教えてもらえなかったから……は通用しない社会人マナー
最近ではマナー研修などをしている医院・事業所も増えてきましたが、これといって教えてもらえないまま電話に出なければならなくなったり、患者さんや利用者さん、そのご家族と話さなければならなくなって、戸惑った経験はありませんか?
医療介護は対人の仕事が多いもの。相手に失礼のないよう、電話のかけ方・受け方、あいさつと言葉づかい、服装くらいはきちんとマナーを守れるようにしておきたいものです。
いざという時に困らないように電話応対は日頃から練習を
病院や介護施設など多くの職場では、電話応対を行うのは事務員の場合が多いです。しかし、医療介護の仕事に携わる方も利用者や患者の家族に連絡をする、または関係機関からの連絡があるなど、電話応対の機会はたくさんあります。そのため社会人としての最低限必要なマナーはおさえておきましょう。
■電話のかけ方
- かける前にあらかじめ必要事項を整理し、簡潔に話せるよう準備する
- 先方に迷惑にならない時間帯を選ぶ
- 相手が電話に出たら「○○の○○と申します。いつもお世話になっております」とあいさつ。
- 正確に伝わる話し方をする(時間を伝える時は午前・午後を必ずつける、7時「ななじ」のように聞き間違いのリスクを減らす)
- 電話を切るときはこちらから(電話先の方が目上であるときは、先方の方が先に電話を切ってから)
■電話の受け方
- できるだけ3回コール内で受話器を取る
- メモと筆記用具を用意する
- 電話を取ったら名前を名乗る
- 電話を切るときは先方が切るまで待つ
いずれも明るい声で元気良く応対することは言うまでもありません。
あいさつと言葉づかいは、丁寧に接する姿勢を心がける
ぜひ押さえておきたいのは、「あいさつは明るく笑顔で」。気持ちのいいあいさつは雰囲気を明るくし、利用者も患者も元気をもらった気分になります。あいさつは、社会人として基本的かつ重要なマナー。積極的に、またタイミングよく、適切な言葉を使いましょう。そして言葉づかいですが、「丁寧に」「敬語で」「ゆっくり」「はっきりと」話すように心がけてください。特に医療介護業界の現場では、関わる方のほうが目上であることが多いもの。よそよそしく話す必要はありませんが、相手の方に「敬意をもって丁寧に接しています」ということが伝わるように話しましょう。また、いいにくいことをやむを得ずお伝えしないといけないときは、「恐れ入りますが」「失礼ですが」などのクッション言葉を入れて話すのがマナー。相手の方に不快な印象を与えずに伝えることができます。
服装は動きやすさ・清潔感のほかにも安全性に気を配って
社会人として身だしなみはとても大事なことですね。特に動きやすさと清潔感が大切なのは言うまでもありませんが、医療介護業界では「安全に仕事ができること」も大切な要素です。特に介護の現場では、ポケットやフードなどの飾りがある服で介助をおこなったとき、利用者の腕がひっかかるなどにより、事故が起きる場合が考えられます。多くの職場では業務中の服装について規定がありますので、目を通しておきましょう。制服が決まっている職場の人は、なるべくこまめに洗濯し、清潔感を保つことが大事です。また、服装だけでなく髪の毛や爪にも気を配りましょう。爪は短く切る、髪の長い人はまとめておくこと、これらは特に医療介護業界において大切なマナーです。
マナーには「気持ち」があらわれる
以上、医療介護業界に携わる際に必要な最低限のマナーについて紹介しました。接遇の研修でよく言われるのが「マナーには気持ちがあらわれる」ということ。マナーと聞けばついテクニックのようにとらえてしまい、「こうしなければならない」など堅苦しく考えてしまいがちです。でも実はそんなふうに考える必要はないのかもしれません。利用者や患者の方々、一緒に働く仲間に対する気遣いや思いやり、そして「安心」「安全」を常に頭に置いてふるまってみてください。そうすれば自然とマナーが身についていくことでしょう。