1.かかりつけ薬剤師ってどんな薬剤師?
2016年4月から始まったかかりつけ薬剤師とは、かかりつけ医のように一人の患者さんの薬の管理を一元的かつ継続的におこなう薬剤師のことをいいます。
具体的には、処方医と連携して患者さんの服薬状況を把握し、薬の飲み合わせなどのチェックや薬に関する丁寧な説明をおこないます。また、時間外の電話相談に応じたり、患者さんの病態の変化などに関する処方医への情報提供や飲み残し薬の有無を確認したりするなど、「かかりつけ」の名のとおり、一人の患者さんに対して一元的かつ継続的に関わり、その患者さんの薬に関するさまざまなことを包括的にサポートしていきます。
2.かかりつけ薬剤師になるための要件は?
かかりつけ薬剤師になるには、国が定めた要件を満たさなければいけません。国はかかりつけ薬剤師について、「薬や健康、介護のことについて豊富な知識と十分な経験を持ちニーズに合った対応ができること」を要件に掲げています。
具体的には以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
薬剤師になって日が浅い方にとっては、難しい要件となるかもしれません。しかし、これまで経験を重ねてきたベテラン薬剤師にとっては、経験を生かすチャンスとなります。
3.かかりつけ薬剤師の仕事内容
かかりつけ薬剤師は、患者さんに処方された薬をまとめて把握し、支援をおこないます。具体的には、複数の医療機関で処方されている薬や市販薬、普段から摂っている健康食品(サプリメント等)の情報などを収集して整理します。
そのうえで、似た成分の薬が重複していないかどうか、飲み合わせの悪い薬がないかを確認し、必要に応じて処方医にも連絡・相談し、場合によっては薬の量の見直しや処方変更の提案などをおこなうこともあります。薬の管理に不安がある場合には、薬の管理方法に対する助言や、一緒に確認や整理もおこないます。
かかりつけ薬剤師の仕事は、薬に関わることだけではありません。日常生活の中で生じる健康や介護に関する悩みなどの相談にも薬学的視点から応じます。相談に対しては薬局内だけでなく、必要によっては患者さんの自宅に赴き対応することも考えられます。また、夜間や休日などの閉局している時間帯にも相談に応じます。
4.かかりつけ薬剤師は患者さんからの指名制
かかりつけ薬剤師は患者さんからの指名制となっています。指名できるのは国が定めた要件を満たした薬剤師のみです。
まず、患者さんからかかりつけ薬剤師を指名したいとの意思表示があった場合には、同意書の内容を説明したうえで患者さんからの署名を得ます。同意および署名が得られれば、次回の処方時からかかりつけ薬剤師としての仕事ができるようになります。
また、実際にかかりつけ薬剤師が薬を渡す際には、「かかりつけ薬剤師指導料」が発生します。医療保険の負担割合が3割の方であれば、通常に比べて60円または100円程度の負担増になります。
患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握したうえで患者に対して服薬指導等をおこなう場合に算定できるもの
かかりつけ薬剤師は、薬だけでなく、患者さんの健康に関するさまざまなことをサポートします。そのため責任が大きくなりますが、薬剤師としてのやりがいはさらに大きくなるはずです。興味を持たれた方は、キャリアアップの選択肢の一つとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。