病院とクリニックの違いは入院患者の数
クリニック、医院、診療所。小規模な医療施設の呼称はいろいろあります。ただ、どれもみんな法律としての種類は診療所。それぞれに違いはありません。医療法によると、病院は20人以上の患者が入院できる医療施設。診療所は入院できない医療施設、または19人以下の患者が入院できる医療施設と決められています。以前は、主要な5科(内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)があり、100人以上の患者が入院できる病院は総合病院という規定がありました。しかし、総合病院という名称は今でも使用されるものの、法律の改正によって病院と総合病院との区別はなくなっています。
2017年5月末現在、日本国内の病院は8,429施設、診療所(一般診療所)は101,782施設です。そのうち、入院設備のある診療所は7,397施設だけで、約93%は入院施設のない診療所です。
スタッフの配置基準も大きく異なる
もうひとつ、病院とクリニックで大きく違うのがスタッフの数です。療養病床のあるクリニックでも、事務員以外の医療スタッフとして人員配置の基準があるのは、看護師及び准看護師、看護補助者(看護助手)だけ。無床の場合は法律上、医師さえいれば開設できます。
病院では、看護師及び準看護師、看護補助者(看護助手)に加えて、薬剤師、栄養士(100床以上の場合)、科によっては診療放射線技師、作業療法士や理学療法士などのスタッフが必要です。とくに、地域医療をバックアップし救急に対応する地域医療支援病院、高度な医療技術の提供・開発・研修を行う特定機能病院、臨床研究の中心となり研修を行う臨床研究中核病院では、数多くの医療スタッフが必要とされます。
働くうえでの違いはある?
病院は一般的に教育体制が整っていると言われています。例えば、多くの病院で導入されているプリセプター制度。これは、先輩看護師が新人看護師をマンツーマンで指導する教育法のため、病院のようにある程度看護師数がそろわないと導入が困難です。
ただ病院は働く診療科にもよりますが、基本的に夜勤や土日の出勤が求められます。職場によっては緊急呼び出しがあるなど、プライベートの時間が確保しづらいことも。その点入院設備のないクリニックは、診療日や診療時間が決まっているので、ほとんどが日勤のみです。ゴールデンウイークや旧盆ごろ、年末年始にまとまって休める職場が多いのも、魅力の一つではないでしょうか。とはいえ夜勤がない分、病院よりもお給料が下がってしまう可能性があることには注意が必要です。