【生活支援員インタビュー】41歳男性の履歴書・志望動機・面接対策(夜勤専従介護職→生活支援員)

今回お話を聞いたのは、40歳で長年勤めてきた高齢者介護から障害福祉の仕事へ転職したTさん。自身が障害者手帳を受け取ったことをきっかけに「仕事を通して障がいを持つ方を支援したい」と考えるようになったと言います。Tさんが実際に書いた履歴書を見せてもらいながら、面接経験や書類の書き方、職場選びのポイントについて聞きました。

【生活支援員インタビュー】41歳男性の履歴書・志望動機・面接対策(夜勤専従介護職→生活支援員)

1.今回インタビューしたのはこんな人

生活支援員 41歳のパーソナルデータ

──Tさんは今回が3回目の転職なんですね。今までの経歴を簡単に教えてください。

新卒で就職したのは社会福祉法人の老健(介護老人保健施設)ですね。8年間勤めて、認知症の方が入るグループホームや同じ法人内の別の老健特養(特別養護老人ホーム)への異動を経験しました。

次の職場は別の社会福祉法人のグループホームで、そこでは2ヶ月働きました。

その後はケアハウス(軽費老人ホーム)で夜勤専従の介護職として6年ほど働き、2020年の7月から今の職場である知的障害者施設へ転職しました。

──ありがとうございます。ちなみにグループホームを2ヶ月で辞めてしまったのは……。

自分の体調が悪かったのと、会社の方針とも合わなくて、人間関係も良くなくて……と悪いことが多かったんですよ。

生活支援員Tさんインタビュー
取材はオンラインでおこないました

──そうだったんですね。3回目の転職となる今回は、どんな転職理由だったんですか?

「障がいを持つ方の支援をしたい」という気持ちが強かったんです。

僕は不安障害やうつ状態といった精神疾患があって、数年前に障害者手帳を受け取ったんですね。そのときから「障がいを持つ方を支援する仕事に就きたいな」と考えるようになったんですよ。それで2020年に精神保健福祉士の資格を取ったので、資格も活かしながら支援ができたらと思うようになりました。

あとは前職で夜勤専従の介護職を6年間続けたんですが、だんだんモチベーションが下がってきまして。働く環境を変えたかったというのもあります。

──ご自身の経験や資格を活かしながら、環境を変えて働きたいと考えたんですね。転職先を探すときに重視したポイントを教えてください。

まず重視したのは会社名や事業所名の言いやすさですね。

と言うのも、僕は吃音症で。会社名や事業所名は勤務中に何度も口にするので、言いにくくないかが大切だったんです。それで選ぶと候補が半分くらいに減っちゃうんですけどね(笑)。

あとは年間休日数も重視しました。精神疾患があるので無理せずしっかりお休みを取りながら働きたくて。今の職場は年間で120日くらいお休みがあります。

──希望通りの働き方ができているんですね。

もうひとつ、転職理由にも関係する「障がいを持つ方を支援できる仕事か」も重視しました。

転職活動中は「精神保健福祉士を活かせたら」と思っていたんですが、実際に働いてみると精神保健福祉士よりも介護福祉士のほうが活きているなと感じます。今の職場は精神障害の方よりも知的障害の方が多いので、介護の知識や経験が役に立っています。

ただいずれにせよ、今までの経験を活かして障害者支援ができていますね。

生活支援員Tさんインタビュー

──今回の転職では、いくつかの求人に応募しましたか?

全部で3つの求人に応募しました。

精神病院で働く精神保健福祉士、就労継続支援事業所で働くサービス管理責任者候補、そして今の職場である知的障害者施設の生活支援員ですね。精神科病院と就労継続支援事業所は不採用でした。

──求人を探すときはサイトやエージェントなどを利用しましたか?

いえ、とくにサイトなどは使っていなくて。

ハローワークに何回か足を運んで求人を検索しました。ハローワークだと地域に密着した求人が探せるので、過去の転職活動でも使っていました。

──転職活動期間はどのくらいでしたか?

4ヶ月程度ですね。

前職を辞めたのが2020年の1月末で、2月に精神保健福祉士の試験がありまして。その合格発表が3月だったので、そのあとから本格的に活動を始めました。

2.生活支援員の履歴書(実例)

生活支援員 41歳の履歴書
※証明写真部分は取材中の写真に変更しています

──履歴書は手書きで作成したんですね。

ハローワークで相談したときに職員さんから「手書きのほうが印象が良いですよ」と勧められたのと、単純にパソコンで履歴書を作成する方法がわからなかったので手書きにしました。

でも書くのに苦労しましたね(笑)。

──何回か書き直しましたか?

3〜4回書き直したんじゃないかな。

学歴・職歴の部分を間違えてしまって……入学・卒業、入社・退社の年数を逆算するのが大変でした。

生活支援員Tさんインタビュー

──重要でありながら間違えやすい部分ですよね。ご自身でうまく書けたなと思う部分はどこですか?

特技の欄でしょうか。今働いている知的障害者施設では、体力も大事になってくるんですよね。僕は山登りやランニングが趣味なので、体力に自信があるということを記載しました

この部分は面接でもよく話題になりましたよ。今の職場の面接でも、面接官の方と山登りの話で意気投合しまして! 書いて良かったなと思いますね。

──面接官の印象にも残りそうですね。ほかに心がけたことはありますか?

本人希望記入欄に吃音症のことや精神疾患のことを書くようにしました。過去の転職活動では履歴書に書いてなかったんですけど、やっぱり重要なことだと思ったので。

生活支援員 41歳の本人希望記入欄

“吃音症があり、主に会話で困ることが多いですが、最後まで相手に自分の意見を伝えます。また、不安障害、うつ状態があり、落ちこみやすい面がありますが、自己管理に努めます。”

──なるほど。志望動機を書くのに苦労する人が多い印象ですが、Tさんはどうやって考えましたか?

まずは絶対にアピールしたいこと、伝えたいことを決めました

自分の障がいについてと、約15年間の高齢者介護経験があることと、山登りやランニングで体力に自信があること──この3つは書こうと決めて。

予め志望動機に盛り込む内容を決めたことで、スムーズに書くことができました

生活支援員 41歳の志望動機

“私自身、障害があり、障がい者支援に関心をもっています。分野は違いますが、約15年間の高齢者介護の経験は御社でも生かせると思っています。

また、日頃からランニング、山登りをしており、体力には自信があります。”

──履歴書に貼った証明写真はどこで撮影したものですか?

近所のスーパーの横にある写真機で撮りました。

──撮影時の服装は覚えていますか?

上下ともスーツを着て、靴もしっかり革靴を履いていましたね。

──撮影時に心がけたことはありますか?

ネクタイが曲がりやすいので気をつけました

あと撮影した写真機の横が大きな通りなので、人に見られている感じがして気になるんですけど、平常心を保って表情を作るように心がけました。普段着ないスーツを着ていたのでなんだか緊張しましたね(笑)。

ジョブメドレーからのアドバイス

今回の履歴書について、ジョブメドレーのキャリアサポートに「良い点」「改善できそうな点」を聞いてみました。

生活支援員 41歳の履歴書

1.設けられている記入欄は埋める意識を
現住所欄のふりがなも記載しましょう。設けられている記入欄がしっかり埋まっていると、面接官への印象も良いです。

2.職歴の末尾には「以上」を記載
職歴欄の一番下には、右寄せで「以上」と記載しましょう。職歴の最後に「以上」と書くことで、履歴書を読む人に向けて「これ以降の職歴はありません」「職歴に書き漏れがありません」ということを示せます。在職中の場合は「現在に至る」と記載しましょう。

3.資格取得年月の記載を忘れずに
普通自動車第一種免許の部分にも、取得年月を記載しましょう。取得年月は免許証で確認することができます。

4.自分自身をしっかり紹介できていて◎
自分自身の疾患や仕事への影響、それをフォローする意志について記載されており、履歴書を通して読み手にしっかりと自己紹介ができています。

志望動機では「この事業所へ入りたい!」という気持ちをもう少しアピールできると、更に良いですね。

5.「御社」「貴社」の書き分けに注意!
応募先の敬称は、履歴書・メールなどの書き言葉では「貴社」を、面接・電話などの話し言葉では「御社」を使用します。

3.生活支援員の面接対策

生活支援員 41歳の面接対策

──面接はオンラインでしたか? 対面でしたか?

対面でした。今の職場以外の2社も対面式でしたね。

──今の職場の面接は何回ありましたか?

1回だけでした!

面接を受けた日は、面接前に作文もありましたね。「障害者支援について書きなさい」といったテーマで、原稿用紙で4枚ほど書いた記憶があります。

──作文もあったんですね。テーマは事前に知らされていたんですか?

知らされていませんでした。でも精神保健福祉士のテキストの「知的障害者施設」の項目を読んでから臨みましたね。

面接官の方が面接前に作文を読んでくれていたようで「良い文章でした」と褒めてくださいました。自身の障がいを開示しながら、精神保健福祉士や介護福祉士の資格を持っていることを存分にアピールできたからだと思います。

──好感触だったんですね。面接官は誰でしたか?

3名いて、真ん中に理事長、両サイドに理事の方がいました。

──それは緊張しそうな面接ですね……! 面接官が3名だと、面接にかかった時間も長かったのでは?

それが短くて、10分くらいだったんですよ。

──そうだったんですね! 面接ではどんなことを聞かれましたか?

やっぱり山登りの話題になりました(笑)。あと業務で送迎があるので車を運転できるかの確認も。

そして自分の病気のこと──とくにうつ状態のことは仕事にどれくらい影響がありそうかを聞かれましたね。

履歴書の職歴部分では、グループホームを2ヶ月で辞めた理由も聞かれました。

──返答に困った質問はありましたか?

無かったですね。嘘を言わずに自分の考えを素直に伝えるようにしていました

──面接前はどんな対策をしましたか?

履歴書を読み返して、自分が書いた内容を確認していました。聞かれそうな質問の答えを用意するまではしていないですね。

──作りこみ過ぎず、自然な返答を意識したんですね。当日の服装は?

スーツでした。証明写真の撮影時と同様に、ネクタイが曲がっていないかをしっかり確認しました。

──なるほど。ほかにどんなことを心がけましたか?

さっき言ったように質問に対して素直な気持ちで答えること。あとは吃音症のこともあるので、長々と話すのではなくて短めに答えるようにしていました。

──素直に簡潔に、を意識したんですね。面接から内定の連絡まではどのくらいでしたか?

ハローワークの求人には「1週間程度」と書かれていたんですが、実際は3〜4日で来ました。

面接の感触が良くて、理事長が内定のような雰囲気を出していたので、自分でも「採用されそうだな」って思いましたね。

生活支援員Tさんインタビュー

──山登りの話題で盛り上がれたことで、Tさんの人柄が伝わったのかもしれませんね。

そうですね。理事長や理事との相性が良かったなと思いますね。

──今回の転職を振り返って「良かったな」と思う点を教えてください。

転職活動期間は4ヶ月ですが、焦らず1ヶ所ずつ丁寧に選考を受けたのが良かったのかもしれません。

自分が転職活動をしている間も妻は仕事をしているので、苦しく感じることもありましたけど(笑)。でも落ち着いて、自分がやりたい仕事をしっかり考えながら活動できたのが良かったですね。

──同時に3ヶ所へ応募するのではなく、1ヶ所ずつ進めたんですね。

はい。1つの面接の合否が出てから次に進んでいました。周りからは心配されることもありましたが、1ヶ所ずつ進めることで集中できたと思います。

──自分に合った進め方が一番ですもんね。

転職活動中は失業手当を受け取っていたので心の余裕があったんですよ。僕は障害者手帳を持っているので給付日数が300日と通常より多かったんです。

前職を辞めてから再就職するまで5ヶ月かかりましたが、失業手当の給付日数が多く残っていたので再就職手当も多くいただけました。

──失業手当が心の余裕につながって、転職活動に集中できたんですね。

あと、転職してパートから正社員になったのでかなり収入が増えたんですよ。前職の夜勤専従は月給が19万だったんですが、今は30万になりました。年収で言えば260万から450万に増えたので、本当に大きな変化です。

個人的には収入はあまり重視していなかったんですけど、妻や子どものことを考えると「良かったな、転職が成功したな」と思います

──収入が大幅に増えたのは嬉しいですね。反対に「もっとこうすれば良かった」と思う点はありますか?

とくに浮かんでこないですね。でも予想外だったのは、精神保健福祉士を活かせる求人が思ったより少なかったことですね。

もし今働いている職場から内定をもらえていなかったら、もう一度高齢者介護をやろうかなとも考えていたところだったんですよ。なので今の職場から内定をもらえたのは、自分にとって大きな分岐点だったなと感じています。

生活支援員Tさんインタビュー

──「障害福祉の仕事がしたい」との思いから転職に踏み切りましたもんね。最後にTさんから転職のアドバイスをお願いします!

僕は今回40歳で転職しましたが、この年代は経験や資格がかなりものを言うと思うんですよ。40歳になってから全く別の分野へ転職することは、容易ではないんじゃないかなと。

実は僕自身、30代前半のときに介護以外の業種の面接をいくつか受けてみたんですが、どれも簡単に落ちてしまって。30歳以上での転職は大変だということを実感してるんです。

なので若いうちから経験を積んだり資格を取ったりすることが、転職を含めた後々のキャリアに活きてくるんじゃないかなと思いますね。

ジョブメドレーからのアドバイス

今回の面接対策について、ジョブメドレーのキャリアサポートに「良い点」「改善できそうな点」を聞いてみました。

1.作文・面接の準備が◎
事前にテキストを読んでから作文と面接に挑んでおり、準備が素晴らしいです!

2.事業所への質問は理解が深まる!
職員や職場の雰囲気等、面接時に聞いてみたいことを自分なりにいくつか用意できるとより良いですね。自分から質問してみることで、応募先への理解が深まるでしょう。

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