内視鏡室ってどんなところ?その特徴とは
内視鏡室とは、内視鏡を使った検査・治療を担当する部署です。医療機関によっては内視鏡外来と呼ぶところもあります。内視鏡は消化器がんの早期発見に役立つことからその需要が高く、クリニックでも内視鏡設備を置くところが増えています。内視鏡室の業務の範囲は医療機関によってさまざま。消化器だけでなく気管支内視鏡など、他の診療科の内視鏡検査・治療をおこなっているところもあります。
検査はどの医療機関においてもほとんど違いはありませんが、内視鏡でできる治療はポリープや早期がんの切除だけでなく、異物の除去・出血に対する止血処置・食道静脈瘤の硬化や結紮・胃ろう造設・胆管のステント留置・胆石の除去など多岐に渡ります。どのような治療をおこなっているのかは医療機関の規模で異なってきますので、内視鏡室に勤務する看護師の業務内容も、職場ごとに違いがあります。
なお、2014年のデータでは内視鏡下消化管手術を行っている病院は2,790施設あり、73,610件の手術が行われています(厚生労働省 「医療施設調査 平成26年医療施設(静態・動態)調査 」より)。
内視鏡室で働くということ その仕事内容と役割
内視鏡室での看護業務は大きく分けて2つあります。それは、検査や治療で使う物品の準備や片付け・洗浄・点検などの業務的なもの、そして検査や治療に関する説明・検温・前処置など患者さんに対しておこなうものです。内視鏡室の看護師は医師がおこなう検査・治療の介助の役割を担っているため、患者さんごとの診療内容をしっかり把握しておかなければなりません。また、万が一患者さんの様子が急変したときにも臨機応変に対応できる知識や技術も必要です。
看護師が的確に動くことで医師はスムーズに検査・治療をおこなうことができますし、それは患者さんにとっても、苦痛が少なく安全に診療を受けられるというメリットにつながります。内視鏡室は入院病棟と違って、患者さん一人ひとりと関わる時間はごくわずか。しかし、そんな中でも患者さんの不安をできるだけ軽くし、少しでもリラックスして治療や検査を受けられるように声かけをし、精神的なサポートをすることも大切な役割なのです。
内視鏡室勤務に向き不向きはあるの?
内視鏡室での仕事は、病棟や外来とはまた違った特徴があります。内視鏡室では検査・治療の両方に直接携わることができるため、内視鏡に関するさまざまな知識や看護技術が習得できます。「消化器内視鏡技師」という専門資格が取得できるということも、内視鏡室に勤務する大きなメリットの1つです。この資格は2年以上内視鏡検査・治療に携わっていて、資格取得のために必要な講習を受けた看護師であれば受験可能というもの。ですから、内視鏡室での仕事は、内視鏡に関する知識や技術を学びたい人だけでなく、専門資格の取得に興味のある人にも向いていると言えるでしょう。また、内視鏡室は残業が少ない傾向があります。そのため、家事・育児と両立させたい人やパート・非常勤勤務を希望する人にも向いています。
その一方で、内視鏡室は病棟より患者さんと接する時間が短く、患者さんとじっくり関わる機会が少ないという特徴があります。また、患者さん一人ひとりに合わせてさまざまな看護展開をする病棟よりも、仕事内容がパターン化していることも。そのため、「看護をする」という意味では物足りなさを感じる人もいるでしょう。性格や仕事に対する考え方などによって、適性が分かれてくるお仕事です。
内視鏡室の看護師は専門性が高く、経験があれば、転職やブランクからの復帰の際に就職先の選択肢が広がります。働き方が自分に合っていると感じたら、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。