潜在的介護福祉士、その人数は?
介護福祉士として登録された人の総数は、2016年3月時点で140万8533名。実はそのうちの約40%は、介護福祉士の資格を持ちながらも介護職についていない、いわゆる「潜在的介護福祉士」といわれています。
ご存知のとおり、急激な高齢化によって介護を必要としている人は増えています。団塊の世代が後期高齢者の75歳になる2025年までに253万人の介護人員が必要になるともいわれています。このままでは介護の人手が38万人足りないという計算も。そこで潜在的介護福祉士の復職が期待されているのです。
潜在的介護福祉士、その離職の理由とは?
2009年度に行われた介護労働実態調査によると、介護の仕事に携わっている方の約79%は女性。介護福祉士の資格を持つ方も女性がほとんどです。ですから結婚や妊娠、出産という節目に仕事を離れる方も少なくありません。肉体的な負担に加え、精神的にもハードな介護の仕事。妊娠中の女性にとっては特に厳しい職場といえるでしょう。
また、その仕事内容のわりに賃金が低いこと、現場に人手が不足していること、休みが取りにくいこと、社会的にあまり評価されないことなども、仕事上の悩みとして離職の理由になっているようです。
復帰したくないわけじゃない、潜在的介護福祉士の思い
確かに厳しい介護の仕事ですが、そのやりがいも決して小さなものではありません。ハードな業務の中にも、日々喜びを感じて介護に取り組まれている方もたくさんいます。潜在的介護福祉士の方にしても、介護の仕事に戻りたくないと思っているわけではないのです。
社会福祉・進行試験センター「介護福祉士等現況把握調査」(2008年)によると、介護以外の仕事に就いている潜在的介護福祉士の44.3%、仕事に就いていない潜在的介護福祉士の53.2%が、「条件が合えば」介護の仕事に復帰したいと考えているのだそうです。この「条件に合えば」というところをクリアできるかどうかが、潜在的介護福祉士の復職へのキーワードとなりそうですね。
潜在的介護福祉士、職場復帰の対策と現状
潜在的介護福祉士が安心して復職できるための対策。その実現には働きやすい職場づくりや待遇の改善が必要です。事業所によっては介護職員の定着率を上げるための取り組みを始めたところもあります。介護職員が介護に専念できるよう、洗濯や掃除などの雑用は別の専用スタッフが担当するのもその1つ。また、介護技術の研修を充実することにより、介護職員の心身の負担を減らすことも大切です。
もちろん介護技術のスキルアップは、利用者への介護サービスの質の向上にもつながりますよね。そして、やはり重要なのは介護職員の給与アップといえるでしょう。アベノミクス「新三本の矢」では「介護離職ゼロ」を目指す方針も打ちだされました。そのためには介護人員の確保が欠かせない条件となります。高齢化が進む現状に追い付くためにも、介護職員にとって魅力的な職場づくりが急がれています。