大学で福祉を学んだ学生の進路事情とは?
超高齢社会を迎え、福祉を担う人財の育成は重要な課題です。特に、福祉を専門に学んだり資格を取得したりしている学生は、業界全体にとっても、各事業所にとっても期待の星です。学生自身も、将来の福祉を担うことを目指し、また福祉業界への就職に有利な資格を身につけるために福祉系の大学を選んでいるはずです。そんな彼らは実際に福祉の道に進んでいるのでしょうか?実は、福祉系大学・学部の公表している就職状況から見えてくるのは、福祉の道に進む割合が少ないという事実です。福祉施設に就職する割合は20%前後というところが多いようです。
福祉を学んだ学生が福祉の進路に進まない理由とは?
せっかく専門的なスキルや資格を身につけたのに、福祉の道に進まないのはなぜでしょうか?
それは、福祉の進路を選んだ場合の、処遇の低さや賃金格差の問題が考えられます。また、最近は新卒学生の就職市場が好況で、他業界も採用数が増えたり、魅力的な初任給を提示されたりするというのも影響しているでしょう。もちろん幅広い選択肢から進路を選ぶのは重要なことです。しかし、福祉以外の道を選んだ学生のなかには、福祉の進路に進みたいと考えていたけれど、処遇や賃金であきらめたというケースも多いのが現状です。
大学で福祉を学んだ学生が福祉の進路で活躍するために
事業所にとっても、福祉を学んだ新卒学生は大変魅力的です。しかし、現状では新卒の学生を採用するのは難しく、結果的に現在働いているスタッフにしわ寄せがきている状況です。福祉の進路に進みたいと思っている学生の選択を妨げないような環境を整えたいものです。そのためには、国全体として処遇や賃金の改善に取り組むことはもちろんですが、私たちにもできることがあります。それは、現在働いている先輩たちが、仕事の魅力を学生たちに伝えていくことです。先輩の姿や声を見聞きする機会が多ければ、「大変だけれど、やりがいがある仕事」ということが学生にもきっと伝わるはずです。