1.美容部員とは
2.美容部員の仕事
3.美容部員になるには
3-1.資格は必須ではない
3-2.美容専門学校やスクールで学ぶ人もいる
4.美容部員の就職先と働く場所(職場)
5.美容部員の給与
6.美容部員の将来性
6-1.国内化粧品市場の動向
6-2.従来の接客に付加価値が必要
1.美容部員とは
美容部員は、お客さんにメイクアップやスキンケアのアドバイスをおこない、化粧品を販売する専門職です。所属するメーカーや店舗によって、ビューティーアドバイザー(BA)、 ビューティーカウンセラー(BC)、ビューティーコンサルタント(BC)、化粧品販売店員、美容スタッフなどの呼び方があります。
厚生労働省によると、美容部員の仕事内容は下記のようにまとめられます。
来店客の希望を聞いてスキンケアやメーキャップ、ヘアケア、などに関してのカウンセリング(助言)を行う。(中略)メーク方法を教えたり、実際にメークをして似合う色を選んだり、サンプル品を提供して使い心地を確かめてもらいながら、商品を販売する。
2.美容部員の仕事
美容部員は、美容と化粧品に関する専門知識を活かしてさまざまな業務をおこないます。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
■接客・販売
美容部員のメインの仕事は「接客して、化粧品を販売すること」です。
接客では初めにカウンセリングによってお客さんの悩みを聞き、最適な化粧品を提案します。コスメカウンターでは、提案する商品を使って実際にメイクアップやスキンケアなどを施す「タッチアップ」をおこないます。
また、化粧品を手の甲に出して、香りや使用感を確かめてもらうことを「ハンドデモ」と呼びます。このカウンセリング、提案、タッチアップ・ハンドデモの流れが「接客」の基本です。
化粧品をお客さんに気に入ってもらい「販売」につなげるためには、美容とコスメに関する豊富な知識、メイクアップ・スキンケアの技術力、高い接客力が求められます。
■会計・検品・在庫確認・発注・清掃
メイン業務の接客・販売以外に、化粧品の会計、陳列、検品・在庫確認・発注などのバックヤード業務、売場清掃などがあります。基本的に立ち仕事がメインとなるため、事務処理能力や体力も必要になるということを覚えておきましょう。
3.美容部員になるには
3-1.資格は必須ではない
美容部員は、美容師や理容師のような国家資格ではありません。美容部員になるために資格は必須ではなく、勤務先となる化粧品メーカーや百貨店などの採用試験に合格すれば働くことができます。
雇用形態も正社員や契約社員、アルバイト・パートまでさまざまです。新人研修制度や教育体制を整えて「未経験者」を受け入れている企業もあるため、美容業界の中でも、比較的目指しやすい職種だといえます。
3-2.美容専門学校やスクールで学ぶ人もいる
美容部員になるために資格は必要ありません。しかし、美容部員の仕事は化粧品の売上に直結するため、高いスキルが求められます。そのため、中学校や高等学校の卒業後、美容専門学校で勉強したり、メイクスクールに通ったりして就職を目指す人もいます。
■美容専門学校の特長
美容専門学校の教育課程は、一般的に昼間課程(2年以上)と夜間課程(2年以上)と通信課程(3年以上)に分かれます。このうち、通信課程(3年以上)は美容師・理容師を目指す人向けのカリキュラムです。学校によって異なりますが、昼間課程・夜間課程の学費の相場は200万円〜300万円になります。
そのため、美容部員を目指す人は昼間課程か夜間課程の「総合美容科(トータルビューティー科)」「ビューティーコンサルタント科」などを専攻します。
在学中には美容理論やメイクアップ、スキンケア、エステティックの技術、接客マナーなどを幅広く学び、美容部員として求められる知識・技術を身につけることが可能です。これらの知識・技術は、途中でキャリアプランが変わり、美容系の他職種を目指すことになったときにも役立ちます。
大手化粧品メーカーと提携してインターンシップ制度を取り入れていたり、企業による「就職説明会」をおこなっていたりする専門学校もあるため、「憧れの化粧品ブランドで働きたい」といった希望がある人は学校選びのときにチェックしてみましょう。
■メイクスクールの特長
メイクスクールは、メイクアップアーティストを目指したり、メイクアップの知識・技術を学んだりする人に講義をおこなっている学校です。美容専門学校と同じように、基本的な美容知識も学びますが、よりメイクの実践・技術の習得を重視したカリキュラムが組まれています。
受講スタイルは「通学」と「通信」の2パターン。半年間の「短期集中コース」や1年間の「専門コース」など、希望に応じて幅広いコースから選ぶことができます。学費は受講回数によって異なりますが、半年間のコースで30万円〜50万円、1年間のコースで50万円〜150万円程度が相場になります。
4.美容部員の働く場所(職場)
美容部員の働く場所(職場)は働き方によって異なります。一般的な働き方としては、「化粧品メーカーの社員として働く方法」「化粧品専門店やドラッグストアの社員として働く方法」などがあります。
■化粧品メーカーの社員として働く
化粧品メーカーの社員として働く場合は、入社後に自社ブランドの商品知識や接客マナー、メイクアップやスキンケアに関する研修を受けたうえで店頭に立ちます。
おもな職場としては、自社ブランドを扱う百貨店や大型スーパー(GMS)、ショッピングモール、ドラッグストア内の化粧品売り場などがあります。
美容部員と聞くと、国内や海外の有名ブランドが並ぶ百貨店で働く姿をイメージする人もいると思います。しかしながら、大手の化粧品メーカーは美容部員の人数も多く、百貨店への配属は狭き門となっているようです。
初めは販売職として売り場に立ちますが、店頭での売上実績や経験が評価され、各店舗を統括するマネージャー職に就いたり、店舗開発や商品開発に携わったりする人もいます。
■化粧品専門店・ドラッグストアなどで働く
化粧品専門店やドラッグストアなどで働く場合は、メーカーの社員とは違い、店舗が取り扱うさまざまなブランドの化粧品を販売します。
そのため、各ブランドの特長を知り、お客さんに説明するための豊富な商品知識が必要になります。また、取り扱う化粧品が多いため、商品の陳列、検品・在庫確認・発注といったバックヤード業務の比重が大きくなる傾向にあるようです。
5.美容部員の給与
2023年11月時点でジョブメドレーに掲載されている美容部員の給与は次の通りでした。なお、残業手当や賞与など、月によって変動する金額は含みません。あくまで参考程度にとらえておきましょう。
下限平均 |
上限平均 |
総平均 |
|
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 |
1,087円 |
1,100円 |
1,094円 |
正職員の月給 |
20万4,804円 |
26万2,617円 |
23万3,710円 |
正職員の年収* |
286万7,254円 |
367万6,640円 |
327万1,947円 |
6.美容部員の将来性
6-1.国内化粧品市場の動向
2022年までの国内の化粧品市場は、新型コロナウイルス感染症の流行により大きく落ち込みました。コロナ禍直前はインバウンド消費の勢いもあり国内の化粧品出荷額は1兆7,000億円台にのぼりましたが、2022年は1兆3,000億円を下回り、過去30年間で最も低い結果となりました。
日本化粧品工業連合会|化粧品統計「化粧品出荷」より引用
しかし、2023年3月にはマスクの着用が個人の判断に委ねられ、同年5月からは5類感染症に位置づけられたことから、メイクアップの需要に伴い2023年以降の市場は回復が見込まれています。
同調査の品目別化粧品出荷率を見ると、2020年以降はほとんどの品目が減少していましたが、2022年には口紅の出荷率が増加に転じました。2023年以降は、マスクを外したことによる新たな購買傾向に変化が見られそうです。
6-2.従来の接客に付加価値が必要
近年ではオンラインで手軽に化粧品が購入できることや、コロナ禍で手や顔への直接的な接触を避ける人も多いことから、店頭に足を運ばない人も増えてきています。
そのような中で、美容部員として活躍するためには、従来の接客に付加価値が必要です。対面販売でのスキルアップに加え、手や顔に触れにくいタッチアップの工夫や、SNSを活用したライブコマース(消費者と双方向コミュニケーションをおこなうライブ配信)など、購買意欲を高める手法も変化しています。
時代の変化に合わせたスキルの習得は、就職・転職活動においても役に立つでしょう。美容部員の仕事を探している人は、参考にしてみてください。
■美容部員の転職体験談もチェック!!