目次
志望動機を考える7つのポイント
作業療法士の転職で履歴書や職務経歴書を書く際には、これまでの経験をアピールするだけではなく、作業療法士としてのあなたの魅力を伝えることも大切です。
応募先が求めるスキルを有していることも重要ですが、似たようなスキルを持った応募者がいた場合、志望動機の内容が結果を左右することもあります。
以下7つのポイントを意識しながら考えてみましょう。
1.応募先の情報収集をする
公式サイトやパンフレットに目を通し、理念や運営方針を把握しましょう。応募先がどのような姿勢でリハビリテーション業務に取り組んでいるかがわかります。
2.自分の考えやエピソードを交える
応募先の理念や運営方針に共感するのは大切ですが、「理念に共感し志望しました」だけでは説得力に欠けます。応募先にどう共感したのか、そして自分の考えや経験とどのように結びついているかを具体的なエピソードを通じて伝えましょう。
3.ネガティブな理由はポジティブに変換
職場への不満が理由で転職する場合、そのまま伝えるとネガティブな印象を与えてしまいます。「スキルをより高めたい」「より良いキャリアを築きたい」といったポジティブな表現に変えることで、成長意欲や前向きな姿勢を強調できます。
>ポジティブな表現の解説はこちら
面接で聞かれる短所を長所に言い換えるコツ100選
4.向上心や長く働く意思を見せる
多くの施設では、長く働いてくれることを期待しています。そのため応募先でどのように活躍し、貢献したいかを伝えられると良いでしょう。
5.200〜300文字程度で書く
短すぎる志望動機は熱意が伝わりにくく、長すぎる文章は読み手への配慮が欠ける、または考えがまとまっていないと判断されてしまいます。簡潔に要点を伝えるために、以下の順序で構成すると伝わりやすくなります。
- 志望するきっかけや動機
- これまでの経験や考え
- どのように貢献できるか
6.うそをつかない
志望動機でうそをつくと、面接で矛盾が明らかになったり、入職後にミスマッチが発生してしまったりする可能性もあります。応募先に迷惑をかけてしまうだけでなく、結果的に合わない職場に就職・転職してしまっては自分にとってもマイナスになります。
>経歴詐称についての詳しい解説はこちら
経歴詐称がバレたらどうなる?詐称の項目や損害賠償について解説
7.最後に誤字脱字を確認
提出前に必ず誤字脱字のチェックをおこないましょう。表記のミスが合否に直結するとは言い切れませんが、選考に影響を与える可能性があります。
【ケース別】作業療法士の志望動機の例文
ここからはさまざまな志望動機の例文を紹介します。これらを参考にあなた独自の志望動機を考えてみてください。
新卒の例文
高校時代、母が交通事故でリハビリを受けました。その際、作業療法士の方が母の趣味である編み物を再び楽しめるようサポートする姿に感銘を受け、作業療法士を志しました。大学の実習では、回復期病棟で患者さまが生活動作を取り戻す支援に取り組み、多職種との連携や情報共有の重要性を学びました。この経験から、さまざまな職種と協力しながら、患者さま一人ひとりに寄り添った支援ができる作業療法士になりたいと考えています。
異業種から転職の例文
以前は広告会社で働いていましたが、家族が認知症と診断され、介護に直面したことをきっかけに自身のキャリアを見直すようになりました。介護を通じて、作業療法士の方が趣味を取り入れた支援で家族に笑顔をもたらしてくれたことに感銘を受けました。この経験から、人の生活を豊かにする支援がしたいと思い、作業療法士の資格を取得しました。貴施設は地域密着型の支援をおこない、患者さま一人ひとりに寄り添ったリハビリを提供している点に強く共感しています。前職で身につけたコミュニケーション力を活かし、患者さまが安心して充実した生活を送れるよう貢献したいと考えております。
キャリアアップを目的とした例文
現在は高齢者施設で働いておりますが、精神疾患を持つ方の社会復帰支援にも携わりたいと考え、転職を希望しています。とくに、創作活動を通じて患者さまが自信や達成感を取り戻し、前向きな生活を送れるよう支援する取り組みに魅力を感じています。貴院ではリハビリプログラムに創作活動を積極的に取り入れ、患者さまの可能性を広げる支援をおこなっている点に共感しました。これまで培った高齢者支援の経験に加え、新たな分野で知識や技術を深め、学会発表などを通じて専門性をさらに高めていきたいと考えております。
ワーク・ライフ・バランス改善の例文
貴施設を志望した理由は、ワーク・ライフ・バランスを整えつつ、患者さまへの支援の質を高めたいと考えたためです。現職のリハビリ病棟では長時間勤務が常態化し、新たな学びの機会を確保することが難しい状況です。貴施設では柔軟な勤務体制を整え、スタッフ間の連携を重視したリハビリを提供されている点に魅力を感じました。これまでの経験を活かしながら、患者さま一人ひとりに寄り添った支援をおこない、作業療法士としてさらに成長していきたいと考えております。
ブランク明けに復職する場合の例文
出産と育児のため一時職を離れておりましたが、子どもの保育園入園を機に復職を決意しました。以前勤務していた病院では主に高齢者のリハビリを担当し、患者さまが日常生活で「できる」を一つひとつ取り戻す姿にやりがいを感じておりました。貴施設の復職支援体制に魅力を感じ、これまでの経験を活かしながら、患者さま一人ひとりに寄り添う支援をおこないたいと考えております。
パートタイムを希望する場合の例文
以前は精神科病院に勤務し、音楽療法や芸術療法を通じて患者さまの自己表現や自己肯定感を高める支援に取り組んでまいりました。子育てと親の介護によりフルタイム勤務が難しくなったため、柔軟な勤務体制を持つ貴施設での勤務を希望しております。これまでの経験を活かしながら、限られた時間の中でも質の高いリハビリを提供し、心身の回復を支援したいと考えております。
管理職の例文
これまで病院と訪問リハビリの現場で、患者さま一人ひとりに寄り添った支援を提供するとともに、スタッフ間の連携強化にも取り組んでまいりました。リハビリの質を向上させるには、個々のスタッフの成長と、組織全体の効率的な運営が不可欠だと実感しております。貴施設のチーム医療を重視する取り組みを拝見し、その体制をさらに発展させる役割を担いたいと感じています。これまで培ったリーダーシップと現場経験を活かし、患者さまの生活の質向上に直結するリハビリサービスの実現を目指してまいります。
【職場別】作業療法士の志望動機の例文
病院(回復期)
現職では整形外科に勤務し、外来リハビリを提供しています。患者さまを支援するなかで、急性期から回復期、生活期に至るまでの回復プロセス全体を包括的に支えたいと考えるようになり、回復期病院への転職を希望しました。貴院では地域連携を強化し、退院後の生活環境まで視野に入れた支援をおこなっている点に魅力を感じています。貴院の充実したリハビリ体制のもと、長期的なリハビリ計画の立案や多職種との連携スキルを磨きながら、患者さまの社会復帰を全力で支える作業療法士を目指してまいります。
病院(精神科)
現在は訪問リハビリに従事し、手工芸や創作活動を通じて患者さまの支援に取り組んでいます。大学時代の精神科病院での実習を通じ、心の回復を支援する作業療法に強い関心を持ちました。訪問リハビリで培った経験を活かし、精神科の現場でさらに専門性を高めたいと考えています。貴院の個別性を重視したリハビリに共感し、創作活動を活用した支援を通じて、患者さまの精神的な健康を取り戻すサポートに尽力したいと考えております。
訪問リハビリ
以前、訪問リハビリを経験した際、患者さまが「自宅で生活できる喜び」を実感し、ご家族と笑顔で過ごす姿に深い感動を覚えました。この経験から、訪問リハビリが患者さまの自立を支えるだけでなく、ご家族の生活にも大きな影響を与える役割を果たすと感じています。現職では訪問リハビリに携わる機会が限られているため、専門的に取り組む環境を求めて転職を決意しました。貴施設が在宅医療に力を注ぎ、地域に根差したサポートをおこなっている点に魅力を感じ、訪問リハビリを通じて安心できる生活環境づくりに貢献したいと考えております。
通所リハビリテーション・デイケア
在宅強化型の介護老人保健施設で5年間勤務し、リハビリ支援に携わってまいりました。入所者さまが在宅復帰を目指してリハビリに励む姿に感銘を受ける一方で、入退所を繰り返す方が多い現状に直面し、住み慣れた環境での支援の重要性を感じました。デイケアでは、利用者さまが自宅での生活を続けながらリハビリを受けられるため、在宅支援をより身近な形でおこなえる点に大きな魅力を感じています。貴施設では、利用者さま一人ひとりの目標に合わせた個別リハビリを提供されていると伺いました。これまでの経験を活かしながら、利用者さまの機能回復や生活の質向上に向けて尽力したいと考えております。
介護老人保健施設
病院の回復期リハビリテーション病棟で5年間勤務し、在宅復帰を支援してまいりました。そのなかで、退院後の生活を継続的に支える重要性を感じ、在宅復帰を目指す介護老人保健施設での勤務を希望するようになりました。貴施設では、利用者さま一人ひとりの生活状況や目標に合わせた個別リハビリを提供し、多職種が連携して在宅復帰を支える体制が整っている点に魅力を感じております。これまでの病院での経験を活かしながら、利用者さまとじっくり関わり、生活に密着した支援を通じて、在宅復帰と生活の質向上に貢献していきたいと考えております。
児童福祉施設(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)
これまで病院のリハビリ病棟で勤務しておりました。知人の子どもが発達障害と診断され、リハビリに関する相談を受けたことをきっかけに、児童の発達支援に関心を持つようになり、未経験分野ながら挑戦を決意しました。貴施設では、遊びや創作活動など、子どもの興味関心に合わせた支援を重視しており、その取り組みに大変共感しております。これまでの病棟での経験を活かしながら、子どもたちが成長を実感し、自信を持てるような支援をおこない、貴施設に貢献したいと考えております。
志望動機が書けない場合は?
志望動機がない、思いつかない、明確でない場合は、以下の2点を掘り下げてみましょう。
自分と志望先を結びつける
まず、自分の興味関心、強み、目標、好きなこと、得意なことをリストアップしてみましょう。次に、志望先の運営方針や理念を調べます。これらの情報を照らし合わせることで、自分の能力や興味が志望先でどのように貢献できるかが見つけやすくなります。
学んだことや経験を振り返る
学生時代に学んだことや以前の職場で経験して身につけたこと、あるいは日常生活での気づきを振り返ってみましょう。それらの経験が志望先での仕事にどう役立ち、どのように貢献できるかを考えることで、志望動機が明確になっていきます。
志望動機のNG事項
志望動機が漠然としている
採用担当者が志望動機から読み取りたいのは、仕事に対する意欲や熱意です。その職場でなければいけない理由や、どのように働きたいかを具体的に伝えることが大切です。
待遇面を押し出す
給与や福利厚生は志望先を選ぶうえで大切な要素です。しかし、志望動機として前面に出し過ぎるのは避けましょう。待遇を理由にすると、採用担当者は「ほかに条件の良い職場があればすぐに辞めてしまうのでは?」と危惧します。志望動機はあくまで事業内容や仕事内容に照らしたものが望ましいでしょう。
例文を丸写しする
面接対策の本やネット上で紹介されている志望動機の例文は、一般的な表現でしかありません。志望動機は自分の経験やスキルを反映したものであるべきです。例文を参考にする際は、自分自身の経験や考えを取り入れてアレンジし、よりあなたらしい志望動機に仕上げましょう。
面接で志望動機を伝えるコツ
履歴書の志望動機と一貫性を持たせる
面接で志望動機を聞かれたら、履歴書に記載した内容をベースに話しましょう。履歴書の内容と違うことを話すと、志望動機に一貫性がないと判断されてしまいます。面接では履歴書に書いた志望動機を深堀りして質問されることもありますので、あらかじめ関連するエピソードを考えておくと良いでしょう。
結論→理由→展望の順に話す
志望動機を伝える際はまずその応募先を選んだ理由を簡潔に伝えます。「◯◯◯をしたくて御社を志望しました」のように結論から話すことで、面接担当者は要点をつかみやすくなります。
次に、結論に至った理由を自身の体験や考えにひもづけて話し、入職したらどのように働きたいか展望を述べることで伝わりやすい志望動機になります。
結論:御院ではリハビリプログラムのなかに創作活動を取り入れており、患者さまの個性に応じた支援ができる点に魅力を感じています。
理由:高齢者施設に10年間勤務し、さまざまな要介護度の方にリハビリを提供してきました。その経験を通じて、患者さまが個性を表現できる活動がリハビリの効果を高める重要な役割を果たすことを実感しました。御院が創作活動をリハビリプログラムに取り入れている点に共感し、その取り組みに携わりたいと考えています。
展望:今後はこれまでの経験を活かしながら、患者さまの個性に応じた支援をおこないたいと考えています。また、学会での発表も精力的におこない、地域を代表するような作業療法士になることが目標です。
なお、文語(書き言葉)では「貴」を使い、口語(話し言葉)では「御」を使うのが一般的です。
>敬称の解説はこちら
「貴院」と「御院」……病院の正しい「敬称」はどっち?
2分を目安に話す
志望動機は約2分を目安に話すと良いとされています。短すぎると熱意が伝わりにくく、長すぎると面接担当者が要点をつかめないためです。
人が1分間に話せる文字数は250〜300文字とされています。履歴書の志望動機に関連するエピソードを加えるなどしながら、2分を目安に話せるよう事前に練習をしましょう。
作業療法士の面接対策の解説はこちら
【作業療法士の面接対策】よく聞かれる15の質問と回答例、見られるポイントを解説
志望動機の書き方のポイントを押さえよう
志望動機は履歴書に記載する必要があり、面接でもほぼ確実に質問されます。適切な対策を取らなければ合否にも関わります。この記事で紹介したコツや例文を参考にしながら、熱意が伝わる志望動機を考えてみてください。
#作業療法士 #就職 #転職 #履歴書 #志望動機 #志望理由 #面接 #面接対策