
医師の人数は増加。なのに、なぜ医師不足に?
厚生労働省の調査によると、平成26年12月31日現在で全国の届出「医師数」は31万1205人。この数は、2年前に比べると7937人増えています。 人口10万人に対する医師数は244.9人で、こちらも2年前に比べ7.1人増加しています(厚生労働省「平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」より)。
このように全体の数字を見ると医師が増えていることがわかりますが、それでも医師不足に悩んでいる現場もあるのです。医師不足とされているのは主に地方の勤務医。医師が都市部に集中し、地方での勤務医不足を招いていると考えられます。質の高い医療設備やキャリア形成に必要な環境は都市部に集中していることも原因のひとつ。人口減少も進むなか、地方はどうやって医師の数を増やすのかが今後の課題です。
若年層では女性も増加傾向。男女比はどうなっている?
さて、男女比はどうでしょう?この調査によると、医療施設(病院・診療所)で働く医師の数は男性23万6350人(79.6%)、女性6万495人(20.4%)となっており、ほとんどが男性です。ただ年齢別でみてみると、「29 歳以下」では34.8%が女性。ほかの年齢層と比べて女性医師の割合が高くなっています。これは、結婚・出産などのライフスタイルの変化によって、医師という仕事を続けていくのが難しくなる背景もあるでしょう。女性医師にライフスタイルの変化をうまく乗り越えて仕事を継続してもらうために、医療施設もその勤務体制を見直し始めています。
就業先によって医師の年齢はさまざまです
医療施設で働く医師を年齢階級別にみると、「40~49歳」と「50~59歳」がほぼ同数。次に「30~39歳」が多く、「60~69歳」、「29歳以下」、「70歳以上」と続きます。その中でも、「病院」では「30~39歳」、「診療所」では「50~59歳」が最も多い年齢層です。医師の働く場所も、年齢を重ねるにつれて変わっていくようですね。
医師たちは就業先をどうやって決めているの?
調査上では医師の職場は、「医療施設」「介護老人保健施設」「その他」に大別されています。「介護老人保健施設」の医師数は3230人で、2年前に比べ41人増加し、超高齢社会を反映しているのがわかります。「医療施設」では「病院(医育機関附属の病院を除く)」が14万2655人ともっとも多く、「診療所」は10万1884人、「医育機関附属の病院」で5万2306人となっています。
医師たちは、設備や技術向上の環境が充実している都会の大病院に集中する傾向があります。一方で、昨今は少しずつ地域との連携を見直す動きもあるようです。医師や医療技術によるネットワークを構築するなど、地域の医療体制の向上にも目が離せません。医師数が増えた分、全国にバランス良く配置されるといいですね。
時代の変化に合わせ、自分の働き方を考えてみよう
日頃からの健康意識や予防医学への関心が高まっている超高齢社会の今、医療に対する意識も環境も大きく変わってきています。その中で医師の数、男女比、年齢も徐々に変化していっています。日々どんどん進んでいく医療技術研究のなかで専門分野を深く突き詰めていくのか。患者と向き合い命を守る臨床医としてやっていくのか。職場はどうするのか。都市なのか、地方なのか。実にさまざまな選択が待ち受けています。じっくりと自分を見つめ「医師」への復職・転職を考えたいですね。