・「スケーリング」とは歯石除去のこと
きちんとしていると思っている歯磨き。しかし、それだけでは歯の汚れは完全に落としきれません。残った歯垢や歯石は、虫歯や歯周病の元になります。歯に付いた歯垢や歯石をきれいに取り除くには歯科医院での処置が必要で、その処置がスケーリングです。「歯石取り」や「歯石除去」とも呼ばれ、「SC」と表記されます。
虫歯や歯周病の予防をするためには、3か月から6か月程度の間隔でスケーリングをおこなうことが目安とされており、スケーラーという器具を使って歯に付いた汚れを掻き出します。この処置ができるのは歯科医師もしくは歯科衛生士で、歯科助手はおこなうことができません。
・「P処」とは歯周病の処置のこと
P処とは歯周病に対する処置のことで、「ペリオ処置」を略したものです。ペリオとは歯周病のことで、頭文字のPのみを使って表記します。
この処置は先にお話したスケーリングのあとにおこなわれるもので、患部の状態に応じて麻酔をしたり消毒をしたりすることを指します。P処という言葉は一つの処置を表すものではなく、歯周病のケアに関して幅広く用いられるものです。
P処もスケーリングと同じく歯科医師もしくは歯科衛生士がおこなうこととなっています。歯科助手はあくまでアシスタントで、処置をおこなうことはできません。
・「TBI」とは歯磨き指導のこと
TBIとは“Tooth Brushing Instruction”の頭文字を取ったことばで、歯磨き指導のこと。歯科医師や歯科衛生士がおこないます。
歯磨き指導は虫歯や歯周病の予防・治療に欠かせない重要なプロセスです。患者さんの中には、歯磨きの目的や重要性を十分に理解できていない方もいます。TBIは患者さんに歯磨きの重要性を伝えることから始まります。歯科衛生士は、歯並びや歯肉の状態にあった適切な歯ブラシの選び方をアドバイスし、歯垢を効率的に除去する歯ブラシの当て方や動かし方などの基本から、歯間ブラシやフロスの使い方まで指導します。
・「印象採得」とは歯型を取ること
口の中を忠実に再現する模型を作るため、歯型を取ることがあります。この作業が「印象採得(いんしょうさいとく)」です。
歯科医師もしくは歯科衛生士がトレイにやわらかく流動的な素材(印象材)を盛り入れて、患者さんの口の中に押し入れます。2~3分後くらいに硬くなったら取り出します。これをもとに、歯科技工士が模型を作成します。
1回目の概略的な型取りは概形印象といって、診断や治療計画を立てるために使います。入れ歯を使って口の中の筋肉などを再現する機能印象や、さらに精密に再現した精密印象は入れ歯作りに使います。歯科助手は、印象材を練る、器具を手渡すなど、医師や歯科衛生士のサポートをおこなうことがあります。
・専門用語はたくさん! よく使うものから覚えておこう
歯科助手は患者さんの処置に直接関わることはありません。しかし、歯科医師や歯科衛生士のアシスタントとして診療のサポートをする立場である以上、専門用語をよく理解しておくことが大切です。スタッフ同士のコミュニケーションがよりスムーズになりますし、歯科助手の動きで歯科医師や歯科衛生士の仕事のしやすさが変わってきます。
歯科業界で使われる専門用語はたくさんありますし、なかなか覚えられないものもあるでしょう。仕事の合間にメモしながら、まずはよく耳にするものから覚えていきましょう。