精神保健福祉士のキャリアを経て介護業界へ

——2018年11月にオープンする介護付き有料老人ホーム「ソナーレ石神井」のホーム長を務められる古田さんですが、介護業界に入られたきっかけを教えていただけますか?
古田祐樹氏(以下、古田):専門学校を卒業後、精神保健福祉士として病院で7年ほど勤務していました。
介護業界に入ったきっかけとしては、病院で患者さんやご家族の相談に乗る中で、「家に帰ったらどうしたらいいですか?」「どのような社会支援サービスが受けられますか?」という質問を受けることが多くありました。
病院では、患者さんが退院したらそこでケアが終わります。こちらからアフターフォローすることもありませんし、また病院に来てくれない限りは、それっきりの関係になってしまいます。
そのような中で、「困った人に対して24時間関わることができないか?」「もっと包括的なケアができないか?」と考えて、ケアマネジャーの資格を取得し、有料老人ホームで働くことにしました。
——介護業界で働く中でどのような課題がありましたか?
古田:やはり職員との人間関係です。病院と介護施設では、労働環境がぜんぜん違っていました。正直な話、当時の職場は離職率もものすごく高かったです。自分自身も管理職になったばかりでなかなか休みも取れず、初めは職員とどう接したらいいかもわかりませんでした。
ソニー・ライフケアグループのコンセプトは“Life Focus”
——ソニー・ライフケアグループの一員である「ライフケアデザイン株式会社」に入社された理由を教えてください。
古田:本社で働いている知人の紹介ということもありますが、とくに“Life Focus(本当の『長生き』とは何かを追求します)”という事業コンセプトに共感したためです。
ホームでは、“Life Focus”という事業コンセプトのもと、ご入居者のこれまでの人生や生活スタイル、考え方を学び、今までの生活をできるだけ継続していただけるように努めます。
そのために、ケアの視点からは、「自立支援」を支えるアセスメント、プランニングに基づいたケアの実践の仕組みを構築します。また、リハビリや各種の予防的プログラムなどにも積極的に取り組んでいます。
それ以外にも、「入居者の視点」「ご家族の視点」「従業員の視点」それぞれの視点に立つという考え方があります。「ご入居者の視点」「ご家族の視点」というのは、どこのホームでも一般的にある考え方ですが、そこに「従業員の視点」が入っている点がすごく好きなところです。
また、弊社は“Life Focus”を実現するために、他の事業所にはない独自の「ライフマネージャー」というポジションを設けています。具体的な取り組みは、山田から紹介させていただきます。
ライフマネージャーは「入居者の人生を知る」仕事

異業種からのチャレンジ。ホームでは後任の「ライフマネージャー」が活躍中
山田悟氏(以下、山田):私は現在、本社の運営部でソフトサービスの企画をやっています。これまでは金融の仕事をしていて、介護とはまったくの無縁だったんですけど、「ご入居者さまの生活を豊かにする」という視点でいろいろと考えていく中で、「ライフマネージャー」という職種をつくることになり、「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」の初代ライフマネージャーとして働いてきました。
——「ライフマネージャー」という職種は初めて聞きました。
山田:一般的な介護施設では、ケアマネジャーが「介護の視点」でご入居者さまのケアプランを立てていきます。ライフマネージャーはそのような視点ではなく、その方の「生活全体」「人生」という視点で、「ここでどのような生活をしていくのか」「今後どのような人生を送っていきたいのか」ということを前提として、ご入居者さまに「ライフプラン」を提案していくというかたちです。
——「ライフプラン」の具体的な事例を紹介していただけますか?
山田: ご入居者さまの中に、子どもの頃にピアノがお好きな方がいらっしゃいました。しばらくピアノを弾かれていなかったようでしたが、ホームのピアノを1人だけで弾かれていたので、「入居者のみなさんのお誕生日会で弾かれてみてはいかがですか?」と提案したことがありました。
非常に緊張される方なのですが、小学校時代の古い楽譜で毎日練習されて、今では毎月のお誕生日会でピアノを弾いていただいています。そのようなかたちで、ご入居者さま1人ひとりが自分の想いを活かす意欲をかきたてられるような機会を設けています。
ご入居者さまの中には、「面倒を看られない」というご家族の事情で入居されて、初めは元気のない方もいらっしゃるのですが、弊社のホームでは「ライフプラン」によって、実際に楽しく過ごされているという事例が増えてきています。

ご入居者のヒストリーは1枚の絵やアルバムとなって居室に飾られる
——2018年11月にオープンする「ソナーレ石神井」も含めて、ホーム全体の育成方針について教えていただけますか?
古田:自分の目標でもあるのですが、ご入居者さまに「ここのホームに入ってよかった」と思っていただけるのと同時に、介護職員の方にも「ソナーレで働けてよかった」と思えるようにしたいと思っています。また、育成方針として一番意識しているのは“仕事に対する動機づけ”です。
例えば、食事介助やオムツ介助はただの作業ではなくて、「なぜやるのか」「ご入居者がどのように幸せになれるのか」など、今の仕事の先をイメージしながら働いてほしいなと思っています。
山田:私はこれから、ライフマネージャーの育成をしていきたいと思っています。他の介護事業者がやっていない「ライフマネージャー」という役職は、会社にとっての“付加価値”です。
また、ライフマネージャーだけではなく、ホーム長や現場のスタッフも自らの頭で考えて“付加価値”を生み出せるような人をたくさん育てていきたいと思います。
——介護職員が働きやすいように工夫していることはありますか?
古田:介護保険による人員配置基準では3:1(入居者3人に対して職員1人を配置)ですが、ソナーレでは2:1(入居者2人に対して職員1人を配置)になっています。
ただし、職員に楽をしてもらうということではなくて、手が空いた時間でご入居者さま1人1人に寄り添って“Life Focus”を実現する時間に充ててもらっています。
もしかしたら3:1の人員体制よりもやることは多いかもしれませんが、介護職員の採用面接を進めていても、「ご入居者1人ひとりにフォーカスしてケアをしていきたい」という応募者が増えています。
人員体制を手厚くすることで、ご入居者さまと向き合った介護ができるという点では、非常にやりがいが感じられるのではないかなと思っています。
——施設のハード面での特徴はありますか?
古田:2018年11月にオープンする「ソナーレ石神井」では、全職員がインカムを持ちます。介護記録はiPadで入力できるので、情報共有がスムーズに行えるようにしています。
「ソナーレ石神井」以外のホーム全体では、リフト等の福祉機器を積極的に導入して、「持ち上げない介護」にも取り組んでいます。施設のハード面の充実によって肉体的な負担を減らし、その分ケアプランやライフプランなど、ソフト面のサービスを考える時間を増やしていきたいと思います。

福祉器具の導入はご入居者だけでなく、介護職員の負担も軽減する
——「ソナーレ石神井」で働く魅力はどのようなところですか?
古田:人間的な成長が期待できるところだと思います。また会社自体が若いので、現場がやりたいことができるということも魅力だと思います。そのような挑戦を認めてくれるので、トップダウンで1から10まで決まっていくという会社ではありません。
2018年11月に新しくオープンする「ソナーレ石神井」はもちろん、「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」「ぴあはーと藤が丘」「ソナーレ浦和」でも、私たちと一緒に“Life Focus”を実現してくれる介護職員を常勤・非常勤問わず積極的に募集しています。
ご入居者さまの“人生”に寄り添った介護をしたい方、やりがいのある現場で成長したい方からのご応募をお待ちしております。

ホーム長の古田さん「本社の山田さんが突然来て緊張しました(笑)」
——古田さん、山田さん、ありがとうございました!