目次
1.介護職の離職率は改善している
2021年時点における介護職の離職率は14.3%で、全産業の13.9%と大きな差はありません。「介護職は離職率が高い」というイメージを持たれがちですが、近年は大幅に改善していることがわかります。
離職率は改善が進んでいるものの、慢性的な人材不足の課題を抱えている事業所はいまだ多い状況です。事業所を対象におこなった調査によると、介護サービスに従事する従業員の過不足状況において「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した割合は約60%で、とくに訪問介護が最も高く80.6%という結果でした。
介護職員の数は年々増加しているものの、高齢化が進んでいることや業務量、待遇面への不満などから人材が定着せず、不足に悩まされている事業所も少なくないことが伺えます。
介護職を辞めたいと思う理由
介護職員の離職理由に関するアンケート結果によると、「職場の人間関係に問題があったため」が最も高い結果でした。介護業界は施設勤務のほか訪問介護など、職場によってさまざまな人間関係があります。指導方法が厳しかったり業務量の多さから十分なコミュニケーションがとれなかったりと、人間関係で悩む人は多いようです。
そのほかの理由では、ライフステージの変化によるものや将来への見込みが立たなかったなどが上位にありました。
>介護職の離職理由ランキングと働く人のリアルボイスはこちらをチェック
2.離職率の調べ方
就職・転職を考えるとき、安定して働くためにも離職率の高さは気になるものです。就職を検討している事業所の離職率を調べる方法は主に3パターンあります。
介護サービス情報公表システムを使う
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、介護保険法に基づく全26種類54サービスに関する情報が公表されています。離職率を調べるには、まず事業所や施設のある都道府県を選び「介護事業所を検索する」をクリックします。次に「キーワード検索」に事業所名を入力するか、表示される条件を選択して事業所を検索します。目的の事業所が表示されたら「詳細情報を見る」から「従業者情報」を選択すると前年度の退職者数がわかります。
また、離職率は以下の計算式で算出できます。
離職率(%) = 離職した人数(介護職員の退職者数)÷ 総従業員数 × 100
求人をチェックする
求人のなかには、求めるスキルや業務内容、給与など最低限記載すべき事項以外にも、離職率やその低さをアピールしているものもあります。ジョブメドレーでも、市区町村や特徴などを入力するフリーワード検索で「離職率」と入れて探すことができます。
離職率の低さをアピールしている求人例
- 離職率が極めて低い一番の理由は、やっぱりスタッフの仲の良さかもしれません。
- 2022年度は離職率4%!職員の定着率が高い施設です。
- 実際に当院の離職率は大変低く、長期で勤められている方が多くいらっしゃいます。
事業所に聞く
求人や事業所のウェブサイトなどを見ても離職率の記載がない場合、事業所に聞くのも手です。実際に求人に応募して面接となれば、最後のほうに質問はないか聞かれることがほとんどです。そこで、長期的に働きたいことをアピールしつつ、離職率を聞いてみるのも良いでしょう。
しかし、面接では聞きづらい人もいると思います。ジョブメドレーではメッセージ機能を使って応募先に質問を送れるので、離職率に関して聞いてみるのも良いでしょう。
>ジョブメドレーに掲載中の事業所に応募〜質問を送る方法はこちらをチェック
3.転職活動でチェックすべきポイント
介護業界で人手不足が叫ばれている昨今、引く手あまたとはいえ労働環境や業務内容が合わず短期間で退職してしまうのは避けたいところ。転職活動で後悔しないためにも、以下のポイントをチェックしましょう!
労働条件を確認する
介護職の離職理由の一つは収入や労働時間などの待遇面です。これらは求人に明記されていますが、面接時や労働条件が提示された際には細かく確認するようにしましょう。
また、ほかの事業所と同じような労働条件にもかかわらず給与が極端に高い場合は、人材の流出が著しく業務量が多いなど、何か理由がある可能性があります。担当する業務や役割、人員配置についても確認することをおすすめします。
職場見学する
選考の前後で職場見学をおこなう人は多く、入職前に働く環境やスタッフ、利用者を自分の目で見ることで働くイメージを持ちやすくなります。職場見学の際は、施設の衛生面、スタッフ同士や利用者とのコミュニケーション・表情、職員の数などをチェックしてみましょう。
>職場見学でチェックすべきポイントやマナーはこちらをチェック
4.離職率は判断材料の一つ
介護の現場では深刻な人手不足の問題を抱えているところもあります。求職者に対して何件の求人があるかを示す有効求人倍率を見てみると、介護職は3.54(2023年5月時点)と全産業の1.10と比較して高い状況です。急速な高齢化だけでなく、人間関係や待遇面など職場環境も要因となり離職、人手不足につながっていると考えられます。
離職率が低い職場はそれだけ定着率が高いということであり、安定して働けるかどうかの判断材料となります。就職・転職活動で希望する条件は人それぞれです。業務内容や待遇、今後のキャリアプランなど優先順位をつけて希望に合う職場を探してみてください。