
1.賞与とは
1-1.賞与の定義、ボーナスとの違い
1-2.賞与の種類
1-3.年俸制の場合
1-4.賞与はいつ支給される?
1-5.正職員でも支給されないことはある?
1-6.契約職員・パートは支給される?
2.職種別の賞与の平均金額
3.賞与あり求人の探し方
1.賞与とは
1-1.賞与の定義、ボーナスとの違い
「賞与」とは、固定給制の労働者に対して、普段の給与とは別に労働の対価として支給される給与のことを言います。
「ボーナス」「特別手当」「夏期手当」「期末手当」「一時金」など法人ごとに呼び名は異なりますが、いずれの意味もほぼ同じと捉えて良いでしょう。
1-2.賞与の種類
賞与は法令による規制がなく、支払う金額や回数、時期などを法人が自由に設定することができます。
医療福祉業界で多いケースとしては、「基本給連動型賞与」として「基本給の◯ヶ月分」という形で支払われれます。
賞与の種類にはほかにも、業績に応じて金額が変わる「業績連動型賞与」、企業の決算後に支払われる「決算賞与」などがあります。
■代表的な賞与の種類「基本給の◯ヶ月分」に役職・等級などに応じた評価係数を掛けて支給金額を決定し、支給される賞与。医療福祉業界をはじめ、日本ではもっとも普及している支給形式。
計算方法がわかりやすく、業績変動などによる支給金額の変化が少ない。
「業績連動型賞与」
企業の業績や所属部門、個人の成績に連動して支給金額を決定し、支給される賞与。
目標を達成することが支給金額に反映されるため、従業員のモチベーションアップに繋がりやすいメリットがある一方で、業績不振の場合は減額や不支給となるデメリットもある。
「決算賞与」
企業が年に1回おこなう決算後、その業績に応じて利益の一部を従業員に還元する賞与。業績連動型賞与のひとつ。
1-3.年俸制の場合
年俸制とは、1年単位で契約して賃金を決める給与体系のことです。ただし年に一度だけ給料が支給されるわけではありません。賃金は労働基準法により「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められているため、年棒制の場合でも、年俸額を分割した額が毎月の給料として支払われます。
年俸制における賞与の考え方には、2パターンあります。
1つ目は、年俸額を単純に12分割し、毎月の給料に賞与分の金額も含んで支給されるパターン。
2つ目は、年俸額を14〜16分割などで分割し、2〜4ヶ月分を月給とは別に賞与として支給されるパターンです。
つまり、年俸の分割数が異なるだけで、受け取る年収総額としては賞与あり・なしでどちらも変わらないことになります。
なお、年俸額にプラスで支給される形で「業績連動型賞与」「決算賞与」を取り入れている企業もありますが、医療福祉業界では少ないようです。
1-4.賞与はいつ支給される?
賞与の支給時期は、法人が自由に決めることができます。
一般的に多い支払い時期は、夏と冬の年2回。夏期は6月下旬〜7月上旬、冬期は12月中に支給される傾向にあります。
年3回支給される法人では、夏・冬に加え、春期(3〜4月)に支給されるところが多いようです。
tips国家公務員の賞与は年2回あり、支給日は法律によって定められています。夏の賞与は「期末手当」と呼ばれ6月30日に、冬の賞与は「勤勉手当」と呼ばれ12月10日に支払われます。
地方公務員の場合は各地方自治体によって異なりますが、慣例として国家公務員と同じ6月30日と12月10日に支給されることが多いようです。
1-5.正職員でも支給されないことはある?
正職員であれば賞与が支給されるイメージを持っている人もいるかもしれませんが、賞与給付は法人の義務ではないため、そもそも賞与がなかったり、業績に応じてあるとき・ないときが分かれたりすることもあります。
ただし、賞与給付を義務づける法令はないものの、就業規則や雇用契約書で賞与の支払いが明記されている場合には、その内容にもとづき遵守される必要があります。入職時にこれらの内容は確認しておくと良いでしょう。
なお、賞与の評価期間中に在籍していない、または在籍期間が短い場合や、支給日前に退職している場合は、不支給もしくは在籍期間に合わせた数割のみが支給されることもあります。いずれのケースでも、法人ごとの就業規則に則る形となります。

1-6.契約職員・パートは支給される?
一般的に、契約職員やパート職員は賞与がもらえないところが多く、賞与が支給されても寸志程度である場合が多いようです。「寸志」とは「心ばかりの贈り物・厚意」の意味があり、少額の特別手当や賞与のことを指します。
2020年の政府の統計「賃金構造基本統計調査」によると、医療・福祉分野の平均年間賞与は正職員が76.6万円だったのに対し、契約職員・パート職員は22.6万円でした。
しかし、ここで朗報です。2020年4月より「同一労働同一賃金」が施行されました。この法律は、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)のあいだの不合理な待遇差の解消を目指して制定されたもので、 雇用形態に関わらず、同一の労働内容であれば同一の賃金が支払われるというものです。
この法律では、「短時間・有期雇用労働者には、正職員と同一の賞与を支給しなければならない。また、貢献に差がある場合でも、その差に応じた賞与を支給しなければならない」と定められています。そのため、今後は契約職員・パート職員であっても、正職員と同じ基準で賞与が支給されるようになると考えられます。
なお、2020年4月から施行された「同一労働同一賃金」は、大企業が対象となっています。中小企業においては2021年4月から施行されるため、今後の動きに注目しましょう。
2.職種別の賞与の平均金額
これまで賞与の種類や給付の条件などを紹介してきましたが、次に気になるのは「自分のボーナスは、相場と比べて高いのか? 低いのか?」という具体的な金額ではないでしょうか。
以下の表は、2020年3月に政府が公表した「年間賞与とその他特別給与額」の平均を職種別にまとめたものです。
職種 | 平均年間賞与・その他特別給与額 |
---|---|
医師 | 77.2万円 |
歯科医師 | 29.6万円 |
薬剤師 | 83.3万円 |
看護師 | 81.6万円 |
准看護師 | 64.2万円 |
看護補助者 | 43.5万円 |
診療放射線技師 | 86.5万円 |
臨床検査技師 | 87.5万円 |
理学療法士、作業療法士 | 64.6万円 |
歯科衛生士 | 48.0万円 |
歯科技工士 | 29.4万円 |
栄養士 | 60.8万円 |
保育士 | 70.1万円 |
幼稚園教諭 | 73.8万円 |
介護支援専門員 | 62.8万円 |
ホームヘルパー | 38.7万円 |
福祉施設介護員 | 53.2万円 |
上記を見ると、「基本給は高いけれど賞与が低めの職種」や、反対に「基本給は低いけれど賞与が高めの職種」など、賞与の金額は職種によって大きく開きがあることがわかります。
3.賞与あり求人の探し方
求人を探すとき、「月給◯万円以上」のように月給を基準として探す人も多いのではないでしょうか? しかしこれまで見てきたように、賞与の金額・回数や給付条件などによって、年収には大きな差が出るため、「年収ベース」で考えることも大切です。
入職してから「想定よりも賞与が少なかった」「年2回必ず支給されると思ったのに違った」ということにならないように、あらかじめ求人の募集要項や契約内容を確認しておくと良いでしょう。
ジョブメドレーでは、求人の募集要項の「給与の備考」欄に、賞与についての詳しい説明が記載されているため、チェックしてみてくださいね。