気に入らないからやり直し!」「フォントが気に入らないからやり直し!」とか、書類系の理不尽な残業が多々。
—その職場で得られたものは?
患者さんの数がとにかく多かったので、評価する能力や経験からくる勘のようなものが身についたんじゃないかな。
4.生活支援員と言語聴覚士の兼任
—病院から社会福祉法人へと転職したのはなぜですか?
病院は急性期だったので、患者さんの入れ替わりがすごく激しかったんですが、そういった患者さんの予後が気になり始めたのがきっかけですね。在宅なども含めて、言語聴覚士として地域医療に携わってみたいなと。
ーどういったことをしている法人だったんですか?
児童発達支援・就労支援・介護福祉施設など、手広くやっているところでした。
そのなかでも僕は地域生活支援センターと就業生活支援センターに配属されました。生活支援員と言語聴覚士を兼任するかたちで。
その職場は母の知り合いに紹介してもらいました。
—病院とは業務内容が全く違いそうですね。
本当に全く違いましたね。最初のうちは言語聴覚士の仕事はしていませんでしたし。
というのも、その法人では僕が最初の言語聴覚士だったので、周りの人からしてみれば「言語聴覚士ってなんだ?何ができるんだ?」っていうところからのスタートでした。
ーたしかに言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べて、「地域医療」というイメージはそんなにないかもしれません。
最初のうちは、例えばPTの先輩と障がい児施設へ行って、歩行訓練などのお手伝いをしたり、療育支援の相談に乗ったり。
そういった仕事をしながらも、「言語聴覚士ってこんなことができるんですよ」とアプローチを続けていくうちに、地域内でも「なんか言語聴覚士とかいう人がいるらしい」と口コミでじわじわと認知されていきました。
それから1年後くらいですかね?言葉の発達の相談や嚥下の訓練など、だんだんと言語聴覚士として頼られるように。
—給料はどれくらいでしたか?
まずは「お試し言語聴覚士」というような扱いで、契約社員としてスタートしたのですごく安かったです。手取りで15~16万円。正規職員になってからは20万円くらいになりました。
—病院から飛び出し、地域に密着しながら働くことで得られたものは?
専門性にとらわれることなく、『障がいを持ってる人がどんな想いで生活してるのか』を学べたことが大きいですね。
あとは、社会資源にはどんなものがあるのかを知れたことも。病院ではそういった福祉サービスなどを耳にすることがあっても実態がわからないんですよね。実際に現場に出て見聞きしたことで、言語聴覚士としても実になる部分は多かったです。
5.東京の病院へ転職
ーそこからなぜ東京の病院へ?
理由は2つあります。
1つは言語聴覚士としてのステップアップのため。言語聴覚士の数も、症例数も多いであろう東京の医療機関に身を置くことで、もっとレベルアップできるのかなと考えました。
もう1つは単純に給料の関係ですね。やっぱり、首都圏に比べ地方は低いので。
ー岩手県の病院と東京の病院で、働き方は変わりましたか?
忙しさなどはそれほど変わっていない気がします。ただ、新卒時に比べ自分自身が成長していることもあってか、精神的にも肉体的にも楽になりました。
ー給料はどれくらいあがりましたか?
転職当初は急性期病棟の配属で残業も多かったので、額面で10万円くらい増えたんじゃないかな?
今はだいたい手取り23万円くらいです。

ーどういった経緯からEさんが育児休暇を取ることになったのでしょうか?
妻は医師なんですけど、まだ1年目なんです。そんな状況で妻が長期間の休みに入るのもよくないかなと思い2人で話し合った結果、僕が育児休暇を取得することになりました。
期間にして4ヶ月間でしたね。今は仕事復帰していて、子どもを保育園に預けてから通勤しています。
ー理解のある職場なんですね。
男性の育児休暇を推奨している職場なんで、すごく助かっています。
なかには「男のくせに育児休暇なんて」と、よく思っていない人もいるかも知れないけど、口に出して言う人はいないです。
—今後の転職は考えていますか?
今は考えていないです。妻の状況にもよりますが、もし転職するとしたら子どもが小学校に上がる頃かなと。
6.(番外編)生活・結婚の話
ー奥さんとの出会いは?
合コンで出会いました。実は僕の友人もメドレーさんで働いているんですが、その友人主催の合コンです。
ーそうなんですね! 夫婦で医療職だと、医療に対する考え方での衝突もありそうですね。
それは全くないですね。妻が医学生の頃から、とんでもなく勉強している姿を見てきているので僕なんかには口出しできないです。
家事育児に関する小さな喧嘩はしょっちゅうですけど、向こうはすごく賢いんで、ぐうの音も出ないほどにいつも言い負かされてます(笑)。
—最近ハマっていることは?
ゲームにハマってますね。休みがあった日は妻と一緒にやったりも。
—スマホのホーム画面を見せてください。
通知が溜まりすぎてて恥ずかしいですね。

よく使うアプリは『LINE』『Instagram』『YouTube』です。
最近身体を鍛えているので、YouTubeで筋トレ動画を見ながら筋トレに励んでいます。
ーもし言語聴覚士じゃない人生を歩むとしたら、どんな仕事に就きたいですか?
ITベンチャーの社長とかやりたいですね。彼らが何をしてるのかは全然わかってないんですけど、ガラス張りのオフィスでスマートに働いて、海外を飛び回って、夜はパーティーでシャンパンを飲んだりなんかして。漫画などから得た、僕の勝手なイメージですけど(笑)
ー本日はお忙しいところありがとうございました!