介護負担を軽減!介護支援型ロボット
まずは、介護する側を支援する介護支援型ロボットです。このロボットは、移乗・入浴・排泄などの介護業務を支援する目的で開発されています。中でもマッスルスーツやHALが有名。マッスルスーツはコンプレッサや背中のタンクから空気を送ることで人工筋肉を収縮させ、動作補助を行い腰の負担を軽減します。装着のしやすさ、作業者の呼気や吸気をマウスピースに通すことで操作を行うなどの工夫がされています。重さは標準型で4~5kg程度です。HALは、動きをアシストしたり普段より大きな力を出したりすることが可能。動作するときに脳から出される信号をHALのセンサーがキャッチし、パワーユニットが作動します。病院や介護施設向けの介護支援用は、標準サイズで2.9kgと扱いやすい重さ。こちらも腰に負担のかかりやすい介護動作が楽に行えるようになります。どちらも医療・介護分野での活用が始まっています。
一人でできることを増やしたい!自立支援型ロボット
介護を受ける側の自立支援型のロボットも注目されています。一人でできることを増やしたい、他人に迷惑を掛けたくないといった、介護される側の視点から生まれました。このロボットは、主に歩行やリハビリ、食事、読書などの自立を支援します。代表的なものとして、ロボティックベッドが挙げられます。ロボティックベッドは、ベッドが真ん中から二つに割れ、片方の背中が持ち上がりリクライニング型の車椅子となるもの。人の手を借りずに離床できることで、活動範囲の拡大が期待できます。また、先に挙げたHALは、介護される側にも力を発揮。たとえば、歩けない方がHALを装着し、歩きたいと思うと脳から信号が出されます。これをやHALのセンサーが感知してパワーユニットが作動、歩行を介助します。さらに「歩けた」と脳が感じ、信号の出し方を学習させる狙いもあります。リハビリ用として、医療・介護分野での導入が進められています。
コミュニケーション・セキュリティーに役立つロボット
最後は、癒し・見守りで力を発揮するコミュニケーション・セキュリティー型ロボットです。Pepperをはじめ、同じタイプのPALROやPalmiがすでに介護施設などで活躍しています。声を掛けると振り向き近づいてきたり、相づちや話題提供で会話を膨らませます。歌ったり踊ったりもできるので、レクリェーションを盛り上げるのも上手です。在宅介護での活躍が期待されるBOCCOは、外出先からスマートフォンで送ったメッセージを音声に変え、自宅にいる利用者とその家族がやりとりできるようになっています。また、玄関の開閉の振動もキャッチし家族に知らせ、セキュリティー面でもサポートします。ぬいぐるみ型のPaloは、アニマルセラピーに代わるロボットとしても注目を集め、その効果はギネスでも認定。医療・介護施設などで取り入れられ、主に自閉症の子どもたちや認知症の方のセラピーに効果を上げています。
導入企業も増えてきた!医療・介護ロボットの今後は・・・
ロボットが介護することに対して批判的な考えの方もいるでしょう。効率化にばかり目がいっているのでは、といった声もあります。しかしロボットのサポートで介護する側の身体的負担が軽減すれば、質の高い介護を継続して提供できるのです。また、「誰かに頼らなければならない」という介護される側の精神的負担の軽減にもつながるのではないでしょうか。実際、これらのロボットは成果を挙げており、介護や関係機関の方々で行われるワークショップなどでも、医療・介護用ロボットについて取り上げられることが増えてきました。介護する側とされる側、両方の心身の負担を軽減できる医療・介護用ロボット。今後ますますその活躍が期待されています。