1.介護タクシー・福祉タクシーとは
1-1.介護タクシーとは
1-2.福祉タクシーとは
1-3.介護タクシーと福祉タクシーの違いは?
2.介護タクシーのドライバーになるには
2-1.タクシー会社に入るか、個人で開業するか
2-2.必要な免許・資格
2-3.開業はどうすればできる?
3.介護タクシーの車両・料金
4.介護タクシーの給料・収入
5.介護タクシーの大変なこと・やりがい
6.最後に
1.介護タクシー・福祉タクシーとは
1-1.介護タクシーとは
介護タクシーは、法律によって定められた名称・サービスではありません。一般的に、訪問介護サービスにおける「通院等のための乗車または降車の介助」をおこなう福祉車両の通称として「介護タクシー」という名称が使われています。
1-2.福祉タクシーとは
福祉タクシーは、道路運送法第3条で掲げられた「一般乗用旅客運送事業(福祉輸送事業限定)」のことを指します。一般のタクシーと福祉タクシーとの違いとして、「高齢者や障がいをもつ人、身体の不自由な人を対象としていること」「車椅子やストレッチャーのまま乗車できる福祉車両であること」が挙げられます。
1-3.介護タクシーと福祉タクシーの違いは?
福祉タクシーは「福祉車両での移送」をサービスとして提供します。利用者の介助はおこなわないため、ドライバーに「介護職員初任者研修」の取得は義務付けられていません。また、利用は介護保険の適用外となります。
介護タクシーは「通院等のための乗車または降車の介助」を、訪問介護サービスとして提供します。福祉タクシーと違い、ドライバーには「介護職員初任者研修」の取得が義務付けられています。
サービスの利用には介護保険が適用されますが、目的は下記の「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」に限られます。また、利用者は要介護1~5の人を対象としており、「要支援」の方は含まれません。
下記の目的以外での利用もできますが、費用は利用者の自己負担となります。
<保険適用となる介護タクシーの利用目的>
・本人自身でなければならない調整や買い物(補装具・補聴器・メガネなど)
・預金の引き下ろし
・選挙投票、公共機関における日常生活に必要な申請や届け出
2.介護タクシーのドライバーになるには
2-1.タクシー会社に入るか、個人で開業するか
介護タクシーのドライバーになるには、介護タクシー事業をおこなっているタクシー会社に就職するか、個人で開業するかの2通りに分かれます。
2-2.必要な免許・資格
介護タクシーのドライバーには「普通自動車二種免許」と「介護職員初任者研修」の取得が義務づけられています。
▼「介護職員初任者研修」についてはこちらの記事もチェック!
2-3.開業はどうすればできる?
介護保険適用のタクシーとして開業するためには、免許・資格を満たすだけではなく、介護保険事業所(居宅介護支援事業所や訪問介護事業所など)を開設する必要があります。
また、以下の書類を運輸局に申請し、法令試験に合格しなければなりません。申請してから開業の許可が下りるまでには、約3〜4ヶ月ほどかかります。
<必要な書類>
・事業計画及び資金調達に係る書類
・営業所の図面、土地・建物などの権利関係の書類
・自動車関係の書類、任意保険などの見積書
開業の初期費用としては、車両代(中古で80〜300万円程度)、初任者研修取得費用(5〜8万円程度)、二種免許取得費用(20〜30万円程度)、登録免許税(3万円)、事務所(休憩所含む)と駐車場の貸借料などがかかります。なお、事務所と駐車場として自宅を利用することも可能です。
3.介護タクシーの車両・料金
介護タクシーの車両には、利用者が車椅子やストレッチャーに乗ったまま利用できるように、リフトやスロープ等が取り付けられています。
料金は「介助料+移動運賃」で構成されています。
介護保険が適用される「通院等乗降介助」の費用は自己負担1割で1回約100円。行きと帰りで2回分としてカウントされます。
その他の身体介助・生活援助には別途費用がかかる(事業所によって異なる)ため、事前に利用する事業所の料金表を確認しておきましょう。
移動にかかる運賃は実費となり、メーターによる距離制運賃や時間制運賃が採用されています。また、旅行・冠婚葬祭には時間貸切による利用も可能です。※金額は、地域・車両によって異なります。
4.介護タクシーの給与・収入
2023年11月時点でジョブメドレーに掲載されている介護タクシーの平均給料は次のとおりでした。なお残業手当や賞与など月によって変動する金額は含みませんので、実際に支給される金額はこれよりも高くなる可能性があります。介護タクシーの給料の一例として参考にしてください。
下限平均 | 上限平均 | 総平均 | |
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 | 1,086円 | 1,171円 | 1,128円 |
正職員の月給 | 20万6,561円 | 27万5,473円 | 24万1,017円 |
正職員の年収 | 289万1,848円 | 385万6,626円 | 337万4,237円 |
以前ジョブメドレーでインタビューをおこなった、介護タクシーのドライバー(個人で開業)のNさんの場合、週6日・10〜17時の間で8時間働いて月収約35万円。
そこから税金と諸経費(ガソリン代など)を差し引くと手取り約23万円になるとのことでした。給与の一例として参考にしてみてください。
▼介護タクシー/ドライバーのNさんの転職者インタビューはこちら
5.介護タクシーの大変なこと・やりがい
介護タクシーのドライバーは、障がいを持つ人や介護が必要な人の移動を支える「縁の下の力持ち」のような存在です。
利用者さんとのコミュニケーションが重要になりますが、介護タクシー特有の苦労・やりがいはどのようなものでしょうか?
過去にインタビューをしたNさん(52歳)は次のように語っていました。
いま毎朝、知的障がいを持った女の子を送迎しています。
その子は特別支援学校にスクールバスで通っていたんですけど、暴れて何度も窓ガラスを割ってしまい、学校から「自主登校」をお願いされていたんですね。
ただ、お母さんが免許を持っていないので、ぼくが送迎を引き受けることにしました。
ー介護タクシーでは問題なく送迎できたんですか?
はじめは食べ物を投げつけられたり、噛み付かれたりしました。ただ、その子は娘と同じ高校3年生で、相談員の人もぼくも「なんとか学校に通わせてあげたい」という気持ちがありまして。
それで1ヶ月くらい辛抱強く接していたら、その子も「これに乗って学校に行くんだな」と認識できたみたいで、大人しく座ってくれるようになり、いまは毎日学校に通っています。それで親御さんから感謝の言葉をもらったときは嬉しかったですね。
また、インタビューの中で「一般のタクシードライバーになろうとは思わなかったか?」という質問を投げかけたところ、Nさんは「毎日、新しいお客さんを乗せるタクシーよりも、関係性をつくりながら仕事ができる介護タクシーのほうが自分には合っている」と答えてくれました。
介護タクシーを開業する場合、営業による新規開拓はもちろん必要ですが、仕事を紹介してくれるケアマネジャーや利用者さんとの関係ができてくると、ある程度自分のペースで仕事ができるメリットがあるようです。
6.最後に
日本の65歳以上の高齢者数は、2025年には3,600万人を超える見込みで、介護の需要はさらに増えると考えられています。
そのような状況において、介護タクシーの需要も増すことが予測され、個人開業も目指せる介護タクシーは、介護経験・資格を活かしたい人だけではなく、業界未経験の人にもおすすめの仕事であるといえます。
ジョブメドレーでも「介護タクシー/ドライバー」の求人を取り扱っていますので、就職・転職を考えている人は参考にしてみてください。
<介護タクシー/ドライバーの転職体験談もチェック!!>