インテーク、アセスメント、モニタリング、エバリュエーション、ケアワークの準備段階や評価に使われるこれらの介護用語の違いとは?

カタカナ用語が全盛のいま、介護用語にも多くのカタカナ言葉があります。そのなかから、ケアワークの一連の流れのなかで使用され、混同されやすい4つの介護用語「インテーク」「アセスメント」「モニタリング」「エバリュエーション」について詳しく説明します。

インテーク、アセスメント、モニタリング、エバリュエーション、ケアワークの準備段階や評価に使われるこれらの介護用語の違いとは?

第一印象が決まる!?大切な「インテーク」とは

まずはインテーク(intake)という用語から。これは、もともと「受け入れ」という意味の言葉です。転じてケアワークの世界では、相談機関に相談者が訪れた際の最初の面接や、電話でかかってきた相談のことを指します。すべてのケアワークはここから始まり、介護や支援を必要とする本人や家族から、それぞれの事情、要望などを伺います。

相談を受ける者はインテーカーといわれますが、インテーカーは相談者が話しやすい態度で接することが基本です。本人や家族にとって、介護や福祉の相談は初めての経験ということがほとんど。「この人は私たちの話をちゃんと聞いてくれるのかな」と、不安を抱いている方が多いものです。相談者の話は優しく穏やかに伺い、適度なあいづちを打つなど、傾聴や共感の姿勢を示すことが大切です。また、不信感を与えないために、メモをとる際には承諾を得るようにしましょう。

インテーカー側としても聞きたいことがたくさんあると思いますが、一方的な質問の投げかけばかりでは、信頼関係は築きにくくなります。まずは受容することを心がけましょう。話を伺っていると、その内容から疑問点などが浮かび、どういう要望があるのかを聞き取りやすくなります。中立の立場で時間をかけてじっくりと面談し、その後の具体的な支援へと結びつけていくのです。

情報収集も大切ですが、利用者にとってのインテーカーや所属機関の印象が決定づけられる機会でもあるので、その後のケアを円滑に進めるうえでもとても重要なプロセスです。インテークの価値は、ケアワークに関わる全ての人が理解しておきたいものですね。

適切なサービスを提供するために大切な「アセスメント」とは

アセスメント(assessment)は、日頃からよく聞く言葉ではないでしょうか。その意味は「客観的評価・査定」というもの。対象地域の環境を調査する「環境アセスメント」などという用語も、耳にしたことがある方もいると思います。介護など、ケアワークの現場でのアセスメントといえば、ケアプランを立てるために行う情報収集のこと。したがって、この言葉が最もよく使われるのは、ケアマネジャーの仕事です。

アセスメントの大まかな流れは、まず相談者や家族が抱える課題を明らかにすることから始まります。続いて、まずは何をするのかという「短期目標」と、その先にどのような生活をイメージするのかという「長期目標」を設定。そして、これらを達成のためにどんな支援が必要なのかを策定していきます。インテークは電話相談の場合も多いですが、アセスメントは基本的に本人とその家族を交えて相談者の自宅で行います。

相談者のニーズを正確に把握するため、アセスメントは客観的かつ適切な方法を用いて行わなければなりません。そこで、アセスメントシートと呼ばれるツールを使用します。これは、厚生労働省が課題を分析するために必要と定めたヒアリングポイント(課題分析標準項目)がまとまったもの。漏れのない情報収集を行ううえで欠かせないツールです。具体的に見てみると、歩行や排せつなど日常生活における基本的な動作(ADL)を評価する項目、調理や掃除など日常生活における複雑な動作(IADL)を評価する項目、居住環境を評価する項目など、23の項目に分かれています。これだけ項目が多いと質問攻めになってしまいがちですが、インテークと同じく相手の話に耳を傾ける姿勢が大切です。項目は必ずしも上から埋めていく必要はないので、会話の流れを読んで相談者が特に気にしていることや話しやすい内容から伺うのがよいでしょう。専門用語はなるべく簡単な言葉に置き換え、時折「分からないことはありませんか?」と尋ねると、お互いの認識がずれにくくなります。質問のなかには、相談者が話しづらい事柄もありますので、そういった質問はその場で無理に聞いたりせず、話題を変えて後回しにしたり、日を改めたりするのがおすすめです。

また、メモを取ることにだけ集中してしまい、会話に抑揚がなくなってしまうこともよくあります。メモは一語一句とるのではなくキーワードや図で表すことを心がけると会話に集中でき、あとで読み返したときに全体のイメージが湧きやすくなります。

ヒアリングを終え情報が網羅されたら、提供できるサービスを具体的にしていき、ケアプラン立案へと道筋をたてていきます。立案後にそのケアプランが適切かどうか、サービス提供の前に評価することも一連の仕事です。ミスマッチなサービス提供をしないためにも、これらはとても大切なプロセスです。

ケアプランの効果を確認する「モニタリング」とは

モニタリング(monitoring)とは、介護サービスの提供が開始された後に行う現状把握のこと。これも介護の世界では、ケアマネジャーの代表的な仕事とされています。モニタリングでは、ケアプランに沿って適切にサービスが実施されているか、掲げた目標の達成に近づいているか、利用者や家族の生活に変化が現れたか、新たな課題が生じていないかなど、把握すべきことはたくさんあります。また、いくらケアプラン通りにサービスが行われていたとしても、利用者や家族の満足度が低ければ、長期的な目標の達成は難しくなってきます。サービスに対して抱いていた期待と、実際のサービスとの間にずれがないかといった点も、重要な確認事項です。

利用者の状況は時間の経過とともに変化していくもの。そのため、モニタリングは一回だけで終わるものではありません。介護保険制度では、少なくとも1か月に一度は居宅にてモニタリングを実施することとなっています。モニタリングを通じて新たな課題が見つかったり、設定した目標のハードルが高かったことを実感したりしたときには、ケアプランの調整を行います。こうしてケアプランは、その人の課題を解決するためのより良いものに近づいていきます。

サービスを提供している事業者へのモニタリングも大切です。現場を直接見ることで気づけることもありますし、普段接している事業者からしか聞けない情報もあります。さらに事業者側にとっても、モニタリングの結果を聞くことで、より利用者にマッチしたサービスの提供につながります。事業者とやりとりを重ねれば重ねるほど信頼関係も築かれていき、コミュニケーションもどんどん円滑になっていくことでしょう。

仕事のクオリティを上げる「エバリュエーション」とは

エバリュエーション(evaluation)とは、評価の意味を持つ英単語。介護サービス提供が終わった段階や、区切りごとにおこなう評価のことです。モニタリングと混同されがちですが、モニタリングはあくまでもサービス提供中での振り返りのことを指します。いわゆる「事後評価」といわれるエバリュエーションとは異なります。

エバリュエーションでは、これまで提供してきたサービスの効果を査定します。また、改善点はなかったかなども検討します。ポイントは、サービス提供者だけなく、利用者とともにおこなうこと。この両者がそろうことで、より中立な評価となることが期待されます。そして、エバリュエーションの結果や利用者の状況変化に応じて再度アセスメントのプロセスに戻り、その後のサービス提供がより最適なものになるようなサイクルを回していきます。

エバリュエーションは、自分が関わったケアワークを客観的にとらえることができる機会です。時には厳しい評価が出ることもあるかもしれません。ですが、こうした事後評価を繰り返すことで、ケアワーカーとして力がつくはずです。そして何よりも利用者や、関わった人々から高評価が得られれば、大きな励みにもなることでしょう。

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