1.サービス提供責任者とは
2.サービス提供責任者の仕事内容
2-1.サービス提供責任者の一日
2-2.サービス提供責任者は兼務できる?
3.サービス提供責任者の給料は?
4.サービス提供責任者になるための要件は?
4-1.「サービス提供責任者」という資格・研修はない
4-2. 2018年にサービス提供責任者の要件が改定
5.サービス提供責任者の配置基準は?
5-1.非常勤でも働ける?
6.最後に
1.サービス提供責任者とは
訪問介護サービスの利用者さんが、質の高いサービスを受けられるようにサポートすることが「サービス提供責任者」の役割です。その名前を略して「サ責」とも呼ばれています。
ヘルパーと利用者さんの調整・利用者さんのアセスメント・「訪問介護計画書」の作成・ケアマネジャーとの連携など、その仕事は多岐に渡り、高齢者・障がい者問わず訪問介護サービスの要となります。
混同されがちなケアマネジャーや生活相談員との違いはケアマネジャー、サービス提供責任者、生活相談員の仕事内容の違いは?をご覧ください。
2.サービス提供責任者の仕事内容
サービス提供責任者の仕事は、「訪問介護業務」「訪問介護計画書などの書類作成」「管理業務」に大きく分けられます。
時には自身もヘルパーとして介護業務をおこなったり、ヘルパーの指導や教育をおこなったりと、多くの業務を抱えることも少なくありません。それだけに、やりがいもある重要な立場ということですね。
サービス提供責任者の業務概要をおおよその時系列順にまとめたので詳しくみてみましょう。
1.利用者さんの申し込みや相談に関わる調整
訪問介護サービスを利用したい方からの相談を受け、サービスを利用するために必要な手続き等の調整をおこないます。
2.利用者さんおよび家族とのアセスメント(面談・面接)
訪問介護サービスの利用にあたり、利用者さんの自宅を訪問し、本人およびそのご家族と面談します。利用者さんはどのような問題を抱えているのか、家族はどういう要望があるのかなどをしっかりと聞き取ることで、今後提供する介護サービスの決定材料となります。
3.サービス担当者会議への参加
依頼のあった訪問介護サービスの関係者(利用者・家族・ヘルパー・ケアマネなど)が出席し、提供する介護サービスについて話し合う場を「サービス担当者会議」といいます。サービス提供責任者もこれに出席し、ケアマネジャーの作成したケアプラン(介護支援計画書)を確認し、必要なサービスの提案・話し合い等をおこないます。
4.訪問介護計画書の作成
アセスメントで得た情報と、ケアマネジャーが作成したケアプランを基に「訪問介護計画書」を作成します。ケアプランがサービスの全体的な方針・骨組みとするならば、訪問介護計画書はケアプランから訪問介護に関する箇所を抜き出して、より具体的にケア内容を示したものです。訪問介護計画書に明記する例としては、「利用者さんの課題や目標」、「ケアにおける具体的な支援内容」、「曜日ごとのケア内容や要する時間」などが挙げられます。
5.サービス提供手順書の作成
実際に利用者さんの自宅でサービスを提供するヘルパーのために、「サービスの項目」、「サービス提供の具体的な方法」、「利用者さんや家族、その他に関する留意事項」などを詳しくまとめた「サービス提供手順書」を作成します。
6.同行訪問
利用者さんの自宅にヘルパーが初めて訪れるときや、ヘルパーの経験が浅いときなどはサービス提供責任者が同行しサポートします。その後は、逐次ヘルパーからの業務報告を受け、利用者さんの現状把握に努めます。
7.モニタリング
一定の期間内に利用者さんの自宅を訪問し、利用者さんの状態やケアの進行具合などをチェック・評価します。利用者さんの状態の変化に合わせ、必要に応じて訪問介護計画書やサービス提供手順書を作り直します。
8.ヘルパーへの支援・研修指導
ヘルパーの急な欠勤時のフォローや問題発生時の対応、ヘルパーの技術指導、研修計画の作成など様々な面からヘルパーをサポートします。
2-1.サービス提供責任者の一日
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2-2.サービス提供責任者は兼務できる?
訪問介護事業所には「ヘルパー」、「サービス提供責任者」、「管理者」の一定人数の配置が義務付けらており、そのうち「サービス提供責任者」と「管理者」は兼務することが認められています。この2つを兼務することで、事業所は人的コストを減らせるメリットがあります。また、「サービス提供責任者」と「ヘルパー」の兼務も可能です。
しかし、「ヘルパー」、「サービス提供責任者」、「管理者」の3役を兼務することは業務に支障が出る恐れがあるため禁止されています。これら兼務に関する要件は各都道府県により若干異なる場合がありますので、詳細は各自治体にご確認ください。
3.サービス提供責任者の給料は?
ジョブメドレーに掲載されている求人からサービス提供責任者の賃金相場を算出しました(2023年11月時点)。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。
下限平均 |
上限平均 |
総平均 |
|
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 |
1,290円 |
1,571円 |
1,431円 |
正職員の月給 |
24万8,485円 |
29万5,217円 |
27万1,851円 |
正職員の年収* |
347万8,787円 |
413万3,042円 |
380万5,915円 |
4.サービス提供責任者になるための要件は?
4-1.「サービス提供責任者」という資格・研修はない
サービス提供責任者とは、あくまでも「職種名・役割」であり、「サービス提供責任者」という資格や研修があるわけではありません。しかし誰にでもなれるということではなく、以下のいずれかの要件を満たしていることが、サービス提供責任者には求められています。
「サービス提供責任者」として認められる資格要件
- ・介護福祉士
- ・実務者研修修了者
- ・(旧課程)ホームヘルパー1級課程修了者
4-2. 2018年にサービス提供責任者の要件が改定
2018年の1月におこなわれた、社会保障審議会介護給付費分科会にてサービス提供責任者の資格要件が改定されました。以前は、前項で挙げた資格要件以外にも「3年以上の実務経験を積んだ介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」が含まれていましたが、要件から除外されたのでこれからサービス提供責任者を目指す方はご注意ください。
要件改定について、詳しくは2018年からサービス提供責任者の任用要件が変わる?その内容とはをご覧ください。
5.サービス提供責任者の配置基準は?
訪問介護事業所には1名以上のサービス提供責任者の配置が義務付けられています。また、直近3ヶ月間の事業所利用者数が40名増える毎に、定められている配置人員数も増加します。
直近3ヶ月での利用者数 | 必要配置人員数 |
---|---|
40人以下 | 常勤で1人以上 |
41人~80人 | 常勤で2人以上 |
81人~120人 | 常勤で3人以上 |
121人~160人 | 常勤で4人以上 |
161人~200人 | 常勤で5人以上 |
2015年からは配置基準に関する特例が加わり、以下3つの条件を満たした場合、直近3ヶ月の利用者50人につきサービス提供責任者の配置は1名でよしとされました。
- ・サービス提供責任者を常勤で3名以上配置している
- ・サービス提供責任者業務をメインとして勤務する従業員が1名以上配置されている
- (ヘルパーとして働いた時間が、月30時間以内)
- ・サービス提供責任者の業務が、IT利用などの工夫により効率的におこなわれている
直近3ヶ月での利用者数 | 必要配置人員数 |
---|---|
150人以下 | 常勤で3人以上 |
150人を超える場合 | 50人増える毎に常勤で1名追加 |
5-1.非常勤でも働ける?
結論から言うと、非常勤でもサービス提供責任者としての勤務は可能です。しかし、『非常勤のサービス提供責任者は、 常勤の勤務時間の2分の1以上 (週20時間以上)勤務しなければならない』という条件があります。また、常勤・非常勤問わず都道府県により配置基準が別途定められている場合もありますので、詳細は各自治体にお問い合わせください。
6.最後に
利用者さん、ケアマネジャー、ヘルパーの橋渡し役となるサービス提供責任者。その仕事は利用者さんとその家族との相談業務から、ケアマネジャーとの調整、訪問介護計画書の作成、ヘルパーの指導、と訪問介護サービスの全般に渡って活躍します。その分、たくさんの人からも頼りにされ、利用者さんからの感謝の言葉をいただけたときや、ヘルパーの成長した姿を見られたときなど様々なシーンでやりがいを感じられることでしょう。すでに実務者研修修了者(旧ホームヘルパー1級課程修了者)または介護福祉士の資格をお持ちの方は、キャリアアップとしてサービス提供責任者を目指してみてはいかがでしょうか?