まずは「救急指定病院」についておさらい
救急指定病院は消防法の「救急病院等を定める省令」によって定められています。救急指定病院とは、救急患者の診療に協力できるという旨を都道府県に申し出た医療機関のうち、認定条件を満たし、かつ都道府県知事が認めた病院・診療所のことを指します。救急業務は都道府県それぞれが医療法における医療計画によって、症状と緊急性から3段階に分けて医療体制を整えています。この3段階というのが、一次救急、二次救急、三次救急にあたるのです。一次救急は、初期救急とも呼ばれています。
軽症患者に救急医療を提供する一次救急
一次救急(初期救急)とは、入院の必要がなく帰宅可能な軽症患者に対して行う救急医療のことです。ですから、患者は自分自身、もしくは家族など身近な人に付き添ってもらって来院します。一次救急の診療は都道府県に配置されている休日夜間急患センターで行っているほか、救急指定を受けている地域の開業医や病院が1日ずつ在宅当番となって行っています。一次救急の整備状況は、2014年3月の時点で休日夜間急患センターが560施設、在宅当番医制をとっている地域は621あります。
24時間体制で救急患者を受け入れる二次救急
二次救急が提供できるのは、24時間体制で救急患者の受け入れができるようになっていて、
- ・手術治療も含めた入院治療を提供できる設備が整っていること
- ・救急医療の知識と経験が豊富な医師が常に従事していること
- ・救急患者のための専用病床が整備されていること
などの条件を満たしている病院です。二次救急は、二次救急の指定を受けた病院が病院群輪番制や共同利用型病院方式などの方法で対応するのが特徴です。病院群輪番制とは、二次救急の指定を受けた複数の病院が当番制で救急患者の受け入れ・診療を行うという方法のこと。もう一方の共同利用型病院方式とは、その地域の拠点病院などが施設の一部を開放し、そこに地域の医師が出向いて診療を行っています。地域の医師の協力により、休日や夜間の救急診療ができるようになっています。二次救急の整備状況は、2014年3月の時点で2,836施設で、ここ数年減少傾向にあります。
さらに高度な救急医療を提供する三次救急
三次救急は、一次救急や二次救急では対応できない重症・重篤患者に対して行う医療です。三次救急の指定を受けている病院には救命救急センターや高度救命救急センターが設けられており、24時間体制で救急患者の受け入れを行っています。また、三次救急の指定を受けている病院は救急医療の教育機関としての役割も。医師や看護師、救急救命士などが日々救急医療を学んでいます。三次救急対応の病院は年々増加の傾向にあり、2014年3月の時点で266施設となっています。