
対象者が限定される「医師国保」の加入条件は?
日本の公的医療保険には、正社員、公務員、フルタイムのアルバイトの方が加入する「社会保険」と自営業者やアルバイト、無職の方が加入する「国民健康保険」があります。また、医師には条件を満たせば加入できる「医師国民健康保険(医師国保)」があります。
医師国保には、地区の医師会か大学医師会に所属する医師とその家族、従業員が加入することができます。開業医のほか、医療法人に勤務する非常勤の医師などは第1種、従業員は第2種、医師の家族は第3種として加入できます。加入基準は医師会によって異なるので、詳細は所属する医師会に確認するようにしましょう。
加入者は、他の健康保険と同様に、病気やケガなどで医療機関を受診したときに、保険内診療が受けられます。また、各組合によって異なりますが、検診や人間ドックの助成、保養施設の利用など、さまざまな事業が行われています。
医師国保のメリット=保険料が変化しない?
国民健康保険と医師国保の違いは保険料にあります。自分でクリニックを開業した場合、通常は飲食店や美容院と同じ個人事業にあたります。
社会保険では、事業者が従業員の保険料の一部を負担する必要がありますが、従業員数が5人に満たない個人事業では社会保険の加入義務がありません。そのため、従業員が少ない個人クリニックでは、保険料の負担がない医師国保に加入することが多くあります。
国民健康保険では、収入に応じて保険料が変化しますが、医師国保の場合は収入にかかわらず一律の料金です。年収が上がっても保険料が変化しないことは、医師国保のメリットと言えるでしょう。
法人は社会保険の加入が義務となっていますが、個人事業として医師国保に加入した後に法人化した場合、医師国保をそのまま継続することもできます。
医師国保にデメリットはないの?
しかしながら、医師国保にもデメリットはあります。前述のように、保険料は一律のため年収が上昇しても変化はありませんが、逆に年収が下がった場合、収入に占める保険料の割合は大きくなります。
また、扶養家族は全員医師国保に加入する必要があり、それぞれ同額の保険料を負担することになります。そのため、同一家計の家族が多いと、家計に占める保険料の額は大きくなるでしょう。さらに、医師自身や家族、従業員の診察や治療を行う自家診療が行えないことにも注意が必要です。