目次
- 1.育児・介護休業法とは
- 育児や介護と仕事を両立させるための法律
- 育児・介護休業法で定められている主な制度
- 2.2024年改正ポイント
- 3.育児に関する改正点
- 希望に応じた働き方が選べるように(2025年以内に施行)
- 未就学児を育てる労働者も残業免除へ(2025年以内に施行)
- 看護休暇を小3まで・行事でも取得可能に(2025年以内に施行)
- テレワークが努力義務に(2025年以内に施行)
- 労働者の意向聴取と配慮を義務付け(2025年以内に施行)
- 300人超の事業主も育休取得状況の公表へ(2025年4月施行)
- 4.介護に関する改正点
- 両立制度の周知と意向確認を義務化(2025年4月施行)
- 勤続6ヶ月未満も介護休暇が利用可能に(2025年4月施行)
- 介護期のテレワークが努力義務に(2025年4月施行)
- 5.誰しもが育児・介護と仕事の両立がはかれるように
1.育児・介護休業法とは
育児や介護と仕事を両立させるための法律
育児・介護休業法とは、子育てや介護をする労働者が仕事との両立をしやすくするための法律です。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。少子高齢化をはじめ、共働き世帯が増えたにも関わらず女性の家事・育児の負担が大きいことを背景に、1992年に誕生しました。
近年、介護を理由とする離職者の増加、男性の育休取得率の低さなどが問題となっていることから、性別・年齢に関係なく育児・介護と仕事を両立するための改正がおこなわれています。
育児・介護休業法で定められている主な制度
育児休業・産後パパ育休
育児休業とは、雇用形態に関わらず1歳に満たない子どもを養育する労働者が取得できる休みのことです。産後休業終了の翌日(出産から57日以降)から、子が1歳の誕生日を迎える2週間前まで取得できます。
育児休業のくわしい内容と、育休手当の計算方法はこちら
>育休(育児休業)とは? 期間や給付金・手当の計算方法まで解説!
また、産後パパ育休(出生時育児休業)は、2021年の改正によって誕生した制度です。子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる休みで、分割して取ることもできます。
産後パパ育休のくわしい内容と、給付金についてはこちら
>産後パパ育休(出生時育児休業)とは? 給付金支給・社会保険料免除の要件、パパ休暇との違いを解説!
介護休業・介護休暇
介護休業とは、要介護状態にある家族の介護が必要な労働者が取得できる休みです。雇用形態に関わらず、通算93日まで3回に分けて取得できます。
一方、介護休暇も介護のために取得できる休みですが、介護休業と異なる点は取得日数と給付金の有無にあります。介護休暇の場合、取得できる日数は1年度のうち5日で、時間単位で取得することもできます。また、介護休業では給付金が支給されますが、介護休暇の場合は支給されません。
介護休業・介護休暇の詳細と、給付金の計算方法はこちら
>介護休暇・介護休業で給与は出る? 違いや取得方法、条件を解説!
2.2024年改正ポイント
ここからは、2024年5月に公布された育児・介護休業法の改正ポイントとその内容について見ていきましょう。
3.育児に関する改正点
希望に応じた働き方が選べるように(2025年以内に施行)
これまでは3歳以下の子どもを育てる労働者を対象に、一日の労働時間を6時間とする短時間勤務制度や、それに代わる措置を講じることが定められていました。改正後は、従業員のニーズに合わせて労働時間や勤務地を柔軟に決められるよう、対象年齢と措置内容が拡大されます。
対象となる子どもの年齢は、3歳以下から小学校入学前までに拡大されます。また、子どもの状況に合わせて柔軟な働き方ができるよう、選択肢も広がります。事業主は下記のうち2つ以上の制度を設けることが義務付けられ、労働者はその中から1つを選択できるようになります。
- 始業時刻の変更
- テレワーク
- 短時間勤務
- 新たな休暇の付与
- その他、保育施設の設置・運営 など
未就学児を育てる労働者も残業免除へ(2025年以内に施行)
これまで、所定外労働の制限(残業免除)は3歳以下の子どもを持つ労働者が対象となっていました。今回の改正により、小学校入学前までの子を持つ親に対象が拡大されます。
看護休暇を小3まで・行事でも取得可能に(2025年以内に施行)
子の体調不良や健診付き添いなどで取得できる子の看護休暇は、これまで未就学児を育てる労働者が対象でした。改正後は、小学校3年生までに対象年齢が拡大されるほか、入園式・入学式などの行事参加でも取得できるようになります。
テレワークが努力義務に(2025年以内に施行)
希望する場所でキャリア形成と育児を両立できるよう、3歳以下の子どもを養育する労働者に対して、テレワークを利用できる措置を講じることが事業主の努力義務となります。
労働者の意向聴取と配慮を義務付け(2025年以内に施行)
労働者が妊娠・出産を申し出た際や、子どもが3歳になる前のタイミングで、事業主から仕事と育児の両立に関する意向を確認することが義務付けられます。
また、短時間勤務制度やテレワークなどの制度について知らせ、希望に応じて制度を利用する期間の延長や業務量の調整をおこなうことが求められます。
300人超の事業主も育休取得状況の公表へ(2025年4月施行)
2024年現在、男性育休の取得状況の公表義務は労働者数1,000人を超える事業主が対象です。しかし今後は、労働者数300人超の事業主にまで拡大されます。また、100人以上の労働者がいる事業主*に対しても、育休取得状況の把握と行動計画の策定、目標数値の設定が義務付けられることになります。
行動計画に盛り込む内容としては、育休取得者や短時間勤務者に対するマネジメントや評価に関すること、育児に配慮した勤務時間や勤務地の調整などがあります。
*100人以下の場合は努力義務
4.介護に関する改正点
両立制度の周知と意向確認を義務化(2025年4月施行)
介護に関する制度を活用できないまま離職に至るのを防ぐため、事業主に以下の措置を講じることが義務付けられます。
- 労働者が介護に直面したら、介護休業・休暇、残業免除、深夜業の制限などの両立支援制度について知らせ、働き方の意向を確認する
- 介護に直面する前(40歳など)に、両立支援制度に関する情報を提供する
- 研修や相談窓口の設置など、雇用環境を整備する
勤続6ヶ月未満も介護休暇が利用可能に(2025年4月施行)
今回の改正により、勤続期間が6ヶ月未満の人も介護休暇を取得できるようになります。従来は、事業主に継続して雇用された期間が6ヶ月に満たない人は介護休暇の対象外でしたが、この制限が撤廃されます。
介護期のテレワークが努力義務に(2025年4月施行)
2024年時点で、事業主は家族の介護をおこなう労働者に対し、始業時刻の変更などの措置を講じることが義務付けられています。改正では、テレワークを追加することが努力義務となります。
5.誰しもが育児・介護と仕事の両立がはかれるように
今回の改正では、育児・介護をする労働者にとってより柔軟な働き方ができる制度が盛り込まれました。労働者が抱える家庭の事情はさまざまで、希望の働き方や育児・介護への向き合い方も異なります。両立するための支援制度を利用しやすい職場となり、個々のニーズに合う働き方の実現が期待されます。
#改正育児介護休業法 #育児介護休業法 #育児休業 #介護休業