小1の壁とは?原因と対策、希望の働き方と育児を両立する方法について解説

子どもが小学校に入学することで、仕事と育児の両立が難しくなる状態を指す小1の壁。子どもを取り巻く環境の変化により、さまざまな心配や悩みが生じます。小1の壁の原因と対策についてわかりやすく解説します。

小1の壁とは?原因と対策、希望の働き方と育児を両立する方法について解説

目次

1.小1の壁とは

小学校入学を機に仕事と育児の両立が難しくなること

小1の壁とは、子どもが小学校に入学することで生じるさまざまな課題により、仕事と育児・家庭との両立が難しい状態になることを指します。保護者の就業に合わせて長時間預けられる保育所や幼稚園と違い、小学校に入学すると放課後をどう過ごすかは各家庭で考えなければなりません。希望に合う施設が見つからなかったり、施設利用にかかる費用が負担に感じたりすることもあります。

とくに共働きやひとり親世帯にとっては仕事と育児の両立が難しくなり、働き方の変更を余儀なくされることもあります。

小1の壁で保護者に起きる問題

・フルタイムから時短など働き方の変更

小学1年生はまだ午後の授業が少ないため、14時30分ころには下校するのが一般的です。フルタイムでの勤務が難しくなり、短時間勤務(時短)への変更や就業時間の変更を検討せざるをえないケースもあります。

また、フレックスタイム制がなく就業時間の変更が難しい、時短勤務でも継続が困難な場合など、正職員からパート・アルバイトへの転換を余儀なくされることもあります。

・退職

勤務時間・雇用形態の変更など就労先との調整がつかない場合、現在の職場で働き続けるのが困難に感じる人もいることでしょう。家事・育児に専念するために退職するケースもあります。

小1の壁で子どもに起きる問題

・生活リズムの変化

遊びや昼寝などさまざまな過ごし方がある保育所や幼稚園と異なり、小学校では勉強がメインです。環境の変化に慣れるまで、疲れやイラつきを感じてしまうこともあります。

・登下校・留守番のリスク

学校によっては集団登下校や保護者の送迎が求められます。しかし、ない場合には一人で登下校や留守番をしなければならず、事故や事件に巻き込まれるリスクがあります。

tips|小4の壁とは?

小4の壁とは主に、放課後の居場所確保、学力・生活面に課題を感じることを指し、「9歳の壁」「10歳の壁」ともいわれています。

放課後児童クラブ(学童)の利用は一人での留守番が難しい低学年の子どもが優先です。そのため継続して利用できなくなると、放課後の居場所を確保する必要があります。

また中学年になると、勉強の難易度が上がり授業についていけなくなったり、交友関係の悩みを抱いたりして、学校に行きたがらなくなることもあります。

2.小1の壁の原因

放課後児童クラブの不足

仕事などで保護者が不在の間子どもを預かってくれる放課後児童クラブは、働く親の強い味方です。しかし共働き世帯の増加などにより、利用を希望する家庭が増えたことから、待機児童となる子どももいます。

過去5年間で放課後児童クラブの数はわずかに増加しているものの、待機児童数はいまだ1万5,180人と、希望する施設に通えない児童が一定数いるのが現状です。

就業時間と学校の開庁時間のギャップ

小学校が開いている時間は8時ころから18時ころまでが一般的です。勤務時間や勤務地によっては、保護者のほうが早く家を出なければならないこともあります。また、地域によっては登下校時に保護者の見守り当番や放課後児童クラブへの送迎が必要なところもあるため、就業時間の調整が必要になります。

学校活動の負担

保護者が参加する代表的な活動としてPTAが挙げられます。PTAは保護者で構成され、学校や教職員、地域との連携をはかる任意団体です。学校によっては、在学中に一度は役員を引き受けなくてはならないところもあります。

子どものサポートの負担

学校の持ち物の準備や宿題のサポートも発生します。まだ支度や勉強が一人でできない学年のため、保護者のサポートが必要となり負担に感じることもあります。

長期休暇中の負担

放課後児童クラブに通っている場合、夏休みや冬休みなどの長期休暇中に弁当の持参が必要です。また、年末年始などで放課後児童クラブが休みのとき子どもをみてくれる人がいない場合は、預け先を確保しなければなりません。

3.小1の壁を乗り越えるための対策

ここからは小1の壁対策を紹介します。

公立・民立サービスを利用する

放課後児童クラブ(学童・学童保育)

放課後児童クラブは、保護者に代わり放課後や夏休みなどの長期休暇中に子どもを預かる施設です。宿題のサポートや遊びを提供する事業をおこなっています。

公立または民立の放課後児童クラブがあり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

公立 民立
運営主体 運営を自治体が自らおこなう公立公営のクラブと、民間団体に委託している公立民営のクラブがある 運営委員会や社会福祉法人、公益法人、NPO法人、株式会社などが設立・運営
場所 小学校や児童館内など ビルの一角など
開所時間 18〜19時頃まで 20〜21時頃まで
入会金 原則不要 2〜3万円程度
利用料 月額4,000〜8,000円程度
*別途延長利用料(月額1,000〜2,000円程度)、おやつ代(月額1,500円〜2,000円程度)などがかかる場合あり
*住民税非課税世帯などに対しては利用料が減免される場合あり
月額3〜4万円程度(週5日利用)
*学年や時期によって金額が異なることが多い(8月は月額6〜7万円程度)
*別途延長利用料(30分500〜600円程度)、食事代(1食600円程度)、送迎費、講座費(学習、ピアノ、体操等)などがかかる場合あり
特徴 利用料は低額だが、定員を超える申し込みがあった場合は利用できない場合もある 公立のクラブと比較して利用料は高額だが、夜遅くまで利用でき、送迎や食事、学習指導、習い事などのオプションサービスも豊富


利用時間や費用、サービス内容など希望の条件を満たす放課後児童クラブ選びが大切です。

放課後子ども教室

放課後子ども教室とは、放課後の空き教室(余裕教室)や体育館などを開放し学習や体験・交流活動を提供する事業です。放課後子ども教室のみで実施される単体型と、放課後児童クラブと活動を共にする一体型があります。単体型の場合、利用可能時間が17時ころまでとなっていたり、土日や夏休みなどの休校日は利用できなかったりします。

放課後児童クラブが、保護者の就労や病気、家族の介護などにより自宅にいることが難しい子どもを対象としているのに対し、放課後子ども教室は実施学校に在学するすべての子どもが利用できます

また、放課後児童クラブには放課後児童支援員の配置が必要ですが、放課後子ども教室は地域のボランティアなどによって運営されています。

ファミリー・サポート・センター事業

ファミリー・サポート・センター事業(通称ファミサポ)とは、育児の支援を受けたい人と支援したい人とをつなぐ公的サービスのことです。生後数ヶ月から小学6年生ころまでの子どもを持つ保護者を対象に、幅広い支援を提供しています。

サポート内容には放課後の預かりや放課後児童クラブへのお迎え、習い事などへの送迎があります。市区町村または受託団体が運営しているため、1時間500〜700円程度と安価で利用できるのも特徴です。

ファミリー・サポート・センターの利用方法や詳しいサービス内容はこちら
ファミリーサポートとは?送迎などの援助内容と利用の流れ、条件について解説

働き方を見直す

いまの働き方では育児との両立が難しい場合は、勤務先に働き方を相談するのも手です。就業規則を確認し、フレックスタイム制度や短時間勤務(時短)制度があれば上司に利用可能か相談してみましょう。

また、制度がない場合やあっても両立が難しい場合には、雇用形態を変えることも可能です。子どもがある程度の年齢に達するまで、正社員からパート・アルバイトなどに変更し、ライフスタイルに合わせた働き方をする人もいます。

就学前の子どもがいる保護者は、育児・介護休業法により残業や夜勤が免除されますが、小学生以上になると適用外となります。そのため、配偶者などほかに育児をする人がいない場合は、残業や夜勤が発生しない事業所に転職する手もあります。

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4.労働者側の対策と雇用側の理解が大切

小1の壁は仕事と育児の両立に悩む保護者だけでなく、環境変化に対応する子どもにもストレスがかかっています。家族だけで抱え込まず預かりサービスの利用や、困ったときに頼れる人や手段を確保することが大切です。

小1の壁対策として国は「新・放課後子ども総合プラン」を策定し、施設の整備や拡充を目指していましたが、いまだ待機児童などの課題は残ります。今後、小1の壁を解消するために放課後児童クラブの拡充や学校施設の有効活用とともに、雇用側が制度を見直すことも不可欠です。

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