目次
1.離職証明書とは
離職票を発行するために必要な書類
離職証明書は、雇用保険から支給される失業手当の手続きをする際に用いる「離職票」を発行するために必要な書類です。正式名称は「雇用保険被保険者離職証明書」といいます。
退職者が失業手当を受け取るためには、ハローワーク(公共職業安定所)を訪れ、失業手当の申請手続きをする必要があります。この申請に必要な書類が「離職票」です。
離職票を発行するためには、会社がハローワークに「離職証明書」を提出しなければなりません。つまり、離職証明書は退職者が直接受け取るものではなく、会社がハローワークに提出する書類です。

- 退職者が会社に離職票の発行を依頼する
- 会社がハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届、離職証明書などの書類を提出する
- ハローワークが会社に離職票を交付する
- 会社が退職者に離職票を送付する
- 退職者がハローワークに失業手当の申請をする
離職票、退職証明書との違い
離職証明書と混同されやすい書類に、「離職票」と「退職証明書」があります。
離職証明書 | 離職票 | 退職証明書 | |
---|---|---|---|
正式名称 | 雇用保険被保険者離職証明書 | 雇用保険被保険者離職票 | – |
使用目的 | 離職票を発行するために必要 | 失業手当の受給手続きに必要 | 従業員が退職したことを証明する |
発行者 | 会社 | ハローワーク | 会社 |
受領者 | ハローワーク | 退職者(会社を介すことが一般的) | 退職者 |
離職票は、退職者が失業手当の給付を受ける際に必要な書類です。会社が離職証明書を発行し、ハローワークに提出することで離職票が発行されます。
退職証明書は、その会社を退職したことの証明のほか、勤務期間や業務の種類、職位、賃金、退職(解雇)理由などが記載された書類です。転職先や国民健康保険の手続きなどで提出を求められることがあります。労働基準法第22条により、退職者から請求があった場合、会社は退職証明書を発行する義務があります。
離職票と退職証明書について詳しくは、以下の記事で解説しています。
>離職票とは?
>退職証明書とは?
2.離職証明書の発行ルール
離職票が不要な場合を除き、発行が必要
企業は従業員が退職した場合、退職日の翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届とともに離職証明書を所轄のハローワークに提出する義務があります。ただし、退職者から「離職票は必要ない」との申告があった場合に限り、離職証明書の提出は不要となります(後日の申請があった場合には、発行に応じる必要があります)。
企業が離職証明書の発行を拒否した場合、雇用保険法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
59歳以上の退職者には必ず発行する
退職時の年齢が59歳以上の場合は、本人の希望に関わらず離職票の交付が義務付けられているため、離職証明書の提出は必須となります。
発行が不要なケース
離職証明書は、次のケースにおいては発行が不要となります。
・退職者本人が離職票の交付を希望しない場合
・退職者本人が死亡した場合
3.離職証明書の見本・記載内容
離職証明書の用紙は、3枚つづりの複写式になっています。1枚目は事業主控え、2枚目はハローワーク提出用、3枚目は離職票として退職者に交付されます。
作成・記入は主に企業の担当者がおこないますが、退職者自身が確認・署名する項目もあります(以下の15、16が該当)。

(1)被保険者番号
退職者の雇用保険被保険者番号を記載します。
(2)事業所番号
会社の事業所番号を記載します。
(3)離職者氏名
退職者の氏名を記載します。
(4)離職年月日
最終在職日を記載します。
(5)事業所名称、所在地、電話番号
会社の名称、所在地、電話番号を記載します。
(6)離職者の住所または居所
退職者の住所、電話番号を記載します。
(7)離職理由欄
事業所の倒産、定年、契約期間の満了、労働者の判断によるものなど複数の離職理由の中から該当するものに印をつけ、「具体的事情記載欄」に具体的な理由を記載します。ハローワークはこの内容をもとに失業手当の給付日数などを決定するため、正しい離職理由が記載されているか確認しましょう。
(8)〜(14)離職の日以前の賃金支払い状況等
退職前2年間の賃金支払い状況を記載します。
(15)離職者による確認
離職証明書の記載事項(7の離職理由欄を除く)に間違いがないか退職者本人が確認し、署名する項目です。やむを得ない理由で本人による署名が難しい場合は、会社がその理由と事業主氏名を記載することで代替することも認められています。
(16)離職者の判断
事業主が記載した離職理由に対して、異議の有無を退職者本人が◯印で記載します。やむを得ない理由で本人による記載が難しい場合は、会社がその理由と事業主氏名を記載することで代替できます。
tips|離職証明書の作成は企業側だけで完結することも
離職証明書には退職者本人が確認・署名する欄がありますが、すでに退職していて対応が難しい場合など、会社が代理で記入することも多いようです。ただし、後ほど交付される離職票が離職証明書を複写しているため、会社記載の内容に異議がある場合はハローワークを通じて申し立てることが可能です。
詳しくは「離職票の書き方」で解説します。
4.離職証明書に関するよくある質問
Q.離職証明書がないとどうなる?
離職証明書がないと、雇用保険の失業手当の申請に必要な離職票が発行されません。そのため、退職後に失業手当の給付を受けられなくなってしまいます。
Q.離職証明書は絶対に必要?
退職後、すぐに別の会社に就職する場合など失業手当を申請する予定がない人は、離職票・離職証明書の発行も必要ないと考えるかもしれません。
ただし、退職時に離職票は受け取っておくことをおすすめします。もし新しい職場を早期離職した場合、短期間の就業では失業手当の受給条件を満たせないことがあるためです。その際、前職の被保険者期間と通算することで受給要件を満たせる可能性もあるため*、万が一に備えて離職票はもらっておきましょう。
*失業手当は雇用保険の被保険者期間が過去2年間で通算12ヶ月以上(会社都合退職の場合は6ヶ月以上)必要
Q.離職証明書がもらえない場合はどうすればいいですか?
企業が退職者に対して離職証明書を発行することは、雇用保険法により義務付けられています。発行に応じてくれない場合は、法律によって定められている旨を伝えてみましょう。それでも応じてもらえない場合は、管轄の労働基準監督署に申し出ることをおすすめします。
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