
手話通訳士とはどんな職業?必要な資格は?
聴覚等に障害のある人と、そうでない人とのコミュニケーションを手話で中継することを「手話通訳」といいます。手話の知識や技術さえあれば、手話通訳を行うことは自体は可能です。しかし、手話通訳士として幅広いフィールドで活躍するためには、手話の知識や技能、手話通訳を行うものとしての倫理観などについて一定の水準を満たしていると認められる必要があります。
手話通訳士はその専門性を活かし、聴覚等に障害のある人が聞こえないことによって不利益を生じることがないように、さまざまな場所で手話通訳に携わっているのです。
手話通訳士の仕事の具体的な内容は?
手話通訳士の仕事として、まず挙げられるのが個人や企業からの要請を受けて手話の通訳を行う仕事です。また、社会的な信頼度や認知度の高い手話通訳士の資格ならではの仕事としては、衆議院・参議院選挙や都道府県知事選の政見放送、裁判、警察などにおける手話通訳が挙げられます。行政機関などの公的な機関や、専門的な技術が求められる職場においても、手話通訳士が配属されるようになってきています。今後も聴覚障害者の社会進出に伴って、ますます活躍の場は拡大していくことが見込まれます。
手話通訳士になるにはどうしたらいい?
手話通訳士になるためには、厚生労働大臣の認定を受けた、社会福祉法人聴力障害者情報文化センター実施による手話通訳技能検定試験(手話通訳士試験)に合格する必要があります。検定試験は、学科試験および実技試験の二つが行われます。学科試験は障害者福祉や聴覚障害者に関する基礎知識、手話通訳のあり方、国語について、四肢択一方式で行われています。また、実技試験は音声による出題を手話で解答する方法と、手話による出題を音声で解答する方法で行われます。受験資格は20歳以上であることのみですが、2017年度の手話通訳技能検定試験の合格率は8.2%とかなりの難関です。
聴覚障害者の社会参加は拡大しており、手話通訳を必要とする人は増えていますが、手話通訳を担う人の数はまだまだ不足しています。聴覚等に障害を持つ人が安心して生活を送ることができるように、手話通訳士の資格やその重要性が社会に広く認知されていくことが望まれます。