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コラム2020/08/31
入居者一人ひとりに向き合う「ユニットケア」の特徴とは?

近年、「特別養護老人ホーム(特養)」で増えてきているユニット型(新型特養)。そこでおこなわれる介護手法「ユニットケア」には、どんな特徴があるのでしょうか。

特別養護老人ホームのユニットケアとは

1.ユニットケアとは?


「ユニットケア」とは、介護施設の入居者やスタッフが共同生活するなかで、入居者一人ひとりの生活スタイルを尊重する介護手法のこと。福祉国家であるスウェーデンの介護手法を参考に、日本では2000年ごろから取り入れられるようになりました。

それまで一般的だった従来型の介護手法は、多くの高齢者を効率的に介護することを優先されていました。施設全体で食事時間や入浴時間は決められており、個人の生活リズムに柔軟に対応することが難しかったのです。

さらに従来型では、複数人でひとつの部屋を共用する「多床室」も多く、プライバシーが尊重さず、個人の尊厳が軽視されているという問題が指摘されるようになりました。

このような「集団ケア」の問題点を解消するために誕生したのが、入居者一人ひとりの状況に応じた「個別ケア」が実現できる「ユニットケア」なのです。

2.ユニット型特養でおこなうユニットケアの特徴

ユニットケアを採用している特別養護老人ホーム(特養)は、「新型特養」「ユニット型特養」と言われます。国が2002年から設備補助などをおこなっていて、ますます広がりを見せています。ユニット型特養での生活はどのようなものか、見てみましょう。

ユニット型特養の生活イメージ
ユニット型特養の生活イメージ


そもそも「ユニット」とは、10人前後の少人数グループのこと。ユニット型特養では、ユニットごとに「共同生活室」と呼ばれるリビングスペースが存在し、そのすぐ近くに入居者一人ひとりの個室(または準個室)が設置されています。

厚生労働省がまとめた「2015年の高齢者介護」という調査があります。それによると、ユニット型の個室では、入居者は自分の居場所づくりに熱心な傾向が読み取れます。

愛用の家具を持ち込んだり、絵や写真などで自室を飾ったりしているのです。だからといって自室に引きこもるのではなく、リビングでの滞在率が高くなるという興味深い結果も出ています。ベッドでの滞在率が低くなり、ポータブルトイレの利用も減るというのです。

■特別養護老人ホームの個室・ユニット化による入所者の変化
変化前 変化後
ベッド上の滞在率 67.7% 40.2%
リビングの滞在率 16.7% 42.8%
日中に占める睡眠時間 42.3% 22.5%
日中に占める食事時間 7.6% 11.3%
一人当たり食事量 1,463Kcal 1,580Kcal
ポータブルトイレ設置台数 29台 14台

■特別養護老人ホームの個室・ユニット化による介護スタッフの変化
変化前 変化後
居室の滞在率 39.2% 18.0%
廊下の滞在率 9.2% 4.9%
リビングの滞在率 9.4% 37.5%
直接介助の時間 46.2% 33.1%
余暇・交流の時間 20.3% 24.1%

こうした入居者の行動の変化によって、介護の介入度がゆるやかになり、スタッフの居室滞在率や直接介助の時間が減るので、介護スタッフはユニットごとに少人数の人員が配置されるようになっています。

3.介護者の力量が問われるユニットケア

とはいえ、介護スタッフの介入度の低下が、そのまま介護が軽減すると考えるのは早いかもしれません。それはユニットケアでは、従来とは求められる介護の質が異なるためです。

ユニットケアは、施設全体での日課を定めないことに特徴があります。入居者は各自の生活リズムによって、自らの暮らしをコントロールすることができます。介護スタッフは流れに沿った介護をするのでなく、利用者に合わせた対応が求められます。入居者同士の人間関係を考慮しながら、各自の心身の状態を把握。そのうえで、生活を送るなかで一人ひとりが求めること・ものを見出し、サポートしていくことが重要となってきます。

前述した「2015年の高齢者介護」のデータでは、介護スタッフも入居者とともに、リビングでの滞在時間や交流時間が増えたという結果があります。介護スタッフも、施設を構成する一員ということを意識しながら、入居者と接することが大切です。

画一的なケアでない分、介護者の力量が問われるのがユニットケアの特徴かもしれません。難しさがある反面、効果を実感したときの喜びも大きいでしょう。



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