【2025年4月開始】出生後休業支援給付とは?対象者と給付金の計算方法、申請の流れをわかりやすく解説

2025年4月から、育児休業を取得する夫婦への新たな支援策として、出生後休業支援給付が創設されました。これにより、休業前賃金の実質10割がカバーされることになります。給付の対象者や金額の計算方法、申請の流れについて解説します。

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この記事をまとめると

  • 出生後休業支援給付とは、両親が一定の期間内に育休を取ることで給付金が出る制度
  • 休業前の賃金の13%が支給されることで、育休手当と合わせて手取り100%に
  • 共働き・共育ての推進を目的に、2025年4月にスタート

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目次

1.出生後休業支援給付とは

出生後休業支援給付とは、出生後の一定期間に夫婦ともに通算14日以上の育児休業を取得した場合に、休業前賃金の約13%が給付される制度です。夫婦それぞれで対象となる期間が異なり、母親の場合は産後16週以内、父親の場合は8週以内に育休を取得する必要があります。

これまで、出産や育児に関係する給付には、「出生時育児休業給付(産後パパ育休)」と「育児休業給付」の2つがありましたが、雇用保険法の改正により、2025年4月から育児時短就業給付と出生後休業支援給付が新たに加わりました。

出産・育児に関わる給付金

出生後休業支援給付だけをもらうことはできず、すでにある出生時育児休業給付金(産後パパ育休を取得した際の給付金)または育児休業給付金(育休を取得した際の給付金)に上乗せされ、最大28日間分支給されます。これにより、休業前の手取り金額と同程度(手取りの10割相当)が得られる仕組みです。

出生後休業支援給付のイメージ

出生時育児休業給付金または育児休業給付金の給付率は、休業前賃金の67%程度です。これに出生後休業支援給付金の13%が加わることで、休業前の賃金の80%がもらえることになります。

育休中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除され、育児休業給付金は非課税のため、給付率80%でも手取り10割相当の給付金額となります

出生後休業支援給付ができた背景

出生後休業支援給付ができた背景には、共働き・共育ての推進と、経済的な不安の軽減があります。2023年に厚生労働省がおこなった調査によると、育休の取得率は女性が約84%なのに対し、男性は30%でした。

2022年に出生時育児休業(産後パパ育休)が創設され、2025年4月からは男性の育休取得率の公表義務を300人超1,000人以下の事業所にも拡大しているものの、いまだ女性との差が目立ちます。

また、経済的な不安から育児休業の取得に踏み込めない人も一定数います。出生後の金銭面での不安を軽減し、どちらか一方に家事と育児の負担が偏ることなく、男女共に子育てしやすい環境づくりが期待されています。

2.出生後休業支援給付の支給要件

出生後休業支援給付の支給要件

出生後休業支援給付の支給要件は以下のとおりです。

  • 父親は出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、それぞれが通算14日以上の育児休業を取得すること

出生後休業支援給付金は、出生児育児休業(産後パパ育休)や育児休業を取ることで得られる、出生時育児休業給付金や育児休業給付金に上乗せされるため、これらの育児休業を取得していることが前提となっています。

ただし、配偶者が行方不明、フリーランスなどさまざまな事情に該当する場合は、育休取得の要件は不要になります。詳細は次のとおりです。

配偶者の育休取得が不要のケース

出生後休業支援給付の要件に、夫婦がともに育休を取得していることがありますが、以下のいずれかにあてはまる場合、育休取得は給付の要件になりません。

  1. 配偶者がいない(離婚・行方不明・死別など)
  2. 配偶者が子の実親でない(法律上の親子関係がないなど)
  3. 配偶者の暴力により別居中
  4. 配偶者が無職
  5. 配偶者が自営業者やフリーランス
  6. 配偶者が産後休業中(産後8週以内)
  7. 1〜6以外の理由で配偶者が育休を取得できない

7の育休を取得できない理由には、配偶者が日雇い労働者などが挙げられ、育休を取得できる環境にあるにも関わらず本人の意思で取得しないケースは含まれません。

支給対象外となる場合

以下のいずれかにあてはまる場合は、出生後休業支援給付金の支給対象外となります。

  • 休業中に休業前賃金の80%以上が支払われた
  • 雇用保険の被保険者資格がなくなった
  • 対象期間外に育休を取得した

3.出生後休業支援給付金の計算方法

出生後休業支援給付金でいくらもらえるかは、以下の計算式で算出できます。なお、休業開始時賃金日額とは、休業に入る直前6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額です。

支給額の計算方法

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業日数(28日が上限) × 13%

休業前の月額賃金が30万円の人が、30日間育休を取った場合の支給額を例に挙げます。

計算例

30万円 × 6ヶ月 ÷ 180 = 1万円(休業開始時賃金日額)

1万円 × 28日 × 13% = 3万6,400円(支給額)

上記の金額のほか、育休中の手当が「1万円 × 30日間 × 67%」で20万1,000円支給されるため、総支給額は20万1,000円 + 3万6,400円で23万7,400円となります。

休業前にもらっていた30万円の80%ほどですが、育休中は社会保険料の徴収がなく、各種手当も非課税のため、手取りは休業前と変わりません。

4.出生後休業支援給付の申請方法

出生後休業支援給付を受けるには、育児休業の申請と一緒に、会社からハローワークに申請してもらいます。申請に必要な書類は以下のとおりです。

提出書類

【父母共通】

雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

【父親

  • 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書

【母親】

  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書

状況に応じて提出する書類

申請にあたって、育休を開始したことや育児の事実を確認するために、以下の書類の提出が求められることがあります。あらかじめ準備しておくと良いでしょう。

  • 母子健康手帳、住民票、医師の診断書(出産予定日証明書)など
  • (必要に応じて)出生後休業支援給付金の支給要件を満たしていることが確認できる書類

上記以外に、賃金額を証明するものとして、賃金台帳や出勤簿、タイムカードなどを会社側で用意し、提出します。

5.出生後休業支援給付についてのQ&A

Q.2025年3月生まれの子どもは支給対象?

A.出生後休業支援給付金制度が始まる前に出産した場合も、月によっては支給対象となります。仮に、出産日が3月1日だった場合は母親は産後16週以内に父親は8週以内に、制度の施行日を含むため、支給対象となります。

Q.出産後にもらえる給付金には何がある?

A.出産後にもらえる給付金は、以下のとおりです。

給付金の種類

給付時期

対象者

出産育児一時金

出産時に出産費用として、健康保険組合より支給

母親・世帯主

出産手当金

産前・産後休業中の経済的支援として、健康保険組合より支給

母親

育児休業給付金

育休中の経済的支援として、ハローワークより支給

母親・父親

出生時育児休業給付金

出生後8週間以内に、産後パパ育休を取得した際の経済的支援として、ハローワークより支給

父親


これらに加え、2025年の法改正により、出生後休業支援給付金と、育児時短就業給付金が創設されました。

Q.出生後休業給付金はいくらもらえる?

A.出生後休業給付金は、対象期間に父母ともに育休を取った場合、休業前賃金の約13%が最大28日間支給されます。

Q.配偶者がパート・アルバイト・無職でも対象となる?

A.父母のいずれかがパートやアルバイト、派遣社員であっても、雇用保険に加入していて支給要件を満たせば支給対象となります。また、どちらかが無職やフリーランスであっても、夫婦ともに育休取得の要件がなくなるため、支給対象となります。

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参考

厚生労働省|育児休業等給付の内容と支給申請手続

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