介護を必要とする人とサービス事業所の橋渡し役
介護問題に直面した人に、頼りにされる存在がケアマネジャー。要支援・要介護の認定を受けた人やその家族からの相談を受けて、必要な介護サービスを組み合わせてケアプランを作成し、介護サービス事業者や施設との橋渡しをする仕事です。
ケアマネジャーは医療職か介護職出身で、介護を受ける人やその家族の話をよく聞いて、身体や家庭の状況をリサーチできる人が向いています。介護サービス事業者などの情報収集や申請手続きなどの事務作業が苦にならないことも大切です。
医療職の知識や体験が活かせる仕事
内閣府の調査によると、住み慣れた自宅で最期を迎えたいという高年齢者は、全回答者の過半数に上りました(平成24年度 高齢者の健康に関する意識調査より)。しかし、病状や介護度によっては、吸引、経管栄養、導尿、インシュリン注射など、高次の医療系サービスを必要とすることもあります。家で暮らすという希望をかなえるには、在宅の介護系サービスとともに、医療系サービスを適切に組み合わせていくことが欠かせません。また、病院から退院するときには、病院やクリニックと介護サービス事業所が情報共有をするために、ケアマネジャーがカンファレンスを実施する医療連携の仕組みもあります。こうしたことから医療情報に詳しいケアマネジャーが求められています。
看護師や作業療法士など、医療職出身のケアマネジャーなら、こういったシーンで医療の専門家としての知識と医療現場の経験を活かすことができます。重い病気を抱えた要介護者やその家族からも、適切なケアプランの作成を行ってくれると信頼を得ることができるでしょう。
受験合格後の研修でケアマネジャーに
ケアマネジャーになるには、都道府県で行われる介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、研修を受けて「介護支援専門員証」を取得する必要があります。受験資格は、医療・保健・福祉の分野で国家資格を持っているか、福祉施設等で生活相談員などの相談援助業務についていること。2017年度の試験合格率は21.5%と、例年の15%前後と比べて高かったものの5人に1人しか受からない難関資格といえるでしょう。ケアマネジャー合格者の内訳は介護福祉士が約6割、社会福祉士は約1割と、介護職の資格者が多く、医療職は1割に満たない状況です。
ケアマネジャー転身のメリットやデメリットは?
ケアマネジャーの勤務条件は施設によって異なりますが、基本的に夜勤はありません。土日休みや残業無しなどの条件付きでも探すことができるでしょう。ただし、ジョブメドレーとハローワークの求人情報をもとに算出した賃金データ(2017年10~12月)によると、看護師や理学療法などの医療職のほうが、ケアマネジャーより平均賃金が高くなっています。転職すると賃金が下がるとまではいえませんが、大幅な増額は期待できないかもしれません。
一方で、医療職がケアマネジャーの資格を取ると、勤務先でのキャリアアップにつながることがあります。転職する場合、まず就職先として考えられるのは介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設です。施設ケアマネは、生活相談員等の職務を兼ねつつ入居者のケアプランを作成する仕事を担当します。
居宅介護支援事業所に就職した場合は、居宅ケアマネとして、利用者の自宅を訪問し相談を受けながらケアプラン作成やサービス事業者との調整を行います。福祉事務所や市区町村福祉担当課など公的な施設でも求人があり、主任ケアマネジャーになると、地域包括支援センターなどさらに職場の選択肢を広げることができます。