目次
1.保育士の面接で見られるポイント4つ
面接では受け答えだけでなく、応募者の立ち居振る舞いも考慮して総合的に合否が判断されます。保育士の面接で採用担当者が見ているのは主に次のような点です。
人柄
園の雰囲気に合う保育士を採用するために人柄を重視しています。面接では話し方や表情に人柄が表れるため、相手の目を見て明るくハキハキと受け答えするようにしましょう。
一般常識・マナー
業務上多くの人と関わりを持つ保育士は、一般常識や基本的なマナーを備えていることが大切です。あいさつができる、感謝や謝罪をきちんと伝えることはもちろん、面接会場でスマートフォンをいじらないなどのTPOをわきまえた行動をとりましょう。
身だしなみ
面接の場にふさわしい服装や髪型で、清潔感があるかどうかが見られます。とくに保育士の場合は勤務中の爪の長さやヘアスタイル、アクセサリー類などに規定がある職場もあるため、面接時から注意しておくと良いでしょう。
仕事に対する意欲
応募者の意欲は、志望動機の内容だけでなく話す姿勢や表情からも伝わるものです。視線が泳いだり表情が暗かったりするとマイナスな印象を与えますので、明るい表情と良い姿勢を心がけましょう。
面接の流れやマナーについて詳しくはこちらで解説しています
>【面接マナー】直前でも間に合う! 受付前から退室後までの注意点をイラストでわかりやすく解説
2.保育士の面接で聞かれる質問・回答例
ここからは、保育士の面接でよく聞かれる質問とその回答例を紹介します。前提として、面接官が聞きたいのは立派な模範回答ではなく、あなたの考えや人となりがわかる回答です。以下の例を参考に、あなたらしさが伝わる受け答えを心がけてみてください。
自己紹介・自己PRに関する質問
Q「自己紹介をお願いします」
自分の名前と経歴、志望理由、締めのあいさつを簡潔に伝えます。最初の質問なのであまり長くは話さず、30秒〜1分程度を目安にまとめましょう。
回答例「◯◯◯◯(自分の姓名)と申します。定員150人の認可保育園で、保育士として◯年働いています。子どもたちとじっくり向き合える保育をしたいと思い、小規模園で一人ひとりの個性を大事にしている御園を志望しました。前職は行事が盛んで、運動会や発表会など大きな行事ではリーダーシップを発揮してきました。多くの職員と関わってきた経験から、誰とでも円滑にコミュニケーションを取れる自信があります。本日はよろしくお願いいたします」
Q「自分自身をどのような性格だと思いますか」
Q「長所と短所を教えてください」
この質問では「客観的に自分をどう捉えているか」が見られます。長所は応募先の職場でどのように活かせるかを伝えます。短所の伝え方には注意が必要で、悪い点をそのまま伝えて終わるのは禁物です。裏を返せば長所とも捉えられる内容を選んだり、克服のために取り組んだエピソードを紹介したりするなど、ポジティブな内容に変換するようにしましょう。
回答例「私は計画を立てて物事を進めることが得意です。行事が多い5歳児クラスではイベント直前に多忙になりすぎないよう、事前にしっかりスケジュールを立ててから準備に取り組んでいるため、持ち帰り仕事や残業を減らせるようになりました。一方で、想定外の出来事が重なると気持ちに余裕がなくなりやすいところもあります。そのようなときは、予期しないことも保育の醍醐味だと捉えて、前向きに乗り越えるよう気持ちを切り替えています」
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志望動機に関する質問
Q「志望動機を教えてください」
志望動機は応募先の法人理念やサービス内容、独自性などを踏まえたうえで「この職場だからこそ働きたい」という気持ちを伝えることが大切です。さらにこれまでの経験やスキルをもとに、その職場でどのような貢献ができるのか伝えると良いでしょう。
回答例「新卒から小規模保育園で◯年間働いてきましたが、より幅広い年齢の子どもたちと関わりたいと考え転職を決めました。御園を志望した理由は、子どもたちが異年齢保育によって協調性を身につけ、山登りやバス遠足などを通じて豊かな体験をできるからです。現職で培ったコミュニケーション能力を活かし、子どもや保護者と信頼関係を築ける保育士として活躍したいと思っています」
Q「入職後に取り組みたいことはありますか」
その職場で何を成し遂げどのような貢献ができるのか、また本人の希望を叶えられるのかを確認する質問です。自由に答えてOKですが、事前にしっかりと応募先の組織や業務内容について調べたうえで、現実的な内容を答えましょう。とくに未経験者の場合、下調べが不足していると、実際の業務とは異なる的外れな回答になってしまうことがあります。
回答例「親御さんが安心して子育てできるように支援したいと考えています。子どもが健やかに成長するためには、保育園と家庭との連携が重要です。保護者との日々の対話をはじめ、おたよりや保育参観などを通じて子どもの様子を積極的に伝え、保護者と共に子どもの成長を喜び合える保育をしたいと考えています」
Q「前職の退職理由/転職理由を教えてください」
中途採用の人が必ずと言っていいほど聞かれる質問です。「職場の人間関係が悪かった」「残業が多く、給料が少なかった」など前職の悪いところを正直に伝えてしまうと、「思うようにいかないときにまた辞めてしまうのでは」と思われてしまいます。たとえネガティブな原因だったとしても、転職理由は「自分のやりたいことを実現するため」「スキルアップのため」など、前向きな理由を伝えるようにしましょう。
回答例「転職を考えた理由は、子どもの主体性を尊重できる自由保育をしたいと考えたからです。現在勤めている保育園では一斉保育を導入し、社会性や協調性を育むことに重きを置いています。しかしこれからは、子ども一人ひとりの探求意欲を育てられる自由度の高い保育をおこないたいと考えています」
仕事・経験・スキルに関する質問
Q「保育士を目指したきっかけを教えてください」
保育士を目指したきっかけを聞くことで、「応募者の人となり」や「その仕事に対する思い」を確認する質問です。きっかけは人それぞれなので、エピソードを交えながら具体的に伝えるようにしましょう。
回答例「私が保育士を目指したきっかけは、年の離れた弟と妹のお世話をしていた経験があるからです。弟と妹から頼りにされることがうれしく、また二人が成長していく様子を間近で見ることに喜びを感じ、子どもに関わる仕事に就きたいと考えるようになりました」
Q「学生時代に力を注いだことを教えてください」
学生時代に時間や情熱をかけて取り組んだことを伝えます。経験から得た学びや成長のなかで、保育現場で貢献できることをアピールしましょう。経験に裏付けされた話をすることで、より自分の強みを伝えられます。
回答例「中学生から大学生まで吹奏楽に力を入れてきました。大学時代には吹奏楽サークルの代表を務め、50人のメンバーをまとめてきました。ある演奏オーディションでは入賞は叶いませんでしたが、メンバー全員で目標に向かった経験は何にも代えがたいものになりました。これから保育士として働くときも、子どもたちのためになることを第一に考え、先生たちと協力して取り組んでいきたいです」
Q「前職ではどのような経験をされましたか」
以前勤めていた保育園の経験を具体的なエピソードを交えながら伝えましょう。経験をもとに話すことで、「どのようなスキルがあるか」「どのような活躍が期待できるか」がわかり採用するイメージがつきやすくなります。
回答例「前職では、音楽に合わせて体を動かすリトミック活動に力を入れてきました。楽しみながら子どもたちの表現力や集中力の発達を促せるよう、得意なピアノで年齢や発達に合わせて演奏するように心がけました。また、個人的に受けた研修や指導本で学んだことを職員にも共有し、全クラスでリトミックを実践できるように働きかけました」
Q「仕事をするうえで心がけていること/保育観を教えてください」
この質問では、あなたが保育士として働くうえでの信念を聞くことで、応募先の理念や方針と合っているかを確認しています。まず結論を伝え、続いて具体的な理由を説明しましょう。自身の心がけていること/保育観をもとに実際に取り組んだエピソードを聞かれる可能性もあるので、回答できるよう用意しておくと安心です。
回答例「私が大切にしている保育観は、“子どもの個性を尊重すること”です。子どもたち一人ひとりの可能性を引き出すためには、生まれ持った個性を認めることが重要です。ありのままを受け止め、肯定的な接し方を心がけています」
Q「これまでの仕事で印象に残っていることを教えてください」
Q「印象に残っている子ども/保護者/職員とのエピソードはありますか」
保育士としてこれまでにどのような経験をし、どう対応してきたのか、そしてその出来事をどう捉えているかを聞く質問です。エピソードの状況を説明し、そのうえで自分が学んだことや成長した点に触れるようにしましょう。
回答例「前職の保育園では食育活動を通じ、子どもたちの興味を広げることの重要性を学びました。園庭にある畑で子どもたちはとうもろこしを育て、匂いや感触を楽しんだり、育てたとうもろこしを実際に給食で食べてみたりすることで、新しい発見や成長につながりました。これからも子どもたちの好奇心を育む活動を積極的に取り組んでいきたいです」
労働条件・働き方に関する質問
Q「何歳児クラスを担当したいですか」
採用後の人員配置のために希望のクラスを尋ねられることがあります。その際は自分の希望を伝えてOKですが、「◯歳児クラスでなければ担当しません」などの強すぎる要望は避けましょう。必ずしも希望が通るわけではありませんので、柔軟に対応できる姿勢をみせることも大切です。
回答例「0歳児クラスを希望します。自分の子どもが0歳だったときとくに苦労したことから、赤ちゃんを育てる保護者に寄り添いたいと考えています。ただ、どのクラスの担当になっても対応は問題ありません」
Q「ほかにも選考を受けていますか」
この質問に対して「御園しか受けていません」と答えることで志望度の高さをアピールする人がいますが、事実でないのなら選考状況は正直に答えるようにしましょう。ほかに選考を受けているからといって一概に評価が下がるわけではなく、採用側は複数の応募者の採用スケジュールを調整する目的や、応募者の志望先に一貫性があるかどうかを確認するために質問していると考えられます。
回答例「病気の子どもたちを支えたいと考え、現在は院内保育所と病児保育室の求人に応募しています。院内保育所は今週末に面接があり、病児保育室は書類選考の結果待ちです」
Q「何か質問はありますか」(逆質問)
面接の終盤では、応募者からの質問である逆質問を尋ねられることが多いです。その際に「とくにありません」という回答では、意欲が欠けている印象を与えてしまいます。少なくとも3つ程度は事前に質問を用意しておくと良いでしょう。
質問内容は自分が聞きたいことでOKですが、「事前に調べればわかる情報」「面接官がすでに説明したこと」「福利厚生や待遇面に関することばかり」を質問するのはNGです。もし準備していた逆質問の答えがそれまでの会話で登場した場合は、「お聞きしたかった質問はこれまでのお話で解消できたため、追加ではありません」などと伝えると好印象です。
逆質問は自己アピールや有用な情報を得られるきっかけにもなるため、上手に活用しましょう。
回答例「モンテッソーリ教育をおこなう御園で活躍するために、読むべきおすすめの教材があれば教えていただきたいです。即戦力になれるよう事前に準備しておきたいと考えています」
そのほか、質問の受け答えの例文は以下の記事でも紹介しています。
>質問回答42例!医療介護福祉の面接対策~自己紹介から逆質問まで網羅~
>逆質問の例文まとめ!面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか」の答え方50選
3.保育士に聞いた面接対策の実例
実際に保育士の面接を受けた人たちに、どのように対策していたか、また実際にどのような質問回答があったのかをインタビューしました。面接対策のほか履歴書や志望動機の書き方も聞いているので併せて参考にしてみてください。
4.よくある質問
Q.保育士の面接前に確認しておくことは?
面接前には、園の理念や保育内容について調べ、自分の保育観に合っているかどうかを確認しておくことが重要です。しっかりと下調べをしておくことで、その園で働きたいという熱意を伝えやすくなります。ただし、事前に十分な情報が得られない場合には、面接で確認しても問題ありません。
Q.面接は何分前に到着すべき?
面接会場には、5~10分前を目安に着くようにします。遅刻してしまうと評価に影響する可能性があるため、余裕を持って到着しましょう。
Q.園見学はしたほうがいい?
園の雰囲気や保育の様子を知ることができるため、可能であれば園見学することをおすすめします。面接前に園見学をした場合は、そのとき感じたことなどを面接時に話してみるのも良いでしょう。
Q.保育士の面接時の服装は?
保育士の面接時の服装は、応募先からの指定がない限りスーツが基本です。面接の場では身だしなみが見られるため、清潔感のある装いを意識しましょう。ヘアカラーは明るすぎない茶髪や黒髪にし、髪が長い場合はまとめます。アクセサリー類は結婚指輪以外は外し、派手なネイルなどは避けましょう。
服装や身だしなみについて詳しくはこちらで解説
>【スーツ・私服別】医療介護福祉職の面接にふさわしい服装・髪型・メイク・身だしなみまとめ
Q.保育士の面接時の持ち物は?
保育士の面接時に必要な持ち物には、次のようなものがあります。
必ず要るもの
- カバン(A4サイズの書類が折れずに入る大きさ)
- 履歴書・職務経歴書(折れないよう、クリアファイルや封筒に入れる)
- メモ帳・筆記用具
- 上履き
- 面接会場の地図・緊急連絡先がわかるもの
- スマートフォン・携帯電話
- 現金・交通系ICカード
- 腕時計
- ハンカチ・ティッシュ
- 応募先から指定されたもの(資格証明書など)
あると便利なもの
- 印鑑
- スケジュール帳
- モバイルバッテリー
- 予備のストッキング・マスク・コンタクトレンズ等
- 手鏡・メイク道具
- 常備薬
- 折りたたみ傘