高齢者を地域で支え合う制度
介護予防・日常生活支援総合事業は、2015年の4月1日に施行された新しい制度です。手助けが必要な高齢者に対して市区町村が中心となり多様なサービスを提供します。地域で支え合う体制をつくり、介護予防活動を推進することを目的としています。
対象となる方は、何らかの支援が必要とされる65歳以上の高齢者です。従来の介護サービスにおける要支援1・2の該当者だけでなく、基本チェックリスト(日常生活の状況や心身の状態を確認する25項目の質問)で「事業対象者」と判定された方も、それぞれのニーズに合わせたサービスを受けることができるようになりました。これによって、「要支援」と「非該当」の間を行き来するような高齢者でも、途切れることなくサービスを受けることができます。
2つのアプローチで高齢者を支援
介護予防・日常生活支援総合事業のサービスは、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業の2つに大別されます。
1.介護予防・生活支援サービス事業
対象者は要支援認定を受けた者、及び基本チェックリスト該当者(事業対象者)となります。
- (1)訪問型サービス
- 要支援者等に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援を提供します。
- (2)通所型サービス
- 要支援者等に対し、機能訓練や集いの場など日常生活上の支援を提供します。
- (3)その他の生活支援サービス
- 要支援者等に対し、栄養改善を目的とした配食や一人暮らしの高齢者等への見守りを提供します。
- (4)介護予防ケアマネジメント
- 要支援者等に対し、総合事業によるサービス等が適切に提供できるようケアマネジメントします。
2.一般介護予防事業
対象者は第1号被保険者の全ての者と、その支援のための活動に関わる者となります。
- (1)介護予防把握事業
- 収集した情報等の活用により、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握し、介護予防活動へつなげます。
- (2)介護予防普及啓発事業
- 介護予防活動の普及・啓発を行います。
- (3)地域介護予防活動支援事業
- 住民主体の介護予防活動の育成・支援を行います。
- (4)一般介護予防事業評価事業
- 介護保険事業計画に定める目標値の達成状況等を検証します。
- (5)地域リハビリテーション活動支援事業
- 介護予防の取組を機能強化するため、通所、訪問、地域ケア会議、住民主体の通いの場等へのリハビリ専門職等による助言等を実施します。
介護予防・日常生活支援総合事業の担い手
介護予防・日常生活支援総合事業では、専門職以外の人たちが高齢者支援の担い手となれることが特徴です。主体となるのはNPOや民間企業、地域住民など。さまざまな人材がかかわるため、高齢者の多様なニーズに柔軟に対応することが可能です。また、高齢者はサービスの受け手としてだけでなく、高齢者自身がサービスの担い手として地域に根差した活動を行うこともできます。