突然ですが漢字クイズです
以下の資格の◯に入る漢字は「師」と「士」のどちらでしょう。

簡単ですよね! では続いて第2問です。

易しい問題です。ではちょっと難易度を上げて、こちらはいかがですか?

瞬時に解けた方はきっと医療従事者ですね!
世の中には多様な仕事と専門的な資格が数多く存在します。それらの漢字をよく見ると「師」と「士」(もしくは「司」)に分かれているんです。
一部の資格を列挙してみましょう。

なぜこのように分けられているのか、よくよく考えると不思議ですよね。
明確な使い分けは? 漢字の専門家に聞いてみた
「師」と「士」の違いは何なのか。そもそもどう生まれたの? 日本漢字能力検定協会・漢字文化研究所所長の阿辻哲次さんにそれぞれの漢字の由来と使い分けについて聞きました。
「漢字『師』の本来の意味は『なにかの集団に属する人間を教え、望ましい方向に導く者』です。現代においても教師や師範などのほか、医師・看護師・調理師など特定の技術や才能に秀でた専門家に使われています」
一方「士」は、男性を指す意味合いが転じて職能を指す言葉になったと言います。
「もともとは『一人前の成人男性』という意味で使われていました。それがのちに『すぐれた男』から、広く『他者より秀でた能力でなんらかの業務を遂行しうる者』の意で使われるようになりました。現代では男女の区別なく使われています」
続けて有斐閣刊行の法律用語辞典(第5版)から「士」の解説を引用し、こう結論づけます。
「法律用語辞典では『法令上、「〇〇士」、「〇〇師」という名称は、一定の技術、技能又は知識を必要とする職業又は業務等で、それに従事するのに法令上の一定の要件を満たすことが必要である場合に用いられている。両者の相異は明確でないが、一般的には『士』の語の方が多く使われており、『師』の語は主として衛生関係の職業や業務に用いられている(医師、薬剤師、はり師、きゅう師、調理師等)。』とあります。このように、『士』と『師』に明確な使い分けがあると思えません」
国家試験や法律・条例などで規定されている資格についてはその規定に従い、規定がないものについては、どちらかに絞り込める論拠が一般的には存在せず、社会的慣習によって表記されていると考えられます。

例を挙げると「看護師」という資格は、もともと男性を「看護士」、女性を「看護婦」と呼んでいました。2001年に「保健婦助産婦看護婦法」の一部が改正され「保健師助産師看護師法」という名称に変わったことにより、2002年3月より男女共に「看護師」と統一されることとなったのです。
資格の「師」と「士」の違いとは……と考えること自体が不毛でした。そこにある現実を受け入れます。
ちなみに冒頭の問題の正解はこちらです。


