1.二人目の壁の意味は?
二人目の壁とは、経済的な理由や仕事との両立、年齢などの理由から第二子の出産をためらうことを意味します。2023年に既婚の男女約3,000人に実施した調査*によると、78.6%が「二人目の壁を感じる」と回答。2014年の調査開始以降最高値を記録しているとのことです。
2.医療・福祉従事者が「二人目の壁」を感じる主な理由
第二子の出産をためらう理由は人それぞれ。主な理由を、医療・福祉従事者の悩みとともに紹介します。
経済的な理由
先ほどの調査でも、二人目の壁を感じる理由として最も多くの回答が寄せられたのが「経済的な理由」でした。食費や教育費などを懸念して二人目の出産をためらう人がいることがわかります。

子どもがいる職員でも子どもが1人とか、2人目作る余裕無いみたい。子育てにはお金がかかるけど、介護職員で収入を増やそうとすると、昼夜問わず不規則な勤務、残業、土日出勤当たり前という働き方をしないと厳しい…。
引用:カイゴトーク

自分の夜勤の入り方をどうするかを悩んでいます。
今後、妻の負担を考えたら、夜勤はない方がいいとは思うのですが、夜勤手当が収入の上で結構大きいと思います。また最低月3回は夜勤に入らないとボーナスの査定に響いてくるらしいので、夜勤のないデイ職員かケアマネになるかどうすべきか迷っています。
引用:カイゴトーク

引用:カンゴトーク
時間や働き方が理由
一人目の育児で手一杯だったり、仕事や家事との両立が難しかったりと時間的にゆとりがなくなることも理由に挙げられます。職場や子どもの預け先によっては希望する働き方が難しくなるケースも。人員配置の状況によっては、人手不足になることを懸念して妊娠・出産をためらう人もいます。

教えてもらってやっと力になるかなぁ?ってときに産休って、、、
義家族や旦那に話してもう少し2人目は後にしようか、、、、
引用:カンゴトーク

今夜勤していないのですが、そろそろしてほしいと言われそうな空気を感じていて、言われる前に2人目を妊娠したいなと思っていますが、今の職場は古いのと正社員じゃないので違う病院で正社員として働きたいので転職したいというのもあります。
引用:カンゴトーク

引用:ホイクトーク
年齢
女性の就業率向上や結婚・出産にかかる費用の増大などさまざまな要因によって、結婚や出産年齢が高くなっています。第一子の平均出産年齢は30.7歳(2019年時点)と過去30年で約4歳上昇しています。加齢による体力的な問題からも、二人目以降の出産に消極的になる人がいることが推察されます。

引用:カンゴトーク
3.出生数は過去最低を記録
厚生労働省の「出生に関する統計」の概況によると、出生数は2022年に初めて80万人を下回りました。
15~49歳までの女性が一生涯のうちに生む子どもの数の平均を表す合計特殊出生率を見てみても、統計開始以来過去最低の1.26という結果に。人口を維持するためには2.06〜2.07が必要とされています。このまま少子化が続くと2040年の出生数は74万人と推計されており、さらに深刻な人口減となることがわかります。

2023年に入ると「異次元の少子化対策」が発表され、児童手当の拡充や大学の無償化などが早期に取り組むべき課題としてあげられています。
詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
二人目の壁を感じる理由は人それぞれ。経済的な理由や時間、仕事や家事との両立などいずれも一人で解決できるものではありません。家族で話し合うことも大切ですが、柔軟な働き方が受け入れられたり、支援が行き届いたりと社会全体で子どもを持つ世帯を支えていくことが重要です。そして第二子以降の出産・育児を希望する人が、安心して生み育てられる社会となることが望まれます。