そもそも、透析とは?
慢性腎不全などが原因で腎機能が低下すると、腎臓で血液をろ過する機能が低下するため、人工的に血液をろ過する必要があります。透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類の方法がありますが、それぞれの治療法のメリットデメリットなどを考慮し、患者の状況に応じて選択されます。腹膜透析は患者さんが自ら自宅や職場で行う方法で、通院は月に1、2回必要です。血液透析は定期的に通院して透析室で行う方法で、週3日ほどの通院が必要になります。いわゆる「透析室で働く看護師」というのは、主に血液透析に関する看護に従事する看護師のことを言います。
どのような役割を担っているの?
透析室看護師の役割は、大きく分けて3つあります。
(1)透析の準備・穿刺・抜針・止血
透析には専用の人工透析機械が必要となるため、透析前にその準備を行います。患者が来院したら体重や血圧の測定等の状態チェックを行い、透析を開始します。血液透析は、血液透析用に造設された血管(「内シャント」と呼ばれる、手首の動脈と静脈を吻合して太くした血管)に針を刺し(穿刺)、透析用の血液回路を接続して血液浄化を行います。終了したら針を抜き(抜針)、止血します。この一連の流れを看護師が行います(施設によっては医師や臨床工学技士が行う場合もあります)。
(2)透析中の患者の看護
透析中は患者の状態に変動が起きやすく、血圧低下がないか、気分が悪くなった人はいないかなど、注意深く観察することが必要です。
(3)患者の健康管理と生活指導
人工透析を受ける患者は、体重管理、食事制限、活動制限、内シャントの管理など、日常生活において注意を払わなければならないことがたくさんあります。患者の状態に応じた適正な管理をするために、正しい知識を提供し、また制限等を遵守する方法を指導し、管理が行われているか適宜チェックする必要があります。患者の健康管理やそのための生活指導は、患者のQOLやひいては予後に直結するため、非常に重要な役割と言えます。
透析室の看護師、どんなやりがいがあるの?デメリットは?
透析患者は、週に3日ほど通院して、1回4時間ほどの透析を受けます。透析治療は基本的には生涯必要になる場合が多いため、患者と長い付き合いになる場合が多く、一対一で密に時間をかけて関わることができます。
また、透析に特化した業務になるため、専門的な知識を深く得ることができます。よりエキスパートとしてスキルアップするなら「透析療法指導看護師」「腎不全看護認定看護師」「透析技術認定士」などの資格取得制度もあり、知識や技術の幅を広げることも可能です。
働き方の面では、透析室は基本的に日勤のみの場合が多く、比較的生活とのバランスがとりやすい職場と言えます。しかし、中には夜勤があったり、土日も開院しているために勤務がシフト制であったりするケースも。そのため、事前にチェックが必要です。
デメリットとしては、透析についての知識が深まる一方で、他の一般的な看護の技術や知識とは少し離れる部分も多く、透析室以外への転職が難しい場合もある、という面が挙げられます。反対に一般病棟からの転職や異動の場合には、透析の専門知識や技術について覚える内容が非常に多く、勉強が大変です。
また、透析室はワンフロアで開放空間の場合が多く、他のスタッフや患者との関わりが目に入りやすく、人間関係のトラブルが発生しやすいという特徴もあるようです。
スキルアップする意思とそれに伴う努力、また、コミュニケーション能力などが必要とされると言えるのではないでしょうか。