目次
1.薬剤師の離職率
病院薬剤師の離職傾向

厚生労働省の補助のもと2019年に実施された調査によると、1,394院のうち約半数の病院が薬剤師の離職率は「5%未満」と回答しています。さらに離職率が10%未満は全体の約66%にのぼり、病院薬剤師の離職率は、総じて低い傾向にあると考えられます。
病院機能別の離職傾向

病院機能別に離職率を見ると、特定機能病院は約8割が10%未満、全体として20%未満に収まっており、どの職場も離職率が低いことがわかります。
一方、療養型病院や精神科病院では離職率5%未満の施設が約半数を占めており、比較的低い傾向がみられます。ただし、50%以上の施設も一部で存在し、離職率が二極化している側面もあります。
薬局薬剤師の離職傾向
ここからは、薬局薬剤師の離職率の傾向についても解説していきます。

2021年12月〜2022年2月に実施された調査によると、薬局薬剤師の75.5%は転職意向がないことがわかりました。一方、転職を希望している薬剤師の割合は、薬局勤務が23.1%、病院勤務が33.9%で、薬局のほうが割合が低いことがわかりました。

また、「1年以内の転職を希望している」と回答した薬局薬剤師のうち、別の薬局への転職を希望する人は75.9%でした。一方、病院薬剤師の別の病院への転職を希望する人は41.5%となっており、同じ業態への転職を希望する割合は病院のほうが少ないことがわかります。
総合病院から薬局への転職体験談はこちら
【転職者インタビューvol.16】薬剤師4年目28歳/転職1回(総合病院→薬局)
2.薬剤師のよくある退職理由

ここからは、「一身上の都合」を除いた転職理由について一部抜粋して紹介します。
(1)妊娠・出産・育児などのライフイベント
病院薬剤師の離職理由で最も多いのは「個人的理由(結婚)」です。一方、薬局薬剤師の「個人的理由(結婚)」は14項目中7位という結果になりました。
病院と薬局に差が生じた背景には、薬局のほうが時短勤務や週3日勤務など、時間の融通がききやすく、産休・育休後に復職しやすいことなどが考えられます。
(2)契約期間の満了
薬局薬剤師の離職理由で最も多いのは「契約期間の満了」です。
薬局は病院よりも非常勤の薬剤師が多く活躍しています。2018年4月〜2021年3月の非常勤薬剤師の採用傾向を見ると、病院は11.8%なのに対し、薬局は29.8%と病院の約2.5倍採用されています。
なお、契約期間については、派遣の場合最長3年、契約職員の場合は更新を含めて最長5年間です。
(3)職場環境や人間関係
「職場環境への不満」を退職理由とする薬剤師は、病院で3.2%、薬局で4.7%です。また「職場の人間関係」は病院で4.4%、薬局で8.0%といずれも薬局のほうが多いことがわかります。背景として、少人数で運営されている薬局も多いため、互いの性格や仕事の負担の違いが目立ちやすいことなどが考えられます。
(4)賃金
正職員の薬剤師の平均年収は、男性が595万6,700円、女性が515万2,600円と、いずれも全産業平均と比べて高い水準です。しかし、事業規模や役職により給与に格差が生じるため、「給与水準の不一致」を理由に離職する薬剤師もいます。
病院薬剤師と薬局薬剤師の給与格差

20〜30代の病院薬剤師と薬局薬剤師の年収を比べると、薬局薬剤師のほうが年収が高いことがわかります。この給与格差は40代以降でほぼなくなるものの、病院から薬局に転職する薬剤師が多い理由のひとつとして考えられます。
薬局薬剤師の事業規模や役職ごとの給与水準の不一致

一般従業員の薬剤師と管理薬剤師の年収には、平均で223.7万円の差があります。また、管理薬剤師の場合、薬局の規模によっても年収が大きく変わります。1店舗のみを運営する個人の薬局では平均905.9万円、100店舗以上を運営するチェーンの薬局では560.9万円と、345.0万円の差があります。
薬剤師の年収について詳しくはこちら
薬剤師の給料は安い?都道府県別の月収・年収・賞与ランキングと初任給について紹介
(5)スキルアップのため
離職理由として「スキルアップに関する環境への不満」を挙げた薬剤師は1.8〜1.9%と比較的少ない結果となりました。病院・薬局ともに約4割の職場でスキルアップのための取り組みを実施しており、専門薬剤師や認定薬剤師の資格取得支援や外部講習会の参加支援が提供されています。
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【薬剤師辞めたい】転職? 進学? 新人〜9年目まで、先輩たちの体験談
3.薬剤師の職場選びのポイント
業務内容や条件を確認する
薬剤師の転職先として、病院や薬局のほかに製薬会社やドラッグストアなどがあります。それぞれ業務内容や条件が異なるため、転職の目的にあった職場を選びましょう。
離職率が低い職場を希望する場合は、残業時間や休日数などを確認しましょう。一方、給与を重視する場合は、希望先の月給や賞与、各種手当を確認し、自分にあった転職先を選ぶのが良いでしょう。また、スキルアップ支援制度がある薬局なら、管理・認定薬剤師へのキャリアアップも目指しやすくなるため、併せて確認することをおすすめします。
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パート・アルバイトや契約職員の求人を探してみる
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正職員と比べて給与水準は下がる可能性があるものの、働き方の自由度が高いことや、異動や転勤の可能性が低いなどのメリットがあります。
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【転職者インタビュー】薬剤師3年目 28歳/転職1回(ドラッグストア薬剤師→派遣薬剤師)
4.キャリアアップを目指して転職するのも選択肢
薬剤師の離職率は、正確な数字は公表されていないものの、約半数の病院で離職率が5%未満と比較的低いことがわかりました。また、薬剤師の離職の理由は妊娠・出産・育児などのライフイベントや、契約期間の満了などが多く、業務への不満や人間関係といったネガティブな理由による退職は少ない傾向がみられます。
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