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密着した人
薬剤師 遠山伊吹さん(33)
千葉県出身。新卒で大手ドラッグストアに入社し、2年目から薬局長に就任。27歳で「とおやま薬局」を独立開業し、現在4店舗を経営する。予備校や通販サイトの立ち上げ経験もある事業家でもある。
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【9:50】出勤

経営者でもある遠山さんは一日に複数店舗の巡回や外出することも多いですが、この日は調剤業務が中心の日。東京都中野区の住宅街にある「とおやま薬局 中野南台店」に出勤します。
到着後はすぐ白衣に着替え、業務を開始します。
【10:00】在宅患者への調剤・服薬指導・配達

薬剤師3人体制での営業です。通常は調剤事務員も1人いますが、この日はお休みでした。
午前は午後よりも客足が少ないため、在宅や介護施設向けの調剤業務に集中します。
取材した2022年11月は新型コロナウイルスの第8波が到来しており、一日10件程度は陽性と診断された患者宅への配達がおこなわれていました。

届け先をGoogleマップで確認。

患者宅へ電話をかけ、病院やクリニックからの依頼を受けて処方薬を届けにいく旨を説明。コロナ陽性者とは直接接触できないため、電話で薬の効能や服薬方法、注意点などを伝えます(服薬指導)。

徒歩圏内の距離のため、歩いて届けに行きます。
到着時は玄関先で素早く薬を手渡すか、ドアノブに下げておきます。
【10:40】調剤業務

薬局に戻り調剤業務を再開します。
調剤業務では、まず処方箋の内容をPCに読み込み、内容に問題がないか確認します(処方監査)。問題がなければ薬のピッキングや調剤に移り、用意した薬に誤りがないか最終チェック(調剤鑑査)を経て、患者へ手渡し服薬指導をします*。
この一連の作業で大切なのは「複数人の目を通すこと」。処方箋を入力する人、調剤する人、鑑査する人と3つの役割を分担することで、配薬ミスを防ぎます。


【14:00】昼休憩

一時閉店しないため、休憩は順番に取ります。この日は近くのファミレスへ。ハンバーグと牡蠣の定食をいただきました。
【15:00】機材借用のため薬剤師会へ

学校薬剤師の仕事もしている遠山さん。学校薬剤師とは、校内の環境衛生管理や保健指導をおこなう薬剤師のことで、各校1名ずつの配置が義務付けられています。飲み水やプールの水質、校内の照明や採光、騒音、換気、害虫などの検査や管理のほか、修学旅行時の医薬品の手配・管理などを担当します。
今回は照明検査に使用する機材を、所属する薬剤師会まで借りに行きました。
【15:30】調剤業務

午後も引き続き調剤業務を進めます。一日の患者数は多いときで約80人。近隣の3つのクリニックからの処方箋が7割程度を占めるそうです。
午後はとくに近くの小児クリニック帰りの親子連れが目立ちました。

【16:00】医薬品の入庫・発注業務

医薬品の発注には専用アプリを使います。発注すると提携先の医薬品の卸売業者に連絡が飛び、翌日には納品されるシステムです。急ぎの場合は電話で発注することもあります。

この日は複数回に分けて商品が入荷されました。近ごろは医薬品の欠品が続いており、代替品の再発注作業に多くの時間を割いているそう。

必要な医薬品が足りない場合、系列店や近隣の薬局に問い合わせて在庫を譲ってもらうことがあります(逆もまた然り)。この日も在庫確認の電話が数回ありました。
【17:00】在宅患者への配達

再び在宅患者への配達です。少し距離がある場合は、電動自転車やバイク、車で移動します。
個人宅や介護施設などの在宅の割合は全体の2割程度。1〜2週間に1回の訪問が多いようです。
薬剤師は医師の指示のもと、正しく服薬できているか、副作用はないかを確認し、必要に応じて医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどへ情報を共有します。在宅医療では患者本人だけでなく、家族やほかの医療福祉職と連携を取ることが大切だと言います。
【17:20】調剤業務・経営管理

引き続き調剤業務を進めながら、各店舗の売上管理など、経営に関する業務もおこないます。

夕方以降は、学校や仕事帰りの人が増えるため、忙しくなります。
【19:00】退勤

閉店作業を社員に託し、退勤です。お疲れさまでした!
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