改正高年齢者雇用安定法により引き伸ばされつつある定年
2013年4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。この高年齢者雇用安定法により、原則希望者全員を65歳まで雇用することが使用者の義務に。60歳を定年とするのが多いなか、この法律では定年を迎えた従業員が勤務の継続を希望した場合、事業者は65歳まで継続して雇用しなければなりません。
厚生労働省は、団塊世代が全員75歳以上となる2025年、介護職に携わる人材として250万人が必要であると試算しています。ますます進む高齢化と介護の需要にともない、医療介護業界では今よりさらに人材の確保が課題となるでしょう。そのため、定年の引き上げを行う事業所が増えていくことが予想されます。
薬剤師は定年後の勤務継続や転職も可能
医療業界で定年後も働き続けることが可能な職種の1つとして薬剤師があげられます。薬剤師は病院・調剤薬局・ドラッグストア・薬品メーカーなど、幅広い分野で活躍する職種。定年は雇用先により異なりますが、一般企業と同様に60歳と定められていることが多いようです。しかし、定年退職の際には希望をすれば勤務延長制度や再雇用制度ができ、これまでと同じ職場で働き続けることも可能です。
ただ、なかには「プライベートを充実させたい」「ゆとりを持って働きたい」「新しいチャレンジをしてみたい」と考える方もいるでしょう。そのような場合でも、再雇用制度を使っての就職、派遣やパート・アルバイトという勤務形態も選択できます。薬剤師が活躍する場は多種多様。自分に合った求人が見つかりやすいと言えるでしょう。
定年退職後も活躍できる医療事務という仕事
医療事務も長く活躍しやすい職種のひとつ。パートの求人も多く、ライフステージの変化に合わせて働きやすいというメリットがあります。また、医療事務といっても職場によって業務はさまざま。一般的にイメージしやすいのは病院や開業医、調剤薬局ですが、高齢化にともない需要が高まっている介護施設という選択もあります。
医療事務は民間団体が認定するものも多くあり、年齢に関係なく取得できる資格のため、年齢を重ねてからのチャレンジもできます。ただ、医療事務はこういった背景から人気の高い職種。自分に合った職場で定年後も長く働きたいのであれば、早い段階で求人の情報収集をしたり、職場の定年と継続雇用や再雇用について調べておくとよいでしょう。
医療介護業界では定年制度の廃止も増加
高齢化がすすむ日本は、健康寿命が長く、年齢を重ねてもまだまだ働きたいという人が増えています。その一方で、介護を必要とする人も増加しており、医療介護施設も増え続けています。そのため、医療介護業界はこれからも人材不足が続いていくでしょう。近年、この問題を解決するため、事業所の中には定年制度を廃止するところが出てきました。また、パートについては契約期間を定めずに無期限で雇用するという制度を設けるところもあるようです。これは、人材不足の解消を目的とするだけでなく、これまでに培った介護技術などの能力を活かせる人材を長く確保し、サービスの質を保つというねらいもあります。
医療介護業界には、無資格から就職でき、働きながら資格の取得にチャレンジできる職種もあります。実際に定年後の60歳で介護の仕事に就き、働きながら介護福祉士の資格を取得してがんばっている方もいます。人手不足が懸念される医療介護業界。定年後も活躍できる可能性が広がっていきそうです。