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訪問リハビリテーションとは、リハビリの専門職である理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が利用者の自宅や施設を訪問し、リハビリテーションを提供すること。今回は理学療法士の一日の仕事を紹介します。
密着した人
理学療法士 川崎夏海さん
青森県出身、1児の母。病院の理学療法士として働いたのち、「NEXT FLOW訪問看護ステーション」に転職。現在はリーダーとして後進の育成に努める。
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【8:30】自宅から始業

NEXT FLOW訪問看護ステーションは直行直帰制度を採用しているため、朝は自宅から始業。事務作業やビデオ会議で業務の確認などをおこないます。
この日は5件の訪問先に向かいます。曜日やルートの関係上、訪問数は日々変動するそうです。
【9:00】移動開始

自宅近くに停めた訪問車で移動します。

都内の自宅から神奈川県内に50分ほどかけて移動しました。ほかのスタッフは効率よく、短時間で訪問できるようルートを設定しています。川崎さんはそれらのルートから少し外れた遠方を中心に回ります。
【10:00】訪問1件目

パーキングに駐車し訪問先へ向かいます。
1件目は高齢の利用者です。バイタルサイン(脈拍、体温、血圧、呼吸、意識レベル)の確認と歩行訓練をおこないました。

日々持ち歩いているものは(左上から時計回りに)名刺、血圧計、パルスオキシメーター(動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定)、体温計、ゴニオメーター(関節の動きを測定)、握力計、打診器(腱反射を診断)、(天候によっては)帽子です。
【11:00】訪問2件目

2件目は左片マヒがある利用者です。到着したらまずはバイタルサインを確認。バイタルチェックは歩行訓練などの運動前後に必ずおこないます。

近所の公園まで歩行訓練。利用者のペースに合わせ、安全に配慮しながらおこないました。

およそ15分ほど歩き、ひと休みしながらバイタルチェックです。運動したことで体調に異常はないか、運動の負荷や効果は適切かを判断します。雑談を通した体調確認も欠かしません。

自宅に戻ったら再びバイタルチェックをし、マヒが残る左手足を入念にストレッチしました。その後もバイタルチェックをおこない、次回訪問スケジュールを確認してから次の利用者宅へ向かいます。
【12:20】休憩

この日は車内で昼食を取りました。飲食店を利用したり、オフィスでほかのスタッフと情報交換をしながら食事をすることもあるそうです。
【13:20】訪問3件目

利用者の主治医からの指示で歩行訓練をメインにおこないました。
訪問リハビリをおこなうには、主治医が発行する「訪問リハビリ指示書」や「訪問看護指示書」が必要です。訪問看護ステーションの場合、主治医が発行する訪問看護指示書に従います。
【14:20】訪問4件目

4件目の利用者も歩行訓練をメインにおこないます。その前にバイタルチェックです。


片方の杖でゆるやかな坂道やマンション内の階段を移動する訓練をしました。ゆくゆくはバスなどの公共交通機関を利用し、少し離れた場所へ移動できることを目指しているそうです。
【15:20】訪問5件目

この日最後の訪問は左片マヒが残る利用者。到着したらバイタルチェックをし、歩行訓練に向かいます。

近所の階段や砂利道を気を配りながら歩きます。

自宅に戻ったらバイタルチェックをし、世間話をしながら左の手足をストレッチします。こちらの利用者は川崎さんのリハビリを受けるようになってだいぶ回復したと語ります。

利用者の声
以前は歩き方や姿勢が崩れていたのですが、それを川崎さんに治していただきました。以前はほかの方に「足を引きずっているわね」などと言われたりしたんですけど、今は言われなくなったんです。川崎さんに来ていただいて本当に良かった!
【17:00】帰宅・事務作業

自宅へ戻ったら、その後は事務作業に移ります。次回の訪問ルートの確認、ビデオ会議での申し送りをおこない、17時30分に業務を終えます。
お疲れさまでした!
訪問の理学療法士の仕事とは?
以前は病院の理学療法士として働いていた川崎さん。訪問看護ステーションに転職しての気づきや具体的な業務について改めて聞きました。

──一日の訪問件数はどれくらいですか?
川崎さん:ほかのスタッフが6〜7件訪問するところ、私はその半分の2〜3件程度で、あとは管理業務をしています。(この日のように)金曜日は訪問件数が多く5件程度訪問します。
──訪問以外の仕事内容は?
看護師などとミーティングをしたり、新規の利用者さんの契約に行きます。
──訪問の仕事のメリットとは?
(直行直帰OKなので)子どもの送り迎えがしやすいとか、家で仕事ができることです。病院などの施設は拘束時間が決まっているじゃないですか。
──訪問リハの大変なところは?
臨機応変に対応しなければいけないことですね。例えば利用者さんが転倒してしまったところに訪問したとか、急変したとか。そんなときはとっさの対応が必要になるので、救急搬送スタッフが来るまで対応をして引き継ぐことがあります。
──日々の業務で意識していることはありますか?
利用者さんから連絡がきたとか、なにか変化があったらたとえ些細なことでも社内や担当医、ケアマネジャーなどに報告、相談をしています。
──病院勤務との違いは?
はじめは車の運転とコミュニケーションに慣れが必要です。利用者さんのご家族とやり取りをすることになるので。それ以外は病院で学ぶこととあまり変わらないと思います。
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取材協力:NEXT FLOW訪問看護ステーション