
最大の違いは経営主体が決められているかどうか
そもそも社会福祉とは、自分の力だけでは解決することが難しい生活上の問題に対して、社会的な支援を行うことです。この社会福祉を目的とする事業のうち「規制と助成を通じて公明かつ適正な実施の確保が図られなければならないもの」を社会福祉事業と呼びます。ここまでは第一種と第二種のどちらも同じです。
第一種と第二種の決定的な違いは、「経営主体が決められているかどうか」という点です。
第一種では、利用者の保護の必要性が高い事業を行っているため、経営が安定している必要があります。そのため、原則として国や地方自治体と社会福祉法人しか行うことができません。
一方で第二種は、利用者への影響が第一種と比べると小さい事業です。経営主体は決められておらず、届出をすれば事業を行うことができます。
第一種福祉事業は利用者の保護を行う施設を運営
それでは、第一種福祉事業サービスについて細かく見ていきましょう。前述したように、第一種では利用者の保護を行います。そのため、入所施設サービスが主となっています。代表的な施設は以下の通りです。
生活保護法によるもの
- ・救護施設
- ・更生施設
- ・生計困難者を無料または低額な料金で入所させて生活の扶助を行う施設
- ・生計困難者に対して助葬を行う事業
児童福祉法によるもの
- ・乳児院
- ・母子生活支援施設
- ・児童養護施設
- ・障害児入所施設
- ・情緒障害児短期治療施設
- ・児童自立支援施設
老人福祉法によるもの
- ・養護老人ホーム
- ・特別養護老人ホーム
- ・軽費老人ホーム
障害者支援法によるもの
・障害者支援施設
共同募金を行う事業
この中で気を付けなければならないのは共同募金です。これまで挙げてきた事業とは一見毛色が違うように見えますが、社会福祉法第113条によって第一種福祉事業に該当すると明記されています。
第二種福祉事業は在宅生活を支えるサービスを行う
第二種福祉事業では、主に在宅生活を支えるサービスを提供しています。第一種と違い、行政や社会福祉法人でなくても事業を行うことができます。主な事業は以下の通りです。
児童福祉法によるもの
- ・保育所
- ・放課後児童健全育成事業
- ・乳児家庭全戸訪問事業
- ・障害児通所支援事業
母子及び寡婦福祉法によるもの
・母子家庭等日常生活支援事業
老人福祉法によるもの
- ・デイサービス事業
- ・認知症対応型老人共同生活援助事業
- ・小規模多機能型居宅介護事業
障害者自立支援法によるもの
- ・障害福祉サービス事業
- ・移動支援事業
- ・一般及び特定相談事業
他にも身体障害者福祉法によるものや身体及び知的障害者への相談事業、生活困窮者への支援など、多種多様なサービスがあります。一部例外もありますが、「第一種は入所サービス」「第二種は在宅サービス」と覚えると、その違いを理解しやすいでしょう。