医療介護福祉業界のレクリエーション、その意義とは?
レクリエーションとは、日々の生活の中に楽しみを取り入れるものです。スポーツやゲーム、音楽を通して心身を解放し、休息、明るさ、楽しさ、気分転換などをもたらしてくれます。それは医療介護福祉の現場でも同じこと。日々のレクリエーションの中で、患者さんや利用者さんは楽しみを見つけ、健やかな心身を育むことができます。また、単調な暮らしにほどよいリズムが生まれ、患者さんや利用者さん同士の会話も弾んでくるでしょう。さらに、リハビリ効果が期待できるという側面もあります。このような理由からレクリエーションは、医療介護福祉業界において重要な役割を担っています。
医療介護福祉業界ではどんなレクリエーションが?
病院や介護施設には、病気や障害で体が思うように動かない方も多くいらっしゃいます。そこで、そういった方でも実施でき、なおかつリハビリ効果も期待できるレクリエーションを選択していきます。例えば、足の指先を器用に使って新聞紙を丸めたり、もとどおりに広げたりする「握って開いて」というレクリエーションがあります。これは、車いすの方でも取り組め、楽しみながら下肢の運動になります。また、箱に入っているいろいろな長さの棒(色鉛筆など)を、いかに早く長さ順に並び替えられるかを競う「長さくらべ」というゲーム。早く正確に並べることで手指の動きを引き出し、ものの長さを計る判断力も養えます。
このほかにもレクリエーションの内容は簡単なものから難易度が高いものまでさまざまな種類があります。レクリエーションを行う中で、患者さんは気持ちが明るくなったり前向きになったりと、精神面の変化も期待できます。認知症や精神疾患がある患者さんには、「動物とのふれあい」や「音楽鑑賞」などが効果的なようです。また、年配の方々は、単調な介護施設の生活の合間に「体操」をしたり、「歌を歌う」ことで明るい気分を取り戻し回復への気持ちを育んでいます。脳への刺激や心身の老化のスピードが和らぎ、コミュニケーション作りにも役立ちますね。
事業所によってはこんなレクリエーションも
日々の生活に楽しみが得られるレクリエーションですが、事業所の設備や環境によって提供できる内容も変わります。例えば、カラオケはある程度の設備が必要になりますが、比較的導入しやすいということもあり、人気があるレクリエーションの一つです。また、メイクやヘアカットなどを取り入れたファッションショー。男性も女性も、華やかになることで自信や自己肯定感を育む効果が期待できそうですね。講師を招き、工作、手芸といったレクリエーションも多く実施されています。
レクリエーションは苦手という医療介護福祉従事者に
そうはいっても、スタッフの中には人前に出たり大勢を盛り上げることが苦手で、レクリエーションに対しても苦手意識を持つ方もいらっしゃいます。そんなときは、自分にとってやりやすいレクリエーションを探してみましょう。公益財団法人日本レクリエーション協会のホームページには、さまざまなレクリエーションが紹介されています。また、介護の分野では「レクリエーション介護士」という民間資格も登場しています。これは、「一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会」が2014年9月に設立した資格で、高齢者をより笑顔にすることのできる介護士の育成と活躍を目指すもの。レクリエーションについて本格的に学べるため、どのように楽しみを取り入れていったらいいか、そのコツがわかります。
大切なのは、レクリエーションは主催者側であるスタッフがまず楽しむこと。レクリエーションのコツをつかんで楽しんでいると、自然とスタッフの間に笑顔が生まれます。そんなスタッフの方々を見て、患者さんも利用者さんも一緒に楽しんでいるという気持ちになり、自然な笑顔になるでしょう。