1.矯正歯科
歯並びや噛み合わせを治すことで、機能や見た目を改善するのが矯正歯科です。これまで主流だったワイヤー矯正に加え、目立ちにくいマウスピース矯正も普及していることなどから成人になって始める人も増えています。そのため、幅広い年齢層の患者に対応します。
主な業務内容
- クリーニング
- 矯正装置の交換・撤去のサポート
- 印象採得のサポート
- 口腔内写真やレントゲン撮影のサポート など
特徴
矯正治療は数年単位でおこなわれることが多いため、一人の患者に長期的に関わることになります。小児から成人まで接することができ、コミュニケーション力が身につき信頼関係も築きやすいでしょう。
また、矯正の種類によっては装置をつけたままクリーニングをおこなうこともあるため、専門的な知識や技術が求められます。研修や学会への参加などを通して学ぶ必要がありますが、歯列矯正に特化したスキルが身につくため今後のキャリアにおいても強みになります。
2.小児歯科
乳歯が生え始めるころから中学生くらいまでの小児(子ども)に対して歯科診療をおこないます。虫歯や被せ物の治療・処置のほか歯磨き指導などをおこないます。
主な業務内容
- 虫歯治療のサポート
- 抜歯のサポート
- フッ素塗布
- シーラント
- 歯磨き指導
- 定期健診 など
特徴
治療中に座っていられなかったり怖がってしまったりする子どもも対象としているため、外観や内装を工夫しているところや、保育士が常駐しているところもあります。
治療を嫌がる子どもに対して、不安や恐怖心をなくす接し方や保護者とのコミュニケーションスキルが必要です。また、幼稚園や保育園などに出向いて定期健診や歯磨き指導をおこなっているところもあり、一般歯科とは異なる業務も経験できます。
3.口腔外科
口腔外科は大学病院などの大規模な医療機関に設置されているのが一般的です。抜歯や顎関節症の治療のほか、外科的な手術、入院患者の口腔ケアや処置などをおこないます。
主な業務内容
- 入院患者の口腔ケア
- 手術中の器械出し
- 歯磨き指導
- 被せ物など補綴(ほてつ)物の調整
- 義歯の研磨 など
特徴
病院に設置されている口腔外科では一般の歯科ではできないような全身麻酔を使った手術や、入院患者の口腔ケアをおこないます。幅広い症状に合わせた処置や、患者の心身の状況に適した接し方が求められます。
歯科以外の病気や薬に関する知識が求められ、多職種との連携も必要な点が一般的な歯科とは異なります。経験を積むことで着実に技術面やコミュニケーションスキルの向上につながるでしょう。
4.訪問歯科
歯科医師や歯科衛生士が個人宅や施設、病院を訪問し歯科診療をおこないます。病気や障がい、加齢などにより通院が難しい人を対象としています。2020年時点における厚生労働省の調査によると、全国に67,874ヶ所ある歯科診療所の約3割にあたる23,707ヶ所で訪問歯科サービスを実施しているという結果でした。
主な業務内容
- 虫歯治療
- 抜歯
- 補綴(ほてつ)物の修復
- 歯周病検査・治療
- 義歯の製作・調整・修理
- 口腔ケア、口腔衛生指導
- 摂食・嚥下リハビリテーション など
特徴
訪問歯科の患者の8割は75歳以上の後期高齢者のため、持病や認知症などを抱えている患者がほとんどです。それぞれの症状に合わせた治療や健診以外にも、家族やかかりつけ医との連携なども求められます。
歯科医師と歯科衛生士が1〜2名で訪問するところもあれば、歯科助手も含め数名のチーム体制をとっているところもあります。診療所と比べて器材や設備が限られるなか、患者の負担にならないよう手際よく診療をおこなう必要があります。
高齢化により今後ますますニーズが高まる分野であり、歯科衛生士が主体となって活躍できるためやりがいを感じられることでしょう。
5.審美歯科
審美歯科では、虫歯や噛み合わせの改善など機能的な治療に加え、歯や口元を美しくするホワイトニングなどの治療がおこなわれます。患者とカウンセリングをおこない治療ゴールを設定し丁寧に説明するなど、一般歯科よりも長期的な関わり方になることもあります。
主な業務内容
- ホワイトニング
- クリーニング
- インプラント治療のサポート
- 補綴(ほてつ)治療のサポート など
特徴
自費診療となる施術も多いことから患者がクリニックに対して求める水準が高く、専門的な知識が必要となります。見た目の美しさを求めて来院する患者も多く、サロンのような内装が施されたクリニックもあります。
診療のアシスタントや施術自体は歯科医師の指示のもとでおこないますが、定期的なメンテナンスなどは歯科衛生士が一人で任されることも多いです。患者ごとに担当制をとっているところもあり、じっくりと向き合える点や治療成果がわかりやすい点にやりがいを感じられることでしょう。
6.自分に合う診療科選びを
紹介したように歯科衛生士が活躍する職場はさまざまです。今後のキャリアを見据え、一般歯科以外の診療科で働いてみるのも良いでしょう。
大切なのは将来的に自分がどういった歯科衛生士になりたいかです。それを思い描いたうえで職場を探してみると、納得のいく転職ができるのではないでしょうか。