そもそも急性期って?
看護師のなかでも「急性期」と一括りにして呼んではいますが、実際にみなさんがイメージする急性期とはどんなものでしょうか?
急性期とは、簡単にいうと「病気になりはじめた時期」のことです。症状によっては検査や処置が必要となり、手術を行わなければいけない場合もあります。また、そのような患者さんを受け入れるのが「急性期病棟」となります。
看護師が働くうえで、病期として急性期にある患者さんのケアをしたい場合と急性期病棟で働きたいという場合では、少し意味合いが違ってきます。
前者の急性期にある患者さんのケアには、重症度が低くても急性発症した状態の患者さんも含まれます。しかし、後者の急性期病棟では、病期としての急性期ではなくとも、重症度の高い患者さんが入る急性期病棟もあります。
今回の記事では、「高度急性期」と「急性期」の7対1入院基本料(※患者さん7人に対して看護師を1人配置)を届け出ている病棟をイメージしてみてください。
急性期での看護師の役割・仕事内容は?
急性期病棟では、生命の危機に直面している患者さんや、治療しなければ生命維持に関わるような重症疾患、手術の患者さんが多いです。
そのため、看護師には患者さんの状態把握からアセスメントまでのスピード感が求められます。外科病棟の看護師には「バタバタしていて忙しそう」「性格がキツそう」といったイメージを持つ人もいますが、実際に働いていても時間に追われている感覚は常にあります。30分前までは元気だったのに、徐々に患者さんの状態が変化することもあり、回復期や慢性期の病棟に比べても緊張感は高いといえるでしょう。
また、看護師としての仕事も「療養上の世話」よりも「診療の補助」を行う場面が多くなります。たとえば、重症患者の全身管理、人工呼吸器や点滴・ドレーン類などの管理から検査や処置などの補助に入ることなど。急性期病棟では術前術後の管理も含まれるので、周手術期に関する仕事も多いです。
慢性期や回復期における関わり方
急性期を脱した患者さんで、治療やリハビリが長期にかかる場合、同じ病院内で転棟というかたちになり、回復期病棟や慢性期病棟へ移るか、他の病院へ転院する場合もあります。
仕事で回復期や慢性期の病棟のスタッフと関わる場面はあまり多くありませんが、転棟する場合には、直接申し送りをして引き継ぎを行います。転院の場合には、看護サマリーで申し送りを行いますが、直接関わることはありません。
急性期病棟の大変なこと・やりがい
急性期で働くにあたって大変なことは、患者さんの命に直結する場面が多いことです。回復期や慢性期でも患者さんの命を預かることに変わりはありませんが、重症患者の全身管理の場合には、小さなミスでも命に関わることが多いため、ダブルチェックや他職種との連携も密に取らねばなりません。
このように緊張感を持つ場面が多い急性期病棟ですが、患者さんが目に見えて回復する様子がわかりやすいことがやりがいにもつながります。命の危機に直面していた患者さんが、しゃべれるようになり、歩けるようになり、元気に退院していく姿を見届けられるのは、急性期ならではかもしれません。
急性期はどんな性格の人に向いている?
急性期病棟はスピード感を求められる場所であり、緊張感が高い仕事も多いため、以下のような性格・考え方の人に向いていると思います。
・テキパキ働くことが好き
・体力やタフさがある
・うまく感情の切り替えができる
・高度な知識、スキルを身に着けたい
急性期病棟では、元気に退院していく患者さんばかりではなく、手の施しようがなく亡くなる方、後遺症が残る方もいます。そうした患者さんへの感情を引きずりすぎず、うまく切り替えができる人が向いていると思います。
患者さんの生活に寄り添った看護をしたいという場合、急性期病棟ではあまり時間が取れずに、自分のしたい看護とのギャップに悩んでしまう人も多いです。
それよりも、医学知識やスキルをもっと身に着けたいと思う人は急性期病棟で経験を積んでやっていけることでしょう。
「急性期で経験を積みたい!」と考える看護師は多いかもしれませんが、必ずしも急性期の経験がないと看護師ができないわけではありません。
回復期でも慢性期でも患者さんに対するケアには変わりはなく、急性期だから看護の質が高いわけでもありません。急性期ありきの考えよりも、自分がしたい看護や向き不向きで働く場所を探して選んでいけるといいですね。