
キャリアアップを支援し給与をアップさせる仕組みがスタート
保育園の役職といえば、園長と主任保育士だけで、独自にリーダー職やクラス担任等を置く園はあっても、給与への反映は少ないのが実情でした。キャリアアップの道がないこと、技能や経験が給与に反映されないことは、中堅の保育士の離職の原因にもなり得ます。そこで政府は、平成29年度より、保育士のキャリアアップの仕組みとそれに伴う処遇改善制度をスタート。一般保育士から主任保育士までの間に新しいポジションを設け、研修を受けて段階的にキャリアアップしていく仕組みを作りました。
新設された新ポジションとは、副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーの3つ。キャリアアップすると、給与もアップします。
若手リーダーとして働く職務分野別リーダー
職務分野別リーダーは、キャリアアップの最初のステップ。3年以上の経験がある保育士が対象で、専門分野のリーダーとして働きます。担当する専門分野はつぎの6つの研修分野から選びます。
- 1)乳児保育
- 2)幼児教育
- 3)障害児保育
- 4)食育・アレルギー対応
- 5)保健衛生・安全対策
- 6)保護者支援・子育て支援
職務分野別リーダーになるには、都道府県単位で行われる研修を受けて、研修修了後に職務分野別リーダーの発令を受けることが条件となっています。研修は15時間(2~3日)程度です。職務分野別リーダーになれるのは、園長と主任保育士を除いた職員数(調理員等も含む)の5分の1。月額5,000円の手当が受け取れます。
管理職的な副主任保育士と専門性の高い専門リーダー
7年以上の経験があり、職務分野別リーダーを経験すると、所定の研修を受けて副主任保育士、または専門リーダーにキャリアアップできます。副主任保育士は管理職の業務を担当するのに対し、専門リーダーは専門性の高いリーダーとして職場のスタッフを支える仕事を行います。研修する分野は先の6つに加えて2つの分野が用意されています。
- 1)保育実践
- 2)マネジメント
副主任保育士になるには、マネジメントと3つ以上の研修分野を修了し、副主任保育士として発令されることが条件となっています。専門リーダーは、4つ以上の研修分野を修了し、専門リーダーとして発令されることが条件です。どちらにも月額4万円の手当が支給されます。副主任保育士と専門リーダーの人数は、園長と主任保育士を除いた職員数(調理員等を含む)の3分の1。職員数が15人なら5人になります。
手当の金額は園によって異なることも
手当に充てるお金は、市町村から支払われる施設型給付(私立保育所の場合は委託費)、地域型保育給付に加算する形で保育園に支払われます。たとえば副主任保育士と専門リーダーが5人いる場合は20万円加算されます。
このうち、最低、半分に当たる2人(端数は切り捨て)には満額の4万円を手当として支給するように決められていますが、残りの加算金は1人当たり5,000円以上4万円未満の範囲なら、園の実情に合わせて柔軟に運用してもよいことになっています。残りの12万円分を3万円ずつ4人分の手当にすることも、2万円分ずつ6人分の手当にすることもできます。副主任保育士と主任保育士の給与格差がなくなる場合は、主任保育士の給与の一部に充てることも可能です。したがって、保育園によって手当の金額が異なったり、役職についていない人も給与がアップしたりすることがあります。