介護職の知識と実践スキルが測れるキャリア段位制度
キャリア段位制度とは、介護職の知識(わかる)と実践スキル(できる)の両方を測れる基準として、2012年に導入された制度です。介護業界では介護技術、接遇、トラブルが生じた場合の対処の仕方などの実践スキルが重要視されるにもかかわらず、これまで明確な評価基準は設けられていませんでした。そのため、いくら実践スキルが高くても賃金に反映されにくく、また事業者独自の基準があっても転職先では通用しにくいといった現状がありました。
キャリア段位制度とは、その人がこれまで培ってきたキャリアやスキルを客観的に評価できる介護業界共通の基準。介護職に対する適正な評価の実現だけでなく、現場で働く方や介護業界を目指す方のひとつの指標としての役割が期待されています。キャリア段位制度のレベル認定者数は2016年10月現在1,876名。2016年度中にはさらに約4,000名がレベル認定される見込みです。
キャリア段位制度、段位認定の方法
キャリア段位制度は、介護に必要な基礎知識を身につけた段階の「レベル1」から介護のプロフェッショナルである「レベル7」まで、7つの段階に分かれています。ただ2016年10月現在、実際に評価が行われているのはこのうちのレベル4まで。残りの3段階については今後実施される見込みです。
評価は事業所から選出されたアセッサー(※)が3~6か月かけてOJTによる「内部評価」を行い、その結果をもとに実施機関であるシルバーサービス振興会が「外部評価」を実施。知識と実践スキルそれぞれに評価ポイントが設けられています。
「知識」については、介護職員初任者研修修了や介護福祉士の資格取得で習得度を評価します。一方で実践スキルについては、次の3つの観点から評価します。
- (1)基本的な介護技術
- (2)利用者視点での評価
- (3)関係機関との連携、リーダーシップを発揮できているか
※アセッサーとは内部評価者のこと。経験を有する介護福祉士など一定の要件を満たしたものが、所定の講習を受けることで認定されます。
導入する事業者が増えています!
キャリア段位制度には、内部評価を通して介護職の資質向上を目指すという目的もあります。つまり、自分の持つ実践スキルが適正に評価されるだけでなく、評価を受けながらスキルアップがはかれる制度なのです。また、キャリア段位制度の導入は介護職員処遇改善加算条件を満たします。そのため、制度を導入している事業者では介護職の給与アップが期待できる場合があります。
キャリア段位制度は始まったばかりですが、導入する事業者は増えつつあり、今後も段位認定を受ける介護職の増加が見込まれます。最近では、キャリア段位制度の導入やアセッサーの在職が明記された求人も見かけるようになりました。転職先を検討する際に注目してみてはいかがでしょうか。