1.保育士等キャリアアップ研修とは
保育士の専門性を高め、目標を持って仕事に取り組み適正な評価につなげることを目的として設けられたのが保育士等キャリアアップ研修です。多様な保育ニーズに応えるべく、2017年に厚生労働省が「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」を定め、各都道府県で実施されています。
また保育士のスキル向上だけでなく、処遇改善にもつながります。2021年に通知された加算の支給要件には、保育士等キャリアアップ研修の受講があり、2023年度から役職に応じて段階的な受講が必須となっています。
2.対象者と研修内容
保育士等キャリアアップ研修の主な対象者は、認可保育所、認定こども園、地域型保育事業所に勤務する保育士や専門分野に従事する栄養士などです。研修コースは3つに分かれており、それぞれ対象者と受講内容が異なります。受講時間は1分野につき15時間程度です。
対象者 | 研修内容 | |
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専門分野別研修 | 保育所等で右の専門分野に関してリーダー的な役割を担う人(見込みも含む) | ・乳児保育 ・幼児教育 ・障害児保育 ・食育・アレルギー対応 ・保健衛生・安全対策 ・保護者支援・子育て支援 |
マネジメント研修 | 主任保育士のもと副主任の役割を担う人(見込みも含む) | ・マネジメントの理解 ・リーダーシップ ・組織目標の設定 ・人材育成 ・働きやすい環境づくり |
保育実践研修 | 保育士試験合格者など保育現場で実習経験が少ない人やブランクがある人(潜在保育士) | ・保育における環境構成 ・子どもとの関わり方 ・身体を使った遊び ・言葉・音楽を使った遊び ・物を使った遊び |
処遇改善の加算対象となるためには、勤務先からリーダーや副主任などの辞令が出されていることが条件となります。
3.受講方法と費用
保育士等キャリアアップ研修は、都道府県または指定の研修実施機関が実施しています。受講するためには実施主体のウェブサイトから講座ごとに申し込みます。
研修方法はeラーニングやオンラインでのライブ講義、集合研修などさまざまです。個人での申し込みだけでなく、園で複数人分まとめて申し込めるところもあります。
実施主体によって受講日や定員が決まっているところもあるため、予定を調整して申し込むようにしましょう。
費用は実施主体によって異なります。勤務先がある自治体で研修を受ける場合、受講料は免除されるところや、テキスト代のみ受講者負担としているところなどさまざまです。
4.スキルや給与アップが見込める
子どもや子育てを取り巻く環境が変化し、多様な課題に対応する能力を身につけた保育士の養成が求められています。研修を受けることで個人のスキル向上だけでなく、給与に反映される施設もあるため、モチベーションアップにもつながります。今後のキャリアを見据えると、保育士等キャリアアップ研修の受講を検討してみるのも良いでしょう。
参考
厚生労働省|保育士等キャリアアップ研修の実施について