目次
1.薬剤師の平均給料
薬剤師の平均月収・時給・年収・賞与(ボーナス)を、その他の職種を含めた全産業平均と併せて紹介します。
平均月収
薬剤師 | 全産業平均 | ||
---|---|---|---|
正職員 | 男性 | 41万6,300円 | 37万6,500円 | 女性 | 36万4,700円 | 27万6,300円 |
契約職員 | 男性 | 49万6,000円 | 27万4,200円 | 女性 | 34万3,000円 | 21万3,800円 |
パート・アルバイト | 男性 | 21万8,974円 | 11万5,694円 | 女性 | 23万1,114円 | 10万1,041円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」、日本労働組合総連合会「職種別賃金分析(令和4年調査)」より作成
*上記金額には基本給のほか職務手当、通勤手当、家族手当などの諸手当のほか、残業代も含む
正職員として働く薬剤師の平均月収は、男性が41万6,300円、女性が36万4,700円と男女間で約5万円の差があります。全産業平均との比較では、男女ともに4〜9万円ほど上回る結果でした。
また、フルタイムで働く契約職員の平均月収は男性49万6,000円、女性34万3,000円と男女の賃金差が正職員よりも顕著です。調査結果によると、所定労働時間(男性160時間、女性154時間)と経験年数(男性14.8年、女性12年)どちらも男性のほうが長いことから、金額差が生じた可能性があります。
パート・アルバイトでも全産業平均の2倍以上の水準となっており、薬剤師の給料は総じて高いといえるでしょう。
平均時給
薬剤師 | 全産業平均 | |
---|---|---|
男性 | 3,679円 | 1,624円 |
女性 | 2,683円 | 1,270円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より作成
短時間労働者(パート・アルバイト)として働く薬剤師の平均時給は、男女ともに全産業平均よりも高く、薬剤師資格が市場で高く評価されていることがわかります。
平均年収
薬剤師 | 全産業平均 | ||
---|---|---|---|
正職員 | 男性 | 595万6,700円 | 554万9,100円 | 女性 | 515万2,600円 | 394万3,500円 |
契約職員 | 男性 | 598万円 | 363万4,500円 | 女性 | 420万円 | 270万9,600円 |
パート・アルバイト | 男性 | 266万6,489円 | 142万7,525円 | 女性 | 288万7,163円 | 126万194円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」、日本労働組合総連合会「職種別賃金分析(令和4年調査)」より作成
次に薬剤師の平均年収を見ていきましょう。月収12ヶ月分に賞与(ボーナス)を含めた正職員の平均年収は男性で595万6,700円、女性で515万2,600円でした。男性の平均年齢、勤続年数、勤務時間(残業時間を含む)は女性を上回っており、働き方や経歴が年収に影響していると考えられます。
契約職員の男性では、月収同様に正職員より高い結果です。パート・アルバイトも男女ともに全産業平均より大幅に高い金額となっています。
平均賞与(ボーナス)
薬剤師 | 全産業平均 | ||
---|---|---|---|
正職員 | 男性 | 96万1,100円 | 103万1,100円 | 女性 | 77万6,200円 | 62万7,900円 |
契約職員 | 男性 | 2万8,000円 | 34万4,100円 | 女性 | 8万7,000円 | 14万4,000円 |
パート・アルバイト | 男性 | 3万8,800円 | 3万9,200円 | 女性 | 11万3,800円 | 4万7,700円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」、日本労働組合総連合会「職種別賃金分析(令和4年調査)」より作成
正職員の年間賞与(ボーナス)は男性が96万1,100円、女性が77万6,200円という結果でした。
また、契約職員として働く薬剤師の賞与は正職員よりも大きく下回っており、月収が高い一方で賞与は期待できないと考えておくとよいでしょう。
パート・アルバイトの賞与も正職員と比べると大幅に低いですが、男性は全産業平均と同程度、女性は2倍以上高い水準です。
薬剤師はいずれの雇用形態においても、一般的な賃金よりも高い給料が得られる職種といえますが、男女間で少なからず賃金差があるのも事実です。
2.都道府県別 給料相場
次に、正職員の月収、年収、賞与を都道府県別に紹介します。
月収 | 年収 | 賞与 | |
---|---|---|---|
全国 | 41万4,600円 | 583万3,900円 | 85万8,700円 |
北海道 | 39万7,800円 | 583万2,800円 | 105万9,200円 |
青森 | 44万6,000円 | 651万9,400円 | 116万7,400円 |
岩手 | 39万5,800円 | 584万2,800円 | 109万3,200円 |
宮城 | 41万9,300円 | 543万6,700円 | 40万5,100円 |
秋田 | 40万1,400円 | 590万9,900円 | 109万3,100円 |
山形 | 41万2,000円 | 607万400円 | 112万6,400円 |
福島 | 39万4,000円 | 568万2,700円 | 95万4,700円 |
茨城 | 44万300円 | 636万9,600円 | 108万6,000円 |
栃木 | 44万8,100円 | 664万8,000円 | 127万800円 |
群馬 | 44万1,100円 | 619万6,200円 | 90万3,000円 |
埼玉 | 42万3,100円 | 571万8,300円 | 64万1,100円 |
千葉 | 42万3,500円 | 582万3,100円 | 74万1,100円 |
東京 | 41万4,700円 | 584万8,100円 | 87万1,700円 |
神奈川 | 38万9,700円 | 546万9,900円 | 79万3,500円 |
新潟 | 41万4,800円 | 590万8,000円 | 93万400円 |
富山 | 43万2,900円 | 609万5,900円 | 90万1,100円 |
石川 | 40万5,000円 | 572万700円 | 86万700円 |
福井 | 38万8,900円 | 569万5,800円 | 102万9,000円 |
山梨 | 38万2,700円 | 561万5,300円 | 102万2,900円 |
長野 | 42万2,300円 | 589万8,300円 | 83万700円 |
岐阜 | 40万9,400円 | 571万6,900円 | 80万4,100円 |
静岡 | 43万9,200円 | 637万9,600円 | 110万9,200円 |
愛知 | 40万4,200円 | 581万1,000円 | 96万600円 |
三重 | 33万2,000円 | 491万1,600円 | 92万7,600円 |
滋賀 | 38万6,700円 | 537万1,800円 | 73万1,400円 |
京都 | 43万5,500円 | 633万7,700円 | 111万1,700円 |
大阪 | 44万2,100円 | 632万円 | 101万4,800円 |
兵庫 | 40万6,300円 | 569万1,400円 | 81万5,800円 |
奈良 | 35万6,000円 | 520万6,800円 | 93万4,800円 |
和歌山 | 35万2,900円 | 509万600円 | 85万5,800円 |
鳥取 | 39万7,800円 | 604万1,700円 | 126万8,100円 |
島根 | 45万6,400円 | 617万円 | 69万3,200円 |
岡山 | 36万3,700円 | 534万5,400円 | 98万1,000円 |
広島 | 38万9,800円 | 589万300円 | 121万2,700円 |
山口 | 36万7,800円 | 524万1,600円 | 82万8,000円 |
徳島 | 42万4,800円 | 590万6,700円 | 80万9,100円 |
香川 | 40万8,600円 | 552万9,700円 | 62万6,500円 |
愛媛 | 42万1,300円 | 589万1,800円 | 83万6,200円 |
高知 | 41万4,100円 | 558万2,400円 | 61万3,200円 |
福岡 | 39万6,900円 | 556万7,800円 | 80万5,000円 |
佐賀 | 45万5,200円 | 596万2,600円 | 50万200円 |
長崎 | 42万3,500円 | 623万1,100円 | 114万9,100円 |
熊本 | 53万5,000円 | 684万1,100円 | 42万1,100円 |
大分 | 41万500円 | 571万7,600円 | 79万1,600円 |
宮崎 | 55万3,600円 | 717万7,000円 | 53万3,800円 |
鹿児島 | 46万9,800円 | 599万2,700円 | 35万5,100円 |
沖縄 | 38万8,300円 | 551万9,000円 | 85万9,400円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より作成
月収上位ランキングTOP5
都道府県 | 賞与 | |
---|---|---|
1位 | 宮崎 | 55万3,600円 |
2位 | 熊本 | 53万5,000円 |
3位 | 鹿児島 | 46万9,800円 |
4位 | 島根 | 45万6,400円 |
5位 | 佐賀 | 45万5,200円 |
月収が最も高かったのは宮崎県の55万3,600円で、全国平均よりも約14万円高く、最も低かった三重県を約22万円上回っています。ランキング上位には九州・四国地方の県が名を連ねており、首都圏や関西圏の大都市が入っていないことが特徴です。
年収上位ランキングTOP5
都道府県 | 賞与 | |
---|---|---|
1位 | 宮崎 | 717万7,000円 |
2位 | 熊本 | 684万1,100円 |
3位 | 栃木 | 664万8,000円 |
4位 | 青森 | 651万9,400円 |
5位 | 静岡 | 637万9,600円 |
年収ランキングの1位と2位は月収と同じく宮崎県、熊本県の順となっています。首位の宮崎県は次に紹介する賞与では全国平均よりも低い金額ですが、月収の高さが年収の順位に影響しているようです。
給料は各地域の経済状況や薬剤師の需給状況などさまざまな要因に影響されます。上位5県の平均年齢は全国平均の41.1歳を上回っており、経験やスキルが給料に反映されている可能性も考えられます。
賞与(ボーナス)上位ランキングTOP5
都道府県 | 賞与 | |
---|---|---|
1位 | 栃木 | 127万800円 |
2位 | 鳥取 | 126万8,100円 |
3位 | 広島 | 121万2,700円 |
4位 | 青森 | 116万7,400円 |
5位 | 長崎 | 114万9,100円 |
賞与が最も高かったのは栃木県の127万800円で、続く鳥取県、広島県ともに120万円を超える金額です。首位の栃木県と最下位の鹿児島県とでは、92万円近くの差があり、賞与額は地域差が大きいことがわかります。
また、月収・年収では上位を占めていた九州地方の4県(宮崎県、佐賀県、熊本県、鹿児島県)は、賞与では最下位層に位置しており、賞与はあまり期待できないといえます。
3.職場別の給料相場
薬剤師が活躍する場は多岐にわたります。ジョブメドレーに掲載されている求人から、勤務先別に正職員とパート・アルバイトの給料相場を算出しました。
正職員の月収と年収が最も高かったのは、調剤併設型ドラッグストアでした。調剤機能を持つドラッグストアは店舗数は過去20年で約1.8倍に増加し、売上高は3億7,757万円と過去最高を記録しています(2020年時点)。なかには24時間営業をしているところもあり、深夜割増賃金が給料に含まれていることも高収入の要因の一つと考えられます。
パート・アルバイトの時給相場も正職員と同じ順位となっていますが、調剤併設型ドラッグストアを除いて時給に大きな差はみられません。調剤併設型ドラッグストアの場合、日用品の販売や商品の陳列、在庫管理などの業務が発生することも多いです。
4.年齢別の給料相場
年齢別の月収推移では、ピークを迎える50代後半まで一貫して男性のほうが高い水準で推移しているのが特徴です。女性は30代後半から50代後半にかけて男性との金額差が顕著ですが、40代以降も着実に昇給が見られます。
就労者数を見てみると、30代では男性のほうが女性よりも多い割合となっています。同時期に女性の月収が下がっていることから、結婚や出産などのライフイベントによる離職や時短勤務への変更が生じていると推察できます。
5.勤続年数別の年収相場
次に勤続年数によって年収にどれくらいの変化があるのか、ジョブメドレーに掲載中の求人データから見ていきます。
1年目から3年目ではプラス60万円、勤続10年目にはプラス154万円となっています。なお、入職1年目であっても経験年数やスキル、役職などによりスタート時点の給料は変わります。
6.薬剤師の初任給相場
正職員として働く経験年数0年の薬剤師(20〜24歳)の給料相場は以下のとおりでした。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
月収 | 33万8,500円 | 30万7,900円 |
賞与 | 0円 | 2万1,900円 |
年収 | 406万2,000円 | 371万6,700円 |
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より作成
薬剤師の初任給相場は月収・年収ともに男性のほうが高い結果となっています。薬剤師1年目では賞与は女性のみ支給実績がありますが、額はあまり期待できないといえるでしょう。
7.給料を上げるには転職も視野に!
薬剤師の主な就労先である薬局の数は全国に約6万1,000ヶ所あります(2020年時点)。とくに、20店舗以上を展開するチェーン店薬局の割合が4割近くを占めています。
厚生労働省は、高齢化の加速に伴う処方箋の発行枚数の増加が2030年ごろまでは続く見通しを出しており、薬剤師のニーズは依然高いといえます。現在の職場より給料や働き方を改善したい人は、転職も視野に入れてみるのもよいでしょう。
転職経験のある薬剤師からのアドバイスもチェック!
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参考
- 厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査
- 日本労働組合総連合会|職種別賃金分析(令和4年調査)