
介護リーダーやユニットリーダーの役割とは?
介護福祉の仕事には、介護リーダー、ユニットリーダー、フロアリーダーなど、「リーダー」という名のつく役職がたくさんあります。これらのリーダーは、すべて同じような仕事をするのでしょうか。そもそもリーダーの仕事とはなんでしょう?
介護の現場では、介護保険法によって定められている配置基準に準じて職員を配置しています。介護士、介護主任、介護福祉士、リーダー、看護師、施設長などいろいろな専門職がありますが、基準上、ユニットリーダーを除き、一般的な介護施設でリーダー職は必ずしも必要とはされていません。
しかし、現場で働くスタッフは多く、スタッフごとに入居者に違う対応を取っていては現場は混乱してしまいます。そのためほとんどの介護施設では、これらの仕事・人材を束ねる仕事としてリーダー職を置いているのです。
また、介護リーダーは施設ごと、ユニットリーダーはユニットごと、フロアリーダーは各フロアごとと活躍するスペースは違いますが、どのリーダーも人を束ねることが期待されていることは同じです。
ユニットリーダーと介護リーダーの違い
ユニットリーダーとは、ユニットケアを行う施設で働くリーダーのことです。ユニットケアとは、入居者一人ひとりに合わせた個別ケアを行い、入居者の自立性やプライバシーを尊重しようという考えから生まれた新しい介護の方法です。
おおむね10人以下のグループを1つのユニットで区分けをして、同じ入居者で生活し、そのユニットに専任のスタッフを置くことで、少人数で家庭的な生活が送れるとされています。
ケアユニットの特別養護老人ホームなどでは、省令基準で「ユニットリーダーの配置」を義務づけられ、ユニットごとにリーダーを配置しなければなりません。
介護リーダーやフロアリーダーとユニットリーダーの仕事内容は似ていますが、介護リーダーやフロアリーダーを置くかどうかは各老人福祉施設の裁量に委ねられており、ユニットリーダーは法令基準で定められているところが大きな違いといえます。
また、ユニットリーダーは10人程度の少人数のグループごとに配置、介護リーダーは介護職全体で1〜3名配置というところが多いようです。どちらが良いという問題ではなく、施設としての方向性の違いで介護リーダーやユニットリーダー、フロアリーダーと配置するリーダーが異なってくるのです。
介護リーダーの仕事で大切なこととは
介護リーダーの仕事の多くはマネジメントであり、管理職と現場の介護スタッフの中間のような立場にある施設がほとんどです。施設によっては介護スタッフとほぼ同じ仕事というところと、マネージャーとしての管理職としての仕事がメインのところの両方があります。とくに法的な決まりのない介護リーダーの仕事のため、施設によって仕事の内容が異なることをぜひ知っておいてください。
介護リーダーの仕事の内容は本当にさまざまです。入居者のお世話、介護職員への教育、物品管理、会議出席など、多岐にわたる仕事をこなさなければなりませんが、介護リーダーの仕事の目的は、介護スタッフが働きやすく、入居者が安心して暮らせる環境を整えることにあるといえます。
介護リーダーにはどんな能力や技術が求められる?
多くの仕事を担う介護リーダーには、さまざまな能力・技術が求められます。その1つにリーダーシップ、人を束ねる能力があります。入居者のケアにはその場で臨機応変な対応が求められることもあります。
しかしながら、施設ごとの目指す介護スタイルが定まっていることは大切です。1人のスタッフが良かれと思っておこなったケアについても、指導しなければならないシーンもあるでしょう。
そのような場面では、人をまとめるリーダーシップとともに、的確な指示ができる総合的なレベルの高い介護技術が必要とされます。
介護技術やリーダーシップがなく、スタッフから信頼されていないまま注意してしまうと、スタッフは単に「怒られた」と感じてしまい、指導に対し不満を持ってしまうかもしれません。
また、入居者の満足度、ヒヤリ・ハット事例、スタッフの離職率などから、数字を読むスキルも求められます。これによって入居者の事故を防ぎつつ、満足度をアップさせて、働くスタッフの満足度も改善することができます。
介護リーダーになるためにどんな勉強をしたらいい?
介護リーダーは、介護スタッフとして何年か勤務し、スキルを磨いた後になることが多いため、まずは介護スキルを磨くことが大切です。
また、マネジメント能力も求められるので、マネジメントについての本を読んだり、勉強会に出席したりすることもおすすめです。
介護施設の多くは、介護スタッフから介護リーダーへと育てることが多いため、外部で「介護リーダー募集」という求人は少ないようですが、求人誌などでたまに見かけることがあるので、ぜひチェックしてみてください。
このような求人に応募するときに有利な資格が「介護福祉士」です。「介護福祉士」は厚生労働省が「介護の現場でリーダーとして働ける知識・能力がある」と認めた資格の1つです。
介護福祉士は国家資格であり、実務経験や養成施設で学んだ経験などが必要とされますが、将来介護リーダーを目指す場合はぜひ取っておきたい資格といえます。
お給料はどれくらい?休みは取れる?
給料の体系は各施設によって大きく異なります。介護リーダーになると役職手当はつきますが、その金額は月に数千円というところから2〜3万円ところもあります。また、ボーナスで手当を多く支払うところもあります。
そのため、介護リーダーの給料はいくらと一概にはいえませんが、トータルで見れば介護スタッフより多いことは間違いないでしょう。
休みに関しては、介護スタッフと同じように取得できるようにはなっていますが、お盆やお正月など、ほかのスタッフが休みたいときには、職場の雰囲気としてリーダーは取りにくいということもあるかもしれません。
役職手当が意外に少ないこと、休日を取ることへの遠慮、多岐にわたる業務量など、リーダーの仕事を嫌うスタッフもおり、介護リーダーになることを断る人もいるそうです。
しかしながら、介護リーダーは介護の仕事としてのステップアップであり、リーダーを経験して、ソーシャルワーカーや施設長になる人もいます。介護の仕事をやり続けたい人ならぜひ一度は経験しておきたい仕事です。
介護リーダーの将来性
前述のとおり、介護リーダーにはいろいろな能力が求められ、仕事量も多く、大変なイメージがありますが、適切な仕事ができれば入居者やスタッフから信頼されるやりがいのある仕事でもあります。
また、介護の仕事はキャリアアップも目指しやすく、勤務年数によって国家資格の受験資格が与えられ、資格を取ったり、ステップアップしたり、転職したりということもできます。
介護リーダーから介護福祉士、さらに介護支援専門員や社会福祉士の資格を取ってソーシャルワーカーになる、施設の中でステップアップして施設長になるといったことも可能なのです。
また、75歳以上の人口が増え続けているということもあり、介護職の求人数はほかの職種に比べて多くなっています。介護スタッフをまとめる介護リーダーの仕事は、働き続けるにあたり、将来性のある仕事といえるでしょう。