株式会社ツクイは、1983年から介護事業に取り組む業界大手です。デイサービスや訪問介護のほか、介護付有料老人ホームを全国で28施設運営しています(2026年10月時点)。
今回訪ねたのは、横浜市の介護付有料老人ホーム。定員98名、要介護1〜5の方が生活しています。
話を聞いたのは、他社の有料老人ホームでの経験を経て入社した介護スタッフのHさん。転職の経緯や現在の仕事内容、ツクイで働いて感じたことなどを聞きました。

介護会社の総務、有料老人ホームの介護職を経て、2025年2月に入社。介護福祉士資格を保有。
学生時代に受けた「ありがとう」から介護の道へ
──介護の仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。
Hさん:小学校の同級生が8人という、人口の少ない地域で育ちました。近所のお年寄りはみんな私の顔を知っていて、かわいがってくれました。でも、年月が経つにつれて、その方たちは年齢を重ね、だんだん外に出なくなったり、会話が減ったりしていきました。
高校生のとき、昔かわいがってくれた近所の方と久しぶりに会いました。大きな荷物を持っていたので「持ちますよ」と声をかけたら、「ありがとう」と言ってもらえたのがすごくうれしくて。お年寄りの力になれるから、介護の仕事っていいかもしれない、と思うようになりました。
それをきっかけに、高校卒業後は介護会社の総務に就職しました。
──現場ではなく、総務を選んだのはなぜですか?
商業高校で事務やパソコンの授業が多かったので、介護会社の事務職なら、学校で学んだ事務の知識と、介護の仕事に携わりたいという思いを両立できると思いました。本当は最初から介護の現場に行きたかったのですが、介護の仕事をしていた親の意見もあり、まずは事務職として介護の仕事に携わることを選びました。
──希望していた介護現場には異動できたのでしょうか。
介護現場で働きたいという希望を伝えていましたが、総務課は私一人だけだったこともあり、引き続き事務を担当してほしいと言われました。そのため、自分の希望する働き方を考え、1年で退職を決めました。
次の職場に選んだのは、有料老人ホームです。最初は同年代のスタッフがいなくて緊張しましたが、慣れるにつれてだんだんとコミュニケーションが取れるようになっていきました。何より、現場でお客さまと関われることがうれしくて、やりがいを感じられました。
──そこから、ツクイへの転職を考えたきっかけを教えてください。
前職で4年ほど働いたころ、SNSで見かけた介護美容学校の広告に興味を持ち、受講を始めました。ご高齢の方を対象にしたネイルやメイク、ハンドトリートメントを学べる学校で、前職で働きながら週1回通いました。
その学校では、転職先の紹介もしていました。ちょうど実家を出て自立したいという気持ちもあったので、いいタイミングだと思い地元を離れることにしました。そのときに紹介されたのがツクイでした。
──ツクイに決めた理由は何でしたか?
一番惹かれたのは、レクリエーションです。事業所内で企画するのはもちろん、アニマルセラピーなど、外部から専門の方を呼んで実施することもあるのに驚きました。
福利厚生では、資格手当があることも大きかったです。介護福祉士の資格手当は月1万5,000円が支給*されますし、夜勤手当も出るので、一人暮らしを始めるうえで安心材料になりました。
*本社常勤のスタッフは対象外
仕組みが違えば、ケアも変わる。経験者が感じたツクイの特徴

──1日の業務の流れを教えてください。
日勤の日はこのようなスケジュールで働いています。

──有料老人ホームを2ヶ所経験されて、違いを感じることはありますか?
業務内容は基本的に変わりませんが、大きく違うのはスタッフの担当の仕組みですね。
前職ではスタッフ全員で全フロアを見ていましたが、ツクイではフロア単位で担当が決まっています。接するお客さまがある程度決まっていることで、一人ひとりと関わる時間が長く、お客さまとの関係を深めていけることに魅力を感じています。
フロアごとにもカラーがあって、今担当しているフロアはゆったりとした雰囲気、以前担当していたフロアは活気のある雰囲気です。お客さまが私のことを「私の孫」と呼んでくださることもあって、そういうふとした瞬間がうれしいですね。
──ほかにも変わった点はありますか?
記録や夜間の巡視がスムーズであることは大きいです。ツクイに来て、スマートフォン1台で記録ができて、インカムでほかのフロアともやりとりができるのは、すごく便利だと感じました。ちょっと空いた時間に記録できるので、時間を有効に使えます。
夜間は、見守りセンサーも活用しています。ベッドで就寝されているかどうか画面上で確認できるので、夜間の見守りがしやすいです。睡眠の状態もわかるので、心拍が下がったときなど、設定された条件に応じて音が鳴り、すぐに駆けつけることができます。
──入社後は、どのように業務に慣れていきましたか?
OJT期間があり、一対一で先輩にしっかり教えてもらいました。私の場合は、まず最初の1ヶ月は日勤での業務をひととおり学び、2ヶ月目からは夜勤での業務について覚えていきました。
“スキル”が活かされ、“やりたい”がかなう環境

──看護スタッフや機能訓練指導員など、ほかの職種と連携する場面はありますか?
よくあります。例えば、退院直後で状態が不安定なお客さまがいたときは、その方に合った車いすの種類や座り方について、機能訓練員と相談しながら調整しました。
行事の場面でも関わることは多いです。敬老の日には、調理スタッフや機能訓練員と協力しながら、お客さまの目の前で天ぷらを揚げるイベントを企画しました。すごく盛り上がって、“チームで取り組んでいる”ことをあらためて感じましたね。
──入社理由にレクリエーションがありましたが、Hさんも企画や運営に携わりますか?
以前、ハンドトリートメントのイベントを企画したことがあります。私が介護美容の学校に通っていたことを知っていた係長が「やってみない?」と声をかけてくれました。自分でも、言い出すタイミングを模索していたところだったので、「ぜひやらせてください」とお願いしました。
当日は、一緒に介護美容を学んでいた方たちにボランティアとして参加してもらい、お客さまのご家族にも来ていただきました。お客さまからは「気持ちいいね〜」「温かいわね」という声があちこちから聞こえてきて、昔の思い出話をしてくださる方や、ウトウトと目を閉じられる方もいらっしゃいました。お客さまが楽しんでくださる姿を見て、「自分のやりたかったことはこういうことだったんだ」と気づくきっかけにもなりました。

──学んだことが活かされたんですね。そういった企画は自由に提案できるのですか?
行事委員会というのがあって、多職種のスタッフが集まって毎月みんなで行事を考えています。自分がやりたいことがあれば、企画書を書いて提案できる仕組みです。
委員会はほかにも種類があり、任期は約1年です。私は今、事故リスク委員会を担当しています。月に1回、その月に発生した事故の原因と対策を共有し、各フロアにも周知しています。
それから、フロアごとに係もあって、以前はホームページへの投稿を担当していたこともあります。
夜勤中の看取りで考えた、「ここで良かった」と思ってもらえる介護

──ツクイで働いていて、印象に残っていることを教えてください。
夜勤で、看取り期のお客さまを担当したときのことが印象に残っています。呼吸の様子がいつもと違うことに気づき、ほかの夜勤者を呼びました。ご家族へ連絡をとっている間に、その方は息を引き取られました。もう少し早く気づけていたら、ご家族が最期に立ち会えたかもしれないという思いは、しばらく心に残りました。
その後、ご家族からお礼のお手紙が届きました。「夜中のお看取りでしたが、皆さんが優しく対応してくださって感謝しています」という内容が書かれていました。ご家族から直接お手紙を頂くのは初めてでしたし、少し胸のつかえが取れたというか……「続けていてよかったな」と感じました。
──ご家族の言葉によって、前向きに受け止められるようになったんですね。
看取りを経験すると、介護って何だろうと考えさせられます。お客さまが最期を迎えるときには、「ここで良かった」「この人に看取られて良かった」と少しでも思ってもらえるような介護をしたいと、あらためて思います。
──そういった経験を重ねられて、日々のケアで大切にしていることは何ですか?
ホームはお客さまが日々の生活を送る大切な場所と考えています。そのことを意識して、いつもお客さま目線でケアすることを大切にしています。
ご本人の意思を尊重し、例えば、食事をご提供したときに「食べたくない」とおっしゃるお客さまがいれば、どうして食べたくないのかを考えます。今日も、「フロアに出たくない」とおっしゃる方がいらっしゃいました。朝食も召し上がっていなかったようなので、お部屋でなら召し上がっていただけるかもしれないと考え、お部屋に食事をお持ちして、「少しでも食べられたら召し上がってください」と声をかけました。
──今後、挑戦してみたいことはありますか?
また介護美容に関わる企画をやりたいです。次はネイルができたらいいなと思っています。いつまでもきれいでいたいと願うお客さまに、ネイルを楽しめることを伝えていけたらと思います。
もっと先のことだと、いつかケアマネジャーを目指して勉強したいですね。自分の強みにもなると思いますし、お客さまとご家族、そして事業所をつなぐ存在になれたらいいなと思います。
──最後に、ツクイの介護付有料老人ホームへの転職を考えている方へメッセージをお願いします。
私は有料老人ホームしか経験がないので、ほかの介護サービスのことはよくわかりません。でも、365日24時間過ごす自宅のような場所だからこそ、より深く関わることができ、そこが介護のおもしろさなのかなと思います。
少しでも興味をお持ちなら、ぜひ一度事業所を見に来ていただきたいです。
※掲載内容・所属・肩書はインタビュー時点のものです。