【2022年最新】登録販売者とは? 資格取得方法や試験合格率、仕事内容、給料について解説

セルフメディケーションの観点から、市販薬の一部を販売できる登録販売者に対する需要が増えています。今回は登録販売者の資格取得方法や試験合格率、仕事内容、給料について解説します。

特集 仕事を知る 登録販売者

1. 登録販売者とは?

一般用医薬品の販売を担う専門資格

登録販売者とは、2009年の改正薬事法(現在の薬機法)の施行により誕生した一般用医薬品(市販薬)の販売に必要な専門資格です。

登録販売者は一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品を販売することができます。一般用医薬品の中でとくにリスクの高い第1類医薬品については薬剤師にしか販売が認められていませんが、該当する品目は全体の1%程度に留まります。つまり、登録販売者は残りの9割以上──ほぼすべての品目を取り扱うことができます。

OTC医薬品の分類
*医師の処方箋がなくても薬局や薬店などで自由に購入できる医薬品をOTC医薬品と呼び、要指導医薬品と一般用医薬品がこれに該当する。市販薬大衆薬と呼ばれることもあるが、国際的に医薬品の販売はカウンター越し(Over The Counter)におこなわれていることから、この呼称が使われるようになった

また、この法改正によって薬剤師のいない店舗でも登録販売者がいれば医薬品を販売できるようになったことから、ドラッグストア以外の一般の小売店──スーパーやホームセンター、家電量販店などでも医薬品の取り扱いが増えました。

薬剤師が慢性的に不足していることからも登録販売者に対する需要は多く、制度開始から2021年3月末までに延べ30万人以上の方が登録販売者試験に合格しています(参考:厚生労働省)。

登録販売者と薬剤師の違い

薬剤師が薬の調剤から販売まで幅広く携わる医薬品の専門家なのに対して、登録販売者はあくまで医薬品の“販売”に関する専門資格です。

そのため、資格取得の要件販売できる医薬品が異なります。

薬剤師になるには薬学部の6年制課程を卒業する必要がありますが、登録販売者になるのに学歴(専門教育を受けた経験)は問われません

薬剤師がすべての一般用医薬品を販売できるのに対し、登録販売者が販売できるのは一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品に限られます

 

登録販売者

薬剤師

根拠法

薬機法

薬剤師法

資格の位置付け

都道府県知事の登録

厚生労働大臣の免許

受験資格

とくになし

薬学部(6年制)卒

主な業務

医薬品の販売

医薬品の調剤
医薬品の販売

販売できる
一般用医薬品

第2類医薬品
第3類医薬品

第1類医薬品
第2類医薬品
第3類医薬品

薬剤師について詳しくはこちらの記事でも解説しています。

薬剤師とは?

2. 登録販売者になるには?

登録販売者試験に合格し、販売従事登録をおこなう必要がある

登録販売者になるには

登録販売者として働くには、登録販売者試験に合格し、販売従事登録を受ける必要があります

登録販売者の販売従事登録について

  • 勤務する店舗がある都道府県で登録申請する
  • 試験を受けた都道府県以外でも、登録申請することができる
  • 複数の都道府県で登録することはできない
  • 登録を受けた都道府県以外でも、登録販売者として働くことができる

登録販売者試験を受験するのに学歴(専門教育)や職歴(実務経験)は問われませんが、試験に合格し販売従事登録後すぐに単独で売り場に立つことはできません

最初は研修中の登録販売者として、必ずほかの登録販売者や薬剤師の管理・指導を受けながら働きます。その間は一人でシフトに入ることができず、名札にも「研修中」と明示しなくてはなりません。

店舗で2年間、医薬品販売の経験を積むことで初めて正規の登録販売者として独り立ちすることができます。この正規の登録販売者を法的には「店舗管理者の要件を満たす登録販売者」と呼び、各店舗に配置が義務付けられている店舗管理者になることができます。

登録販売者の店舗管理者要件について

次のいずれかに該当すること

  1. 過去5年間のうち、医薬品の販売スタッフとして80時間以上働いた月が通算24ヶ月以上ある
  2. 過去5年間のうち、医薬品の販売スタッフとして働いた月*が通算24ヶ月以上、かつ、勤務時間が通算1,920時間以上ある

*勤務時間が月80時間に満たなくてもカウントされる。5年間(60ヶ月)で通算1,920時間以上ということは、1,920時間÷60ヶ月=月32時間が勤務時間の目安となる

また、登録販売者は毎年外部研修を受け、研鑽を積むことが求められています

登録販売者の外部研修について

  • 事業者は、毎年12時間以上の外部研修を受講させる
  • 研修機関は、研修修了後に修了証等を交付する
  • 研修機関は、次をカリキュラムに含める
    1. 医薬品に共通する特性と基本的な知識
    2. 人体の働きと医薬品
    3. 主な一般用医薬品とその作用
    4. 薬事に関する法規と制度
    5. 一般用医薬品の適正使用と安全対策
    6. リスク区分等の変更があった医薬品
    7. その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

登録販売者試験の概要

都道府県によって異なりますが、登録販売者試験は年に一回、8月下旬から12月上旬にかけて実施されています。

登録販売者試験は次の5つの分野から合計120問出題されます。

  1. 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
  2. 人体の働きと医薬品(20問)
  3. 主な医薬品とその作用(40問)
  4. 薬事関連法規・制度(20問)
  5. 医薬品の適正使用・安全対策(20問)

登録販売者試験の合格基準は次の2つです(両方を満たす必要があります)。

  1. 全体の正答率が70%以上
  2. 各分野の正答率が35%以上、または、40%以上(都道府県によって異なる)

そのほか、登録販売者試験に関する最新情報は各都道府県の公式ページからご確認ください。

登録販売者試験の合格率の推移(全国平均)

過去5年間、登録販売者試験の合格率(全国平均)はおおむね40〜50%で推移しています。

登録販売者試験の合格率ランキング(都道府県別、2021年度)

2021年に実施された登録販売者試験の都道府県別の合格率は次のようになりました。

順位

都道府県

受験者数

合格者数

合格率

1位

山口県

666人

458人

68.8%

2位

広島県

1,333人

889人

66.7%

3位

岡山県

1,064人

691人

64.9%

4位

愛媛県

840人

543人

64.6%

5位

香川県

624人

397人

63.6%

6位

鳥取県

285人

172人

60.4%

7位

愛知県

3,519人

2,078人

59.1%

8位

島根県

338人

194人

57.4%

9位

静岡県

1,607人

916人

57.0%

10位

関西広域連合*

9,402人

5,295人

56.3%

11位

富山県

718人

383人

53.3%

12位

岐阜県

1,287人

682人

53.0%

13位

高知県

441人

231人

52.4%

14位

三重県

759人

396人

52.2%

15位

石川県

926人

481人

51.9%

16位

群馬県

1,405人

715人

50.9%

17位

奈良県

657人

321人

48.9%

18位

福井県

578人

282人

48.8%

19位

神奈川県

3,311人

1,615人

48.8%

20位

福岡県

2,891人

1,405人

48.6%

21位

茨城県

1,344人

642人

47.8%

22位

新潟県

956人

442人

46.2%

23位

長野県

1,372人

632人

46.1%

24位

山梨県

346人

154人

44.5%

25位

長崎県

705人

310人

44.0%

26位

熊本県

924人

406人

43.9%

27位

大分県

647人

281人

43.4%

28位

宮城県

1,749人

759人

43.4%

29位

東京都

4,888人

2,112人

43.2%

30位

宮崎県

503人

216人

42.9%

31位

栃木県

981人

420人

42.8%

32位

北海道

2,236人

948人

42.4%

33位

千葉県

3,025人

1,251人

41.4%

34位

岩手県

954人

394人

41.3%

35位

埼玉県

2,886人

1,178人

40.8%

36位

佐賀県

378人

149人

39.4%

37位

青森県

808人

318人

39.4%

38位

山形県

533人

205人

38.5%

39位

沖縄県

763人

282人

37.0%

40位

福島県

932人

330人

35.4%

41位

鹿児島県

929人

326人

35.1%

42位

秋田県

560人

183人

32.7%

*参考:各都道府県の公式ページ等
*関西広域連合は滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県の6府県の合計

合格率が最も高い県(68.8%)と低い県(32.7%)では、2倍以上の差があるほか、同じ都道府県でも年によって合格率にバラツキが見られます。

3. 登録販売者の仕事内容

登録販売者の仕事と言えば、一般用医薬品を選ぶお手伝いを想像する方も多いかもしれませんが、これは業務のごく一部にすぎません。登録販売者は店舗のいち販売スタッフとして会計や接客、品出しなど数多くの業務に携わります

一般用医薬品の販売

お客さまの症状にあった医薬品を提案し、有効成分、効能・効果、正しい服用方法、副作用、使用上の注意などについて説明します。養生方法や生活習慣についてアドバイスするほか、症状によっては医療機関の受診を勧めることもあります

  • 症状や目的のヒアリング
  • アレルギー歴や病歴の確認
  • 治療中の病気や服用中の薬の確認
  • 医薬品の提案・説明
  • 養生方法や生活習慣のアドバイス
  • 受診勧奨 など

店舗の運営

そのほかにも、清掃や接客、レジ、品出しといった業務を日常的におこないます。定期的に棚卸し作業が発生するほか、販売促進のために売り場づくりを工夫したりします。店舗運営には、医薬品のほかにも化粧品健康食品サプリメントなど店舗で扱うあらゆる商品に関する知識が必要ですが、さまざまな商品を組み合わせた提案ができることはドラッグストアや小売店で働く魅力の一つと言えます

  • 清掃
  • 接客
  • レジ
  • 品出し
  • 棚卸し
  • 売場づくり など

4. 登録販売者の勤務先

登録販売者の勤務先の多くはドラッグストアとなりますが、ほかにもスーパーやホームセンターなど一般の小売店調剤薬局にも求人があります。

ドラッグストア

ドラッグストアの場合、医薬品対応マニュアル研修制度などのフォロー体制がしっかりしているため、未経験でも働きやすい環境が整っています。正職員の求人が多く、スタッフから店長(店舗管理者)、エリアマネージャーと長期的なキャリア形成をしやすいという特徴もあります。

一方でPB商品などの販売目標を課せられることがあるほか、大型店舗になると品出しや棚卸しの作業量が膨大になるといった大変さもあります。

*Private Brandの略。小売業者が自らの店舗で販売することを目的に企画開発した製品群のこと

また、調剤併設型のドラッグストアの場合、わからないことがあったときに薬剤師に相談しやすいというメリットがあります。

登録販売者を募集しているドラッグストアを探す
ドラッグストア / 調剤併設型ドラッグストア

スーパー・ホームセンター・家電量販店・コンビニ等

スーパー・ホームセンター・家電量販店など一般の小売店の医薬品売場の場合、ドラッグストアと業務内容はほぼ同じです。ただし、日用品や化粧品とは売り場が分かれていることが多いため、品出しや棚卸しなどの作業が限られているため接客に集中しやすいという特徴があります。

一方でコンビニの場合、医薬品販売は業務のごく一部に限定されますが、店舗管理者として採用されると高待遇が期待できます。

登録販売者を募集しているスーパー等を探す

調剤薬局

調剤薬局の場合、お客さまとの距離が近く、医療用医薬品について学ぶチャンスに恵まれていることが特徴です。ただし、一般用医薬品の販売以外に、処方箋受付や調剤補助、薬の配達など、調剤事務の仕事と兼務するケースがほとんどです。

登録販売者を募集している調剤薬局を探す

5. 登録販売者の働き方

ドラッグストアに勤務する登録販売者は、勤務時間や勤務日が不定期(シフト制)となります。家庭の都合などで働ける時間や日が限られている場合は、入職前に相談しておきましょう

登録販売者の一日

ドラッグストアは営業時間が長いため勤務時間が2交替や3交替、あるいはそれ以上に分かれていることが一般的です。早番と遅番の2交替勤務のドラッグストアに勤務する登録販売者の一日の仕事の流れはおおむね次のようになります。

登録販売者の一日 ドラッグストア勤務 早番の場合
登録販売者の一日 ドラッグストア勤務 遅番の場合

登録販売者の休日

ドラッグストアや小売店は年末年始を除き年中無休で営業している店舗が多いため、シフトで週休2日となることが一般的です。

薬局に勤務する場合は、日曜祝日が固定休となり、月曜〜土曜の間にシフトでもう1日休みを取得するというサイクルになります。

6. 登録販売者の給料

ジョブメドレーに掲載されている求人から登録販売者の賃金相場を算出しました。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。

【全国平均】登録販売者の時給・月給・年収の相場

2022年3月時点の全国の登録販売者の時給・月給・年収の相場は次のとおりとなりました。

 

下限平均

上限平均

総平均

パート・アルバイトの時給

1,068円

1,311円

1,152円

正職員の月給

19万8,905円

32万5,183円

22万1,454円

正職員の年収*

278万4,670円

455万2,562円

310万356円

*年収は「月給の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月給の2ヶ月分)」で試算

【エリア別】登録販売者の月給・年収の相場

エリア別の登録販売者の賃金相場は、東海・北海道・首都圏エリアの順で高いという結果になりました。登録販売者の場合、都市部のほうが待遇がいいとは限らないようです。

エリア別 登録販売者(正職員)の月給相場
エリア別 登録販売者(正職員)の年収相場
*数値は「総平均」
*地域区分は、東北(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)、北関東(茨城県、栃木県、群馬県)、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、甲信越(新潟県、山梨県、長野県)、北陸(富山県、石川県、福井県)、東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)、近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)、中国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)、四国(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)、九州・沖縄(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)

【サービス別】登録販売者の月給・年収の相場

サービス別の登録販売者の賃金相場は調剤併設型のドラッグストアが最も高く、ドラッグストア、一般の小売店に大きな違いは見られませんでした。

サービス別 登録販売者(正職員)の月給相場
サービス別 登録販売者(正職員)の年収相場
*数値は「総平均」

7. 登録販売者の将来性

医療費抑制の観点から、“セルフメディケーション”という考え方が注目されています。

WHOはセルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義しています。つまり、日常的に健康管理に気を遣い、ちょっとしたけがや体調不良であれば医療機関を受診する前に自身でケアをするということです。

日本では医薬品販売の規制緩和やセルフメディケーション税制といった政策も追い風になり、ドラッグストアが増え、OTC医薬品の市場規模も拡大しています。

*対象となるOTC医薬品の購入額が年間12,000円を超えた場合、確定申告をおこなうことでその費用の一部が所得から控除される制度

OTC医薬品は私たちにとってより身近な存在となりましたが、「OTC医薬品は医療用医薬品よりも効果が薄くリスクも小さい」という誤った認識から健康被害につながるケースが後を絶ちません。また、若い世代を中心にOTC医薬品の過剰摂取が増えていることも問題視されています。

そんななか、登録販売者には人手不足が慢性化している薬剤師に代わりOTC医薬品の適正利用を守る門番となることが期待されています

ドラッグストアや医薬品売場など、日常生活の圏内で健康に関する悩みを気軽に相談できるのが登録販売者の強みです。この強みを活かして薬との正しい付き合い方を指導したり、日常生活や養生方法についてアドバイスしたり、ときには医療機関への受診を勧めたりと、多くの役割が求められています。

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参考

プロフィール

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