目次
密着した人
生活支援員 高川裕子さん
放課後等デイサービスや移動支援事業所で働いたのち、引っ越しを機に「障がい者グループホームわおん」へ入職。現在は6人のお子さんを育てながら、夜勤の生活支援員として、利用者の生活をサポートしている。
生活支援員とは?
生活支援員とは、障がいを持った人が自立した生活を送れるよう、入浴や排泄、外出の付き添いなど、生活全般を支援する職種です。障がい者グループホームの夜勤の仕事では、生活の見守りに加えて、夜間の巡回や夕食・朝食の準備などをおこないます。
▼動画で密着インタビューを見る!
【16:00】出勤・夕食準備

グループホームわおん草加稲荷は、埼玉県草加市にある、戸建てタイプの障がい者グループホームです。取材時点では、6名の利用者さんが生活しています。

出勤後、まずおこなうのは夕勤からの申し送り確認です。利用者さん一人ひとりの体調や気分、日中の様子について、丁寧にチェックします。

申し送りの確認を終えたら夕食の準備です。この日のメインはシーフードオムライス。利用者さんが居室から出てくるタイミングに合わせて、手際よく準備します。
【18:00】夕食提供

わおん草加稲荷では、利用者さん一人ひとりが落ち着いて食事を楽しめるよう、持ち帰り形式で食事を提供しています。
まずは3名の利用者さんが夕食を取りにきました。高川さんは優しく声をかけながら持ち帰る様子を見守ります。
【18:40】サービス提供記録の確認・記入

食事の提供を終えたら、サービス提供記録を記入します。利用者さんの体調や入浴時間、その日交わした会話の内容など、一人ひとりの様子を細かく記入していきます。
【20:30】掃除

衛生面の観点から、食器は一度洗ったあとに再度消毒します。

食器の消毒を終えたら、トイレ、廊下、階段の順に室内を清掃します。利用者さんは音に敏感な人も多いため、大きな音を立てないよう、注意を払っているそうです。早朝に音を立てないよう、朝食の仕込みもこの時間に済ませておきました。
【21:30】システムへの記録入力

請求業務用のクラウドシステムに、食事や入浴時間など、その日の支援内容を記入します。
高川さん:監査が入ると、サービス提供記録とクラウドシステム、出勤簿のすべてがチェックされるんです。内容にズレがあると大変なので、抜け漏れがないよう細かく記入しています。
【22:30】翌朝の準備

食事や清掃に使ったタオルの洗濯や、キッチンの片づけを済ませました。朝の支度がしやすいよう、前倒しできることは夜のうちに済ませておきます。
【22:40】休憩

夜の業務がひと段落したら、高川さんの自由時間です。この日の夕食はコンビニで買った手羽先とあさりの味噌汁。日によってはお菓子などの軽食で済ませることもあるそうです。
【23:00】巡回

巡回は一晩に2回おこないます。まずは1回目の巡回です。足音を立てないように注意しながら、各居室の前で耳を澄ませ、室内の様子をうかがいます。

巡回中、利用者さんの1人が起きてしまいました。眠れないとのことで、医師から処方された薬を渡し、再び眠りにつけるよう優しく声をかけます。
夜中に利用者さんが目を覚ますことは珍しいそうですが、こうしたイレギュラーな事態にも対応できるよう、夜間の巡回は欠かせません。

2回目の巡回までは待機時間です。待機時間は、調べ物やPTAの作業をするなど、自由に過ごせます。
【2:00】巡回

2回目の巡回です。この日は目覚めてしまった利用者さんがいたので、普段よりも念入りに確認しました。
【2:30】仮眠

全員の就寝を確認したら、朝まで仮眠を取ります。
【6:20】起床・朝食準備

2回目の巡回以降は何事もなく、無事に朝を迎えました。起床後は朝食の準備から始めます。利用者さんは6時半ごろに起床するので、音を立てないよう注意しながら準備を進めます。
【7:00】朝食提供

朝食の時間です。一人ひとりと挨拶を交わしながら、体調確認もおこないます。昨晩目覚めてしまった利用者さんは、薬が効いてぐっすり眠れたようです。

利用者さんの朝食の用意ができたら、倉庫で薬を補充します。

この日実家に帰る予定の利用者さんから声をかけられました。昨晩の雨で自転車が濡れてしまい困っているそうです。
高川さんも利用者さんと一緒にカッパを洗濯したり、自転車を拭いたりして準備を手伝います。
【8:00】サービス提供記録の入力

サービス提供記録にバイタル・様子・食事量などを記入します。

まだ朝食を取りにきていない利用者さんがいたので、居室まで届けに行きます。

別の利用者さんが食事を終えたので、バイタルを確認します。

実家に帰る利用者さんをお見送りします。いつも姿が見えなくなるまで見守るそうです。

お見送りやバイタルチェック、薬の準備などの合間をぬって、サービス提供記録の入力や施設の片付けを進めます。
週末は比較的落ち着いた時間が流れますが、平日は利用者さんの仕事の準備などで慌ただしくなるそうです。
【9:00】退勤

退勤の前に掃除やゴミ捨てを済ませ、施設をきれいな状態にして退勤します。
高川さん、お疲れさまでした!
高山さんに聞く生活支援員の心得

──夜勤の仕事でやりがいを感じる瞬間は?
やっぱり、利用者さんが食事をおいしそうに食べてくれるときですね。ここのみなさんはいつも「おいしかったよ」「明日のご飯は何?」など、温かい言葉をかけてくれるんです。家で子どもにご飯を作る時間も幸せなんですが、「おいしい」と言ってもらえることがあまりなくて(笑)。
──わおん草加稲荷の夜勤の仕事の魅力は?
集中して作業に取り組める時間があることですね。趣味に関することを調べたり、資格の勉強をしたりと、自分の時間が確保できるのはこの仕事ならではの魅力だと思います。私の場合、日中は子育てに追われているので、ここで過ごす静かな夜は本当に貴重な時間なんです。
最近は、以前から興味があった児童発達支援士の勉強をして、資格試験に無事合格できました。
──仕事をするうえで心がけていることは?
常に精神状態を一定に保つことです。利用者さんは周囲の状況にとても敏感なので、一人の不安がみんなに広がってしまうこともあります。私が動揺してしまうと、周りに大きな影響を与えてしまうので、家庭や職場で何が起きても、利用者さんの前では決して気持ちがブレないよう心がけています。
▼動画で密着インタビューを見る!
取材協力:合同会社ライトハウス