目次
1.自己PRの目的
自己PRは、就職活動や転職活動において自分自身をアピールするための紹介文です。自身の強みやスキル、経験、就業意欲、貢献できることなどを伝え、志望先に自分を採用する価値を感じてもらうことを目的としています。自己PRは、履歴書や職務経歴書などの応募書類で記載するほか、面接の受け答えのなかでも尋ねられます。
自己PRを通じて、応募者がその仕事や職場に適性があるのか、入職後に活躍できる人材かどうかが判断されます。採用担当者が見るポイントは次のような点です。
自己PRで採用担当者が評価する主なポイント
- 過去の業務経験、実績
- 仕事に活かせるスキル、資格
- 応募者の人柄、ポテンシャル(将来性)
- 応募先の理念や環境との相性
面接で聞かれることも多い「長所」も、自分の優れた点をアピールする目的は同じですが、やや性質が異なります。長所は性格や気質を指すことが一般的ですが、自己PRは仕事で活用できる強みやスキルをより直接的にアピールします。
2.保育士の自己PRの書き方
ここからは、保育士の自己PRの書き方について、順を追ってわかりやすく解説していきます。
*先に例文を見たい方は「4.保育士の自己PR例文」をチェックしてください。
Step1|強みの棚卸し
これまでの仕事で身につけた強み(スキル)を、思いつくだけ書き出してみましょう。仕事に関する強みが良いですが、新卒や未経験者の場合は、学校生活など仕事以外での活動から探してもOKです。
![保育士の強みの例一覧](https://cdn.job-medley.com/tips/wp-content/uploads/2024/04/Step1-%E5%BC%B7%E3%81%BF%E3%81%AE%E6%A3%9A%E5%8D%B8%E3%81%97.png)
強みを書き出したら、「応募先の求める条件・人物像と一致するもの」「応募先の職場でとくに活かせるもの」の観点から強みを一つピックアップします。例えば、大規模保育園を志望するなら、「視野が広く観察力がある」ことが強みとして考えられます。
Point|強みは一つに絞ろう!
自己PRは、一つの強みに焦点を当てることが重要です。複数の強みをアピールしたくなる気持ちもありますが、一度に複数を伝えると要点がぼやけてしまい、どの強みも印象に残りづらくなってしまいます。一つの自己PR欄では一つの強みに絞るようにしましょう。
Step2|根拠となるエピソードを盛り込む
アピールする強みを決めたら、その根拠となるエピソードを考えます。あなたが実際に体験したエピソードを加えることで、他人と被らない自分らしい自己PRに仕上げることができます。
エピソードは、具体的なシチュエーションや数字を含めると読み手に伝わりやすくなります。ただし、詳しく書こうとすると冗長になりやすいため注意しましょう。一から文章で書くのが難しい場合は、まずはエピソードの要点を箇条書きにし、そのうえで必要な内容を取捨選択すると整理しやすくなります。
![「観察力」が強みの場合の例](https://cdn.job-medley.com/tips/wp-content/uploads/2024/04/Step2-%E6%A0%B9%E6%8B%A0%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%A8%E3%83%92%E3%82%9A%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%99%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B.png)
Step3|応募先で貢献できることを盛り込む
続いて、強みを応募先の職場でどのように発揮し貢献できるかを考えます。この点を盛り込むと「なぜその職場がいいのか」という志望動機のアピールにもつながります。
![「観察力」が強みの場合の例](https://cdn.job-medley.com/tips/wp-content/uploads/2024/04/Step3-%E5%BF%9C%E5%8B%9F%E5%85%88%E3%81%A6%E3%82%99%E8%B2%A2%E7%8C%AE%E3%81%A6%E3%82%99%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8-%E5%BF%97%E6%9C%9B%E5%8B%95%E6%A9%9F%E3%82%92%E7%9B%9B%E3%82%8A%E8%BE%BC%E3%82%80.png)
Step4|簡潔な文章にまとめる
最後に、文章をまとめて仕上げましょう。まず強みを端的に表した結論から始め、根拠となるエピソード、応募先で貢献できること(志望動機)と続けると論理的でわかりやすい自己PRになります。
![簡潔な文章にまとめた例](https://cdn.job-medley.com/tips/wp-content/uploads/2024/04/Step4-%E7%B0%A1%E6%BD%94%E3%81%AA%E6%96%87%E7%AB%A0%E3%81%AB%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%E3%82%8B.png)
3.履歴書・職務経歴書・面接別の注意点
自己PRは、履歴書や職務経歴書、面接などのシーンによって、注意すべきポイントがやや異なります。
履歴書の場合は、少なくとも記入欄の8割以上を埋めるようにしましょう。短すぎる自己PRはマイナスな印象を与えてしまいます。反対に、記入欄が小さく伝えたい内容を書ききれない場合は、詳細なエピソードや応募先で貢献できることは省略し、面接や職務経歴書で補足しても構いません。
職務経歴書の場合は、履歴書のような記入欄や文字数の制約はありません。しかし長すぎてもまとまりのない文章となってしまうため、自己PR一つにつき150〜300字程度を目安にまとめます。ページ数に余裕があれば(一般的にはA4用紙1〜3枚)、自己PRを2〜3つ記載しても良いでしょう。
面接の場合は、「自己PRをしてください」という直接的な質問のほか、「あなたの強みを教えてください」「あなたの長所は何ですか」などの聞かれ方をする場合もあります。いずれの場合も結論から述べ、続いてエピソード、貢献できること(志望動機)で締めくくります。回答時間はあまり長くなりすぎないよう、1分以内を目安にまとめましょう。
Point|履歴書・職務経歴書・面接で一貫性を持たせることが大切
自己PRを履歴書や職務経歴書、面接など複数の場面で使用する場合は、それらの内容に一貫性があるかどうかチェックしましょう。例えば履歴書には「思い切りがいい性格」と記載したにも関わらず、面接で「慎重に物事を進めます」と話すと、矛盾が生じてしまいます。
ただし、一言一句同じ内容にしてはせっかくのアピールチャンスが無駄になります。「履歴書に書ききれなかった詳しいエピソードを面接で話す」「履歴書に書いた長所と関連のある強みを職務経歴書に書く」などであれば、一貫性を保ちながら幅広く自己PRができます。
4.保育士の自己PR例文
経験年数別の例文
新卒者の例文
飲食店アルバイトでのリーダー経験を通じ、チームをまとめる力を身につけました。以前、考え方の違いから退職者が多かった時期に、意見交換の場を増やし、改善策を一緒に考えることでスタッフ同士が歩み寄れるようにしました。その結果、チームワークが向上し来店するお客さまからは「お店の雰囲気が良い」とお褒めの言葉をいただけるようになりました。貴園でもチームワークを大切にし、関わる方々と良好な関係を築けるよう努めたいです。
経験者の例文
100人規模の認可保育園で◯年間勤務するなかで、何事にも柔軟に対応する力を身につけました。保育園はアクシデントの多い環境です。外遊び中の急な雨や流行りの病気で活動が変更になったときは、その都度計画を立て直してきました。子どもたちの予期せぬ行動にも、慌てずに対応できる自信があります。また、子どもの発達や個性に合わせた関わりができるよう、発達心理学の本を読むなど、スキルアップにも積極的に取り組んでいます。貴園でも臨機応変な対応力と主体性を活かし、即戦力として活躍したいと思います。
ブランクありの例文
保育士を退職後、視野を広げるため子ども服の販売員を◯年間勤めました。来店した親子が心地よく買い物できるよう、売り場づくりや声掛けを工夫しました。また、商品選びで迷う方に寄り添った接客をすることで、リピーターを増やすことに成功しました。保育士に復職した際には販売員として身につけたコミュニケーション能力を活かし、貴園に貢献したいと考えております。
経験分野別の例文
病児保育経験者の例文
現職では、病児保育士として◯年間勤務しています。少人数の子どもたちとじっくり向き合うなかで、傾聴力が身につきました。病気の子どもは心細い気持ちを抱えているため、保護者と離れるときに泣いてしまうことも少なくありません。そんなときは子どもの様子をよく見て気持ちに寄り添うことで、少しでも安心して過ごせるように心がけています。子どもたち一人ひとりと向き合うことを大切にする貴園でも、持ち前の傾聴力を活かした保育をしたいと考えております。
小規模保育園経験者の例文
園児数19人の小規模保育園で◯年間勤務し、子どもたちと粘り強く向き合う忍耐力を身につけました。子どもたちの安全を確保しながら、基本的な生活習慣を丁寧に教えてきた経験があります。保育士の思いが子どもにうまく伝わらないこともありましたが、じっくり向き合うことで、子どもたちが自ら考えて行動する姿を見ることができました。貴園で働く際も、子どもの成長に粘り強く向き合える保育士として活躍したいと思っています。
主任経験者の例文
認可保育園に◯年間勤務し、うち◯年間主任を務めました。主任として培ったリーダーシップを活かし、職員同士が協力してクラス運営できるよう心がけています。クラスの様子をこまめに見守り、担任が困っている場合は話し合いの場を設けて問題解決につなげてきました。また、子どもや保護者が安心して通えるよう環境を整え、園全体で保育の質を上げる取り組みをしてきました。貴園でも職員がやりがいを感じながら働けるよう、より良い保育園づくりに尽力したいです。
園長経験者の例文
複数の保育園で◯年勤務したのち、前職では園長として◯年間務めてまいりました。子どもたちが健やかに成長できるようカリキュラムの策定をおこない、職員の育成やチームワークの向上に努めました。また、保護者や地域の方々とも連携を深め、地域全体で子どもを見守り育てる環境を整えてきました。今回は家庭の事情による転職となりますが、新しい保育園でもこれまでの経験を活かし、子どもたちの豊かな成長を支えるために全力を尽くしたいと考えています。
強み/長所別の例文
コミュニケーションスキルに関する例文
コミュニケーションスキルに自信があり、周囲と協力して業務を進めることが得意です。新年度は職員の入れ替わりで現場が混乱しがちですが、こまめな報告・連絡・相談を呼びかけることで、どのような問題が起きてもすぐに対応できるチームワークを築くことができました。職員数の多い貴園でも、持ち前のコミュニケーション力を活かして働きやすい環境をつくっていきたいです。
共感力に関する例文
これまでの仕事を通じて、共感力を磨いてきました。面談や送り迎えなどで保護者と接する際に、相手の気持ちを理解するよう心がけていたところ、多くの方から「気持ちを理解してもらえてうれしい」と言葉を掛けてもらえるようになりました。子どもたちと関わるときも同様に、気持ちに寄り添って安心感を与えられるよう努めています。家庭的な雰囲気を大事にする貴園でも共感力を活かして、保護者や子どもとの信頼関係を築けるように尽力します。
危機管理能力に関する例文
私は園内の安全管理に注力してきました。現職の開園当初は、子ども同士の衝突やケンカによるトラブルが頻発していたため、死角になりやすい場所やケガしやすい場所を把握し、子どもたちを安全に見守れるよう園内マップを作成しました。さらにケガや事故発生時の対処方法を看護師から学ぶ機会を設けて、万が一のときに早く適切な対応ができる体制を整えました。貴園に入職した場合もこれまでの知見を活かし、子どもや保護者が安心できる園づくりに力を入れたいと考えております。
細かい変化に気づく力に関する例文
◯年間にわたり乳児クラスを担当するなかで、細かい変化に気づく力を身につけることができました。保育園でインフルエンザが流行した際には、子どもたちの変化に細心の注意を払い「元気がない」「食欲がない」などのサインを見逃さないようにしました。また、必要に応じて保護者に速やかに連絡し、症状の軽いうちに早くご自宅に帰れるよう心がけています。貴園でも早く冷静な判断をおこない、子どもが安心して過ごせる環境づくりに貢献したいと思います。
明るく物事を前向きに捉える力に関する例文
常に明るく前向きな姿勢で仕事に取り組んでいます。保護者からご意見やご要望を頂いた際には前向きな気持ちで受け止め、子どものためになるよう実現する方法や改善策を考え、実行に移しました。また、初対面の人とも明るく笑顔で接することで早く打ち解けられるように心がけています。貴園でも持ち前の明るさとポジティブさを活かしていきたいと思います。
多角的に物事を見る力に関する例文
◯年間幼児クラスを担当した経験から、物事を多角的に見る視点が身につきました。困りごとがあった場合はその場の状況だけで判断せず、その場に居合わせた子どもの話や保育環境、それぞれの家庭事情などさまざまな観点を踏まえて解決策を模索します。子どもたち一人ひとりの個性や考えを理解することで、より適切な関わりができるようになりました。貴園でも広い視野で柔軟に対応し、子どもの成長の可能性を最大限に広げていきたいです。
子育て経験に関する例文
私自身、3人の子どもを育てるなかでその大変さと楽しさを実感しました。子育てに悩んだとき、保育士の手厚いサポートが非常に心強く、安心につながりました。そのときの体験から保育士になることを決意し、資格を取得しました。保育士としては新人ですが、これまでの子育て経験を活かし、保護者の気持ちに寄り添う保育をしていきたいと考えています。
体力に自信があることに関する例文
中学校から高校までの6年間、陸上部に所属していました。現在も朝のジョギングは欠かさずおこなっているため体力には自信があります。以前保育園ボランティア活動に参加した際は、体を使ったダイナミックな遊びを保育士から評価され、子どもたちもとても喜んでくれました。自然の中での遊びを大切にしている貴園でも、子どもたちの体力に負けないよう一緒に楽しめる保育士として活躍したいと考えております。